スケジュールが埋まっていないとソワソワ…【空白恐怖】への対処法とは|臨床心理士が解説
テレビ番組や『大辞泉が選ぶ新語大賞』にて大賞を受賞したことで認知度が高まっている【空白恐怖症】という言葉。デジタル大辞泉では『スケジュール帳に空白が多く、予定が記入されていない状態に不安を感じること。そういう気持ちになることを病気の症状になぞらえた言葉。』と定義されています。手帳やカレンダーアプリには常に予定がずっしり。予定がなくなると不安になってまた予定を入れるけど、自分の限界を超えて体調を崩してしまうというルーティンをくり返していませんか?『このルーティンからそろそろ卒業したい』そう考えている人は必見。そういった人の心理状態や対処法を臨床心理士が解説します。
スケジュールが埋まっていないと心配になるのはなぜ?
他人と比べる機会の多さ
今はSNSなどで周囲とダイレクトにつながることができる時代。良くも悪くも他人と自分を比較しやすい状況にあります。おしゃれなカフェや美味しそうなご飯、絶景スポットなどのいわゆる“映える”写真や、友人たちと楽しそうにしているリア充な様子を見ることによって、『自分はこんなに充実していない』とか『時間を無駄にしているんじゃないか』といった不安や焦りをかき立てられる人も多いのでは?そうした感情がスケジュールをいっぱいにするという行動をさせやすくなります。
「スケジュールが埋まっている=充実している」というステレオタイプ
世の中の傾向として、スケジュールが埋まっていることが充実しているという印象を持つ人が多いのではないでしょうか。確かにインフルエンサーをはじめ魅力的な投稿をしている人は様々な場所やものをたくさんアップしているため、イベントが多くスケジュールが埋まっているというイメージを持ちやすいかもしれません。しかし、だからといってスケジュールが埋まっていることが良いというわけではありません。たくさんのスケジュールによって『疲れた』『しんどい』と感じたり、実際に体調を崩しているならそれはやりすぎであり、スケジュールとの付き合い方を考える必要があります。
自分が抱えている問題に直面するのを避けたい
心理学の理論である防衛規制のひとつに【逃避】という考え方があります。これは面倒に感じることや向き合うことが困難な現実から目をそらし、別の現実や空想へ目を向けること。例えば、自分の中にある不安や孤独感などの感情に向き合うことが耐えられないと思うと、スケジュールを埋めるという行動をとることで、自分の中に湧いてくるネガティブな感情たちを見なくて済みます。逃避は、ある意味そうした感情たちから自分を守るためにとる行動なのかもしれません。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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