【女性の痛みは男性より長く続くことを科学が証明?】研究で分かったその仕組み

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2026-03-28

慢性疼痛が女性で長く続く理由について、免疫細胞が手がかりを示した。

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慢性疼痛は男性より女性で長く続く傾向がある。米国では約5000万人が慢性疼痛を抱えており女性の割合が高い。痛みが長引く背景にある生物学的な仕組みを解明することが、この男女差の理解や解消につながる可能性がある。

男性の方が痛みが早く消える?

今回、米ミシガン州立大学の研究チームは、痛みを鎮める働きを担う単球と呼ばれる免疫細胞に男女差があることを突き止めたこれらの細胞は、テストステロンなどの影響で男性でより活発に働くと考えられる。そのため、男性では痛みの解消が比較的早い一方、女性では免疫反応の働きが弱く、回復が遅れ、痛みが長く続く傾向がみられた。

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ホルモンと免疫が左右する痛みの解消

長らく、単球は主にほかの免疫細胞へと分化していく細胞で、体内での特別な役割はあまりないと考えられてきた。しかし、研究をリードした生理学準教授ジェフロワ・ローメ氏は、その一部が神経に作用して痛みを鎮めるIL10(インターロイキン10)を産生していることを確認した。その後の実験で、IL10を産生する単球は女性より男性で活発に働くことがわかった男性の性ホルモンの働きを抑えると、単球の活動は女性と同じ程度にまで低下した。この結果により、ホルモンと免疫の働きが痛みの解消に関わっていることがより明確になった。ローメ氏は「この研究は痛みの解消が受け身ではなく、免疫が主導する能動的な過程であることを示している」と述べ、痛みがどのように始まるかではなく、どのように終わるかに焦点を当てる重要性が浮き彫りになった。結果の再現性を確認するため、チームはマウスで少なくとも5種類の異なる検証を行い、いずれも同じ結果を得た。

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人のデータでも同様の傾向

さらに、ローメ氏は交通事故後の心理的影響を研究していたノースカロライナ大学チャペルヒル校のサラ・リンステッド氏に協力を求め、人のデータでも検証を試みた。その結果、リンステッド氏の研究でも同様の傾向が確認され、男性ではIL10を産生する単球がより活発で痛みの解消も早いことが示された。これにより、マウス実験で得られた結果は人でも裏付けられた

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痛みの理解と治療における転換点

今回の結果は、慢性疼痛に関する長年の前提に疑問を投げかける。慢性疼痛は女性に多くみられるが、主観的なものや心理的な問題として軽視されがちだった。医師は現在も主に、患者に1から10までの数値で痛みを評価してもらう方法に頼っている。この方法では生物学的な違いを十分に反映できず、女性が理解されていないと感じる要因になり得る。「男女の痛みの違いには生物学的な根拠がある」「思い込みでも、本人の弱さによるものでもない。原因は免疫の仕組みにある」とローメ氏は声明で述べた。

この発見に基づく治療法の実用化には、数年から数十年かかる可能性がある。それでも研究者らは、この成果が痛みを一時的に抑えるのではなく、解消を早めるオピオイド(医療用麻薬)に頼らない治療への道を開くとみている。「今後の研究者がこの成果を基に発展させていくだろう」「慢性疼痛を防ぐ、オピオイドに頼らない新たな治療法への道が開かれた」とローメ氏は語っている。

出典:

https://msutoday.msu.edu/news/2026/02/why-chronic-pain-lasts-longer-in-women

https://www.newsweek.com/scientists-prove-womens-pain-does-last-longer-than-mens-11549472

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