手帳にルールはない。あるとするならば…【ライフスタイルと手帳】リアルユーザーの素敵手帳拝見!

手帳にルールはない。あるとするならば…【ライフスタイルと手帳】リアルユーザーの素敵手帳拝見!
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スケジュールやタスクの管理はデジタルで職場や家族で共有することが当たり前の世の中。そんな時代にアナログな手帳や文具に注目が集まっています。 スマホで全部OKな時代に、なぜわざわざ手帳? という人も多いはず。 その人気の理由と手帳で今すぐできることを、手帳愛用歴48年、自称「手帳女将」こと、ライターのみやむらけいこがお伝えします。

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日当たりの良い美しいリビングのおしゃれなデスクに広げられた手帳にピンセットで丁寧にシールをはがして、カラフルなマーカーで描いたイラストに添える……といった、手帳系YouTuberやインスタグラマーが、独自の手帳の使い方や可愛らしいデコを提唱する美しい動画を見たことがある人も多いのでは? 本来なら手帳シーズンではないはずの5月になっても毎日更新を続けているインフルエンサーもいる。見ると文具熱が上昇するきっかけになったり、ふとスマホから手帳にスケジュール管理を変更してみたくなった人もいるかもしれない。

「手帳カフェ」はじめました

手帳
画像提供:みやむらけいこ

3年ほど前から「手帳カフェ」という、小さなイベントを始めた。

ボランティアさんが運営するコミュニティカフェや、コワーキングスペースの会議室、友人の経営するカフェなど場所代のかからない飲食OKなところでランチやコーヒー、ケーキが目当てでも大歓迎のスタイルで、それぞれの手帳を持ち寄ったり持ち寄らなかったり。

もちろん手帳ユーザーでなくてもOKな自由な時間を楽しんでいる。

手帳 ランチ
画像提供:みやむらけいこ

出入りは自由だし、スマホでスケジュールやタスク管理をしている人が手ぶらで参加してくれることもある。年齢は小学生から70代まで、男女を問わずさまざまな人たちが集まる。時には家族連れや親子での参加者もいて賑やかにもなる。

きっかけはこの手帳

手帳
画像提供:みやむらけいこ

「手帳を使った面白いコミュニティができるのでは?」と漠然と数年前から思いを馳せていた私がある日、友人のMちゃんのこの手帳を目撃したことが手帳カフェをOpenするきっかけになった。

それは見開きの左ページに1週間分の日付が割り振られているタイプで、さまざまな彼女独自のマークや色分けがされていた。横向きに時間軸の区切りがあり、左が朝で右端が夜。1日の枠の中には黒ペンでたくさんの予定や覚書が書き込まれていた。地域の役員を数多く引き受け、お花屋さんと幼稚園補助のダブルワーカー、そしてガールスカウト・ボーイスカウトのリーダーを勤めつつ、介護もこなす……というマルチな女性Mちゃん。彼女のマーカーの色にはルールがあり、一目瞭然だった。黄緑は地域のこと、水色はガールスカウト・ボーイスカウトの行事など、そしてオレンジは親の介護で、お花のマークはお花屋さんの仕事、ハートマークは保育園といった具合。

特別なスキルやテクニック、ノウハウはいらないけれど、誰もがマネのできる素敵な手帳だ。

手帳
画像提供:みやむらけいこ

介護中に出会った言葉だろうか……見開きの右側にあるノートスペースには時には心に残った言葉が書き記してあった。「昏睡状態」というひっ迫した言葉に可愛らしい猫の付箋がついていたりして、介護をした人にしかわからない「日常の中にある看取り」の様子が手に取るように伝わる。

Mちゃんは手帳をいつも「敏腕マネージャー」と表している。「これが無いと明日どころか今日のこともわからない!」と大笑いするけれど、スケジュールやタスクだけじゃなく、彼女は敏腕マネージャーに心も預けているのだ。

手帳
画像提供:みやむらけいこ

かと思えば、今度は「今期見ているドラマ」と来た。

右ページは懐かし目の言葉で言えば「じゆうちょう」なのだ。縦線で2分割された狭い方にはタスクをピックアップさせているけれど、広い方は心の内や楽しいことを書き留めている。

対して左のページには四角いカラフルな付箋がある。これは定例の会議などの予定らしい。

時間や場所は決まっているので、書く必要のないものは手帳をスッキリさせるために敢えて書かない。花やハートの仕事の目印も時間が固定しているため書かなくていいのだという。

手帳
画像提供:みやむらけいこ

どんどん進化するMちゃん手帳の鑑賞を目当てに手帳カフェを訪れるファンも増えてきたころ、彼女は介護から卒業し、いつしかマーカーの色分けや手書きのマークは、付箋や可愛らしいシールに取って代わり、忙しさは変わらないはずなのに、手帳はどんどんシンプルに変化していった。手帳を書き始めて10年以上が経過していた頃だと思われる。

実はこのページに、Mちゃんの手帳が長続きしている「大きな秘密」が隠されている。

それは、右ページにある間違いをフリーハンドの横線一本で消している箇所だ。

修正テープやシールなどで隠すことなく、間違いを消さないでそのまま残したままにしている。誰に見せるものでもないので、そのままにしているわけだが、実はこれが「できない」人がとても多い。

「ちゃんとしたもの」「きれいなもの」を残したい、と願うからだろうか、つい間違いを消したりページを破ったりしてしまう。

手帳
photo by PhotoAC

子どもの頃、日記を書こうとしたけれど続かなくて何ページかを破り捨てた経験のある人はいないだろうか? 「書けなかった自分」を無かったことにして、今日からはちゃんとやろう! と意気込むのだが、それがまたなかなか続きはしないのである。

つまりは、手帳にルールがあるとすれば「ノンフィクション」。

間違ったことも、上手くいかなかったことも、続かなかったこともそのまま残しておく、ということだけを決めてスタートしてみるといい。

そうすれば明日から敏腕マネージャーの登場が登場する。きっとあなたの手帳は大親友にだってなれるはずだ。

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