「立ちくらみ」「めまい」が続く人へ。貧血だけじゃない“見逃されがちな原因”とは?医師が解説
朝起きたとき、急に立ち上がったとき、あるいは何気ない日常の中でふと感じる「立ちくらみ」や「めまい」。見逃されがちな原因や、その対処法について、医師の見地からわかりやすく解説していきます。
「立ちくらみ」「めまい」が続く人へ。貧血だけじゃない“見逃されがちな原因”とは?
一瞬視界が白くなったり、体がふわふわと浮いているような感覚に襲われるなどの症状が「最近よく起こるな」と感じていませんか?
よく「貧血かな」と自己判断して、鉄剤を飲んだり食事を見直したりする方もいます。
もちろん、貧血は立ちくらみやめまいの代表的な原因のひとつですが、実はそれだけではありません。
まず、混同されがちな「立ちくらみ」と「めまい」ですが、医学的には少し意味が異なります。
立ちくらみ(起立性低血圧)
急に立ったときなどに、血圧が一時的に下がって脳への血流が減り、目の前が暗くなったり、意識が遠のくような感覚です。
めまい(眩暈)
ぐるぐる回るような感じ(回転性)や、フワフワ揺れるような感じ(浮動性)など、平衡感覚に異常をきたしている状態です。
どちらも日常的に起こりうる症状ですが、原因がさまざまで、時に重大な病気が背景にあることもあります。
「貧血」だけではない原因として、以下の要因が挙げられます。
自律神経の乱れ(起立性調節障害など)
特に若年層やストレスの多い生活をしている人に多くみられるのが、自律神経のバランスが崩れることによって起こる症状です。
立ち上がったときに血圧の調整がうまくいかず、立ちくらみを繰り返します。
朝が苦手で、午前中は体がだるいという人にも見られがちです。
低血圧・脱水
水分や塩分が足りていないと、体内の血流量が不足し、血圧が下がりやすくなります。
特に、夏場や運動後は注意が必要です。
カフェインや利尿薬の取りすぎも関係することがあります。
耳の異常(良性発作性頭位めまい症、メニエール病など)
平衡感覚をつかさどる内耳に異常が起こると、ぐるぐる回るような回転性のめまいが現れます。
寝返りをうったときや、顔の向きを変えたときに強く感じるなら、耳の病気が疑われます。
脳の疾患(脳梗塞、脳出血、小脳の異常など)
頻度は低いものの、命に関わるケースもあります。
めまいに加えて、手足のしびれやろれつが回らない、歩行が困難などの症状がある場合は、すぐに病院を受診してください。
薬の副作用
降圧剤、抗うつ薬、睡眠薬など、一部の薬が副作用として立ちくらみやめまいを引き起こすことがあります。
最近薬を飲み始めた、あるいは種類が変わったという場合は、医師や薬剤師に相談をしましょう。
心因性めまい(ストレス・不安障害など)
身体的な異常が見つからない場合でも、心の状態が影響しているケースがあります。
不安やパニック障害、過換気症候群などが背景にあると、フワフワしためまいが慢性的に続くこともあります。
「立ちくらみ」「めまい」がするときの対処法とは?
まずは体調を観察することが大切です。
症状が軽度であっても、「ただの貧血」と決めつけずに、症状が出るタイミング(朝?夜?動いた後?)、どんな感覚か(目の前が暗くなる?回転する?揺れる?)、他に体の不調はないか(頭痛・耳鳴りなど)などをチェックしましょう。
これらを記録しておくと、病院での診断に役立ちます。
自分でできる対処法として、以下のような方法で、日常生活の中でも立ちくらみやめまいの頻度を減らすことができます。
1、こまめな水分・塩分補給を心がける
特に、夏場は脱水による立ちくらみが増える季節であり、麦茶や経口補水液などこまめに水分補給することがおすすめです。
2、急な動作を避ける
立ち上がるときは、まず足を軽く動かしてからゆっくり起き上がるようにしましょう。
3、腹式呼吸・リラックス法を取り入れる
自律神経の乱れが疑われる場合は、ストレッチや深呼吸、瞑想なども効果的です。
4、十分な睡眠と栄養をとる
睡眠不足や食生活の偏りも原因になります。鉄分やビタミンB群の摂取も心がけましょう。
5、医療機関を受診すべきサイン
次のような症状がある場合は、できるだけ早く医師の診察を受けてください。
- 頻繁に意識が遠のく、倒れる
- ろれつが回らない、手足がしびれる
- めまいとともに耳鳴りや難聴がある
- 症状が長く続き、日常生活に支障が出ている
まとめ
「立ちくらみ」や「めまい」は、誰にでも起こりうる身近な体調不良ですが、その原因は非常に多岐にわたります。
「ただの貧血かな」と安易に片づけてしまうと、見逃される病気もあるため注意が必要です。
大切なのは、日頃の自分の体調の変化に敏感になることです。
そして、必要に応じて医療機関で検査を受けることです。
特に、症状が頻繁に起きるようであれば、一度しっかりと原因を突き止め、正しく向き合うことが回復への近道になります。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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