忙しくて余裕がない人ほど“書くと楽になる”のはなぜ?脳の「メモリ不足」を解消するジャーナリングの力

忙しくて余裕がない人ほど“書くと楽になる”のはなぜ?脳の「メモリ不足」を解消するジャーナリングの力
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石上友梨
石上友梨
2025-12-10

ジャーナリングとは、頭の中の想いや考えをそのまま書き出すシンプルな習慣です。今回は、忙しさで余裕をなくしがちな人にこそ役立つ、心と脳を整えるジャーナリングの活用法を紹介します。

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「日記を書く? そんな丁寧な暮らしをしている時間も、精神的な余裕もない」そう感じて記事を閉じようとした方こそ、良かったらこの記事を読んでみてください。実は、「時間がない」「余裕がない」と感じる原因の一つは、物理的な忙しさ以上に、例えるなら脳内で情報が渋滞している「脳のメモリ不足」にあります。書くことは、ただの「時間を消費する趣味」ではありません。むしろ、「脳の容量を空けて、余裕を取り戻すためのメンテナンス」と言えるかもしれません。なぜ、忙しい人ほどペンを握るべきなのか? その理由と、3分でできる実践法をお伝えします。

なぜ、忙しい人の脳は「パニック」を起こすのか?

人間の脳が一度に処理できる情報の数には限界があります。これを心理学では「ワーキングメモリ(作動記憶)」と呼びますが、その容量は私たちが思っている以上に小さなものです。

忙しい人の頭の中は、まるでパソコンでブラウザのタブを100個も開いているような状態です。「あのメール返信しなきゃ」「夕飯どうしよう」「明日の会議の資料が……」といったタスクや懸念事項が常にバックグラウンドで起動しており、脳の処理速度を落としてしまいます。

この状態で新しい仕事をしようとしても、PCがフリーズするのと同じように、脳もパニックを起こす場合があります。これが、焦りやイライラ、そして「常に何かに追われている感覚」につながります。

「書く」ことは、脳の外部ストレージ化

そこで有効なのが、「書く」という行為です。これは単なる記録ではなく、「コグニティブ・オフローディング(認知的負荷の軽減)」と呼ばれる、脳の負担を減らす作業です。

頭の中にあるタスクや、漠然とした不安、イライラといった感情を紙に書き出す。これは、パンパンになった脳内のデータを、ノートという「外部ストレージ」に預けることを意味します。頭の中で同じことを何度も考え続けなくて良くなり、心のスペースも空いていきます。

3分でOK! 心理師が勧める「書きなぐり」メソッド

忙しいあなたにおすすめしたいのは、きれいに書く日記ではなく、脳のゴミ出しをするための「ブレイン・ダンプ」と呼ばれる書き出し法です。

やり方は簡単です。

  • ノートとペンを用意する
  • 時間を決める(3分程度で十分です)
  • 頭に浮かぶことを、ひたすら書きなぐり、リスト化する

「仕事が終わらない」「部長の発言にムカついた」「牛乳買い忘れた!」など、タスクも感情もごちゃ混ぜで構いません。字が汚くても、誰にも見せないから問題ありません。ポイントは「解決しようとしない」こと。ただ脳から追い出すことだけを目的にしてください。なお、ノートとペンがない場合は、スマホのメモ欄に書き出してみても大丈夫です。好みや環境に応じて調整してください。

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書くことは「時間への投資」

書き終えた後、不思議と頭が軽く、冷静になっている自分に気づくかもしれません。それは、脳のメモリがクリアになり、処理能力が戻った証拠です。「書く時間がない」と諦めるのではなく、時間がないからこそ、数分で良いから書き出してみましょう。忙しい日々を乗り切るための、お金もかからずコストパフォーマンスの良い「脳の整理術」。今日からペンを握って、脳の荷下ろしを始めてみませんか?

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