MRIは正常なのに…首こりが原因で起きるめまいとは?医師が解説する『頸性めまい』特徴と対処法
「ぐるぐる回るほどじゃないんだけど、ふわっとする」「歩いていると地面がやけに頼りない」。こういう“なんとなく不安定な感じ”のめまい、実は病院でMRIを撮っても異常が見つからないことがよくあります。そこで浮かび上がるのが“頸性めまい(けいせいめまい)”という考え方。医師が解説します。
首こりがめまいを呼ぶ? 意外と知られていない“つながり”
“頸性めまい(けいせいめまい)”とは簡単に言うと、首の筋肉がガチガチにこって、脳へ送られる体の位置情報がズレてしまうことで起きるめまいのことです。
首には意外と繊細なセンサーがたくさん仕込まれていて、頭の向きや体の傾きを常に脳へ報告しています。
でもデスクワークやスマホで同じ姿勢が続くと、そのセンサー周りの筋肉が固まり、情報が“誤送信”されてしまう。
その結果、脳は「どっちが正しいの?」と混乱し、めまいに似た症状が出る…という流れです。
病気の怖さというより、体のセンサーのバランスが崩れてるだけ――そんな印象に近いかもしれません。
症状の特徴
耳の検査も脳の検査も正常。でもフワフワする
頸性めまいに典型的なのは、以下の症状です。
- フワッと浮くような感じ
- 歩いたときに“地面が柔らかい”ような不安定感
- 首や肩のコリ、重だるさ
- 頭痛や吐き気が軽くセットになることも
特徴的なのは、耳鼻科での検査も脳の画像も問題なしなのに、症状だけは続く…というパターンが多い点です。
40代の男性のケース
▼状態
「脳の検査は全部問題なしと言われたのに、立ち上がるとふらつく」と不安顔。話を聞くと、一日8時間以上パソコンに張り付き、首はいつも前に出た姿勢。肩は岩みたいに硬い。
▼対処
首周りの筋肉をほぐして姿勢を修正するストレッチを1〜2週間続けてもらうと、「あのフワフワ感、気づいたらかなり減ってました」と表情がすっきり。
もちろん全員がこんなに素直に良くなるわけではありませんが、“首を整えたらめまいも落ち着く”という人は確かにいる――これが頸性めまいの特徴でもあります。
どう対処すればいい?
首の使い方と“ととのえる習慣”がカギ
頸性めまいは薬だけで改善するタイプの症状ではありません。むしろ普段の身体の使い方を見直すほうが効果的です。
ポイントは次の3つ。
① 首の筋肉をゆるめる
・肩すくめストレッチ
・後頭部の軽いマッサージ
・湯船にゆっくりつかる
冷えと緊張に弱いので、温めながらほぐすのが◎。
② 姿勢を“戻す”習慣を作る
・スマホは胸の高さに
・パソコンの画面を目の高さに
・30〜45分ごとに1回、立つ・伸びる
細かいことの積み重ねが効いてきます。
③ 運動は軽いものでOK
・ウォーキング
・肩甲骨の体操
・ヨガやピラティスの基礎的な動き
ジョギングや筋トレじゃなくても大丈夫。要は「血の巡りをよくして、こりを溜めない」ことが大切です。
頸性めまいは怖い病気ではありませんが、放置すると“なんとなく調子が悪い”日が増えて生活の質が落ちてしまいます。
首をちょっといたわるだけでも、意外なほど改善してくるケースは多いです。
まとめ
・MRIが正常でも、首こりが原因でめまいが起こることがある
・フワフワ感、不安定感、肩こりがセットになりやすい
・姿勢の見直し、ストレッチ、軽めの運動が改善のカギ
・怖い病気ではないが、首まわりのケアを習慣にするとラクになる
“めまい=脳の病気”とは限らないので、「最近デスクワーク長いな」「スマホ首かも」と思い当たる人は、ぜひ首まわりをゆっくりリセットしてみてください。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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