【88歳が綴る手紙】「人生で最も孤独なのは老年期?」私がそう思わない理由

【88歳が綴る手紙】「人生で最も孤独なのは老年期?」私がそう思わない理由
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「年を取るってどんな感じ?」ー60歳目前、老いへの不安を感じる59歳の女性が、親戚である著者へ投げかけた質問へのアンサーとして、80代の作者が綴った手紙。そのやりとりは老いを捉える新しい気づきになるかもしれません。『ニューヨーク・タイムズ紙』ベストセラー作家、ソフィ・バーナムさんの著書『老いることの驚きと幸せ これから年を重ねていくあなたへ、88歳の作家からの手紙』(アスコム)より内容を一部抜粋して紹介します。

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孤独

老いは孤独へと通じる、というのは広く世間の認める真実です。言い換えれば、人生で一番孤独になるのは老年期だ、と見なされがちです。でもわたしの経験知ではそれは事実ではありません。もちろん、介護施設で暮らして誰からも顧みられず、社会から切り捨てられた人たち、そして家族も友人も訪ねてこない人たちには同情を禁じえません。年をとるほど友だちを作るのが難しくなるのは事実かもしれません。それでも、わたしが聞き取りをしたごく少数の人たちの中には、孤独や絶望を感じていると口にした人はひとりもいません。社会保障制度が支えとなっていますし、医療面ではメディケア(訳注:高齢者や障害者を対象とした公的医療支援制度)やメディケイド(訳注:低所得者を対象とした医療支援制度)があります。マサチューセッツ州のわたしの暮らす郡区では、公費で運営される高齢者センターが、身体と知性の両分野でさまざまな活動を提供してくれています。送迎サービスまで整備されていて、50歳を超えても孤独を我慢する必要はないはずです。わたしはセンターでドラムと体操のクラスに通っていますし、チェスの相手もいます。講演会があれば出席するだけでなく、ときには司会も務めています。

そこに共同体が育ちます。

なぜなら共同体を必要としない人はいないからです。誰しも居場所が必要なのです。

共同体
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孤独を感じるのは、恥ずかしいことではありません。不安を覚えたからといって恥ずかしがる必要がないのと同じです。生きている限り、心地よい感情ばかりでなく、「否定的」な感情や落ち着かない思いも味わいます。人は「否定的」な感情と呼びますが、こうした感情を良いとも悪いとも決めつけず、また背を向けずに受け止めてみれば、何らかの行動を起こすべきときかもしれないと知らせるサインにすぎないとわかります。孤独、不安、心許なさ、劣等感ーーどれも生きている証しです。ときに人は誰しも、周囲の自然や自分の目的、所属する共同体から切り離されたように感じることがあります。それだけでなく、神からも、そして自分は何者かという神秘的な謎からも切り離されたように感じることがあります。

わたしにとって孤独とはシグナルみたいなもので、本当の自分を見失い、愛からも切り離されたときに点灯します。つまり愛を忘れてしまった状態です。その愛には、他者への愛だけでなく、みじめで気弱な自分自身への愛も含まれます。そのとき、わたしは不安に満ちた、頼りない声で祈ります(最愛のかたよ、助けてください。助けて!)。

自然
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仲間と一緒にいられないときには自然が助けになります。その点で詩人のロバート・ブライは正しかったのです。森を散策し、溝の走る樹皮に触れ、流れる小川の音に10分、30分と耳を傾ける。あるいは滝の前で30分腰を下ろす。こうして自然の中でひとり過ごすだけで、脳波は執拗に同じ思考を繰り返す興奮状態のβ波から、もっと緩やかで心を鎮めてくれるα波へ、さらに直感や霊的体験、テレパシー、超能力などをもたらす深い瞑想的な脳波へと変わります。わたしは、その深い脳波を使うときに、馬や猫が語りかけてくる内容を直感的に聞き取ることができます。経験上、この段階にいるときのわたしは決して孤独を感じません。

誰かを気遣い、ある目的に向かって進み、自分以外の何かや誰かの役に立てていると感じられるならば、決して孤独な思いはしません。孤独は、本当の自分を見失ったときに出るシグナルだと思います。

自分を取り戻すには、自分の弱さを認めて、他人に、そして何より自分自身に己をさらけ出す必要があります。皮肉にも、わたしが弱さを隠さずに見せたときにだけ、他人は一歩近づいて、わたしを愛で支えてくれます。わたしが弱さを見せたときにだけ、相手はわたしに心を開くのです。

書籍

『老いることの驚きと幸せ これから年を重ねていくあなたへ、88歳の作家からの手紙』(アスコム)

この本の著者…ソフィ・バーナム

1936年生まれ。アメリカの作家、劇作家、エッセイスト、詩人。著書16冊を刊行している作家であり、そのうち3冊は「ニューヨーク・タイムズ紙」のベストセラーとなっている。作品は26言語に翻訳されており、ノンフィクション、小説、短編、詩、戯曲、ドキュメンタリー映画、児童文学、ラジオドラマなど、多岐にわたるジャンルで執筆活動を行っている。世界各国で配信された記事やエッセイも数百本にのぼる。日本で翻訳されている著書に『天使の本』(ジャパン・タイムズ)がある。

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