早期閉経すると病気になりやすい?15万人を追跡した英研究で判明した驚きの事実とは?
閉経の時期が早いと、体は人より早く老いてしまうのではないか?将来、病気になりやすくなるのではないか?そんな漠然とした不安を、早期閉経を経験した女性は、一度は感じたことがあるのではないだろうか。
早期閉経でも糖尿病リスクは上がらない―約15万人の長期追跡が示した事実
実際、45歳未満で閉経を迎える「早期閉経」は、心臓病や脳卒中、骨密度の低下などとの関連が指摘されてきた。閉経後に体脂肪が増え、インスリンの効きが悪くなることも知られている。となれば、糖尿病リスクも高まるのではないか?そう考えられてきたのも自然な流れだ。だが、この「思い込み」に冷静な答えを示す研究が発表された。2026年1月、医学誌『Menopause』に掲載されたのは、英国の大規模疫学研究「UKバイオバンク」を用いたコホート研究だ。結論は、早期閉経や手術による閉経であっても、それ自体が糖尿病リスクを高める独立した要因ではないということ。
研究対象となったのは、UKバイオバンクに参加した約14万7千人の女性。平均追跡期間は14.5年に及び、閉経年齢、閉経のタイプ(自然閉経か手術による閉経か)と糖尿病発症との関連が詳細に検討された。参加者の平均年齢は60歳で、全体の約60%が過体重または肥満に分類されている。追跡期間中に糖尿病と診断された女性は約6600人で、全体の4.5%に相当した。この規模と観察期間は、閉経と慢性疾患の関係を検討するうえで十分な信頼性を持つ。
糖尿病リスクを高めるのは閉経の年齢ではなく、むしろ『生活習慣』
解析の初期段階では、45歳未満で閉経した女性の糖尿病発症率は5.2%、45歳以降に閉経した女性では4.2%と、数字だけを見るとわずかな差があるように見えた。しかしこの時点では、体重や喫煙習慣、食生活といった背景の違いまでは十分に反映されていなかった。そこで研究者たちは、喫煙の有無や肥満の程度、食事内容、服用している薬、心血管リスクなどを含めて改めて分析を行った。その結果、閉経の時期によって見えていた差はなくなった。閉経が早いこと自体が、糖尿病の原因ではなかったのである。これまで指摘されてきた「早期閉経ほど糖尿病になりやすい」という印象は、閉経のタイミングではなく、生活習慣や体の状態の違いが影響していた可能性が高い―研究者たちはそう結論づけている。糖尿病リスクを高めていたのはむしろ生活習慣だった。一方で、糖尿病リスクと強く結びついていた要因は明確だった。研究では、以下のような生活習慣・健康状態を持つ女性で糖尿病の発症率が有意に高かった。
- 喫煙:発症率 約7.5%
- 肥満:発症率 約10.8%
- 野菜をほとんど摂取しない食生活:発症率 約6.8%
- コレステロール低下薬の使用:発症率 約10.0%
- 塩分摂取量が多い人:発症率 約7.0%
これらはいずれも、閉経のタイミングそのものではなく、心血管リスクや日常の生活習慣と密接に関係する要素である。
専門家は「リスクは変えられる」と強調
この研究について、更年期医療の専門家であるステファニー・フォービオン医師は、「閉経後の女性で糖尿病リスクが上昇するのは事実だが、その原因は閉経年齢や自然閉経か手術かといった違いではない」と指摘する。「重要なのは、高血圧や脂質異常症、喫煙、食事、運動といった介入可能なリスク因子だ」という。閉経の時期は変えられない。しかし、体重管理や食生活の改善、禁煙、運動習慣といった要素は、年齢を重ねてからでも修正できる。
早期閉経という事実だけで、将来の糖尿病を過度に恐れる必要はない。今回の研究は、「いつ閉経したか」よりも「閉経後をどう生きるか」が、代謝の健康を左右することを示している。年齢や閉経年齢を理由に不安を膨らませるよりも、自身の生活習慣や心血管リスクに目を向けること。それこそが、閉経後の健康を守るための現実的で確かな選択である。
出典:
Early Menopause Not Linked To Higher Diabetes Risk, Study Finds
Diabetes risk not associated with timing or type of menopause
Early, surgical menopause not linked to increased diabetes risk
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