「めまい、耳鳴りが辛い…」メニエール病になりやすい人の特徴は?予防のためにできること|医師が解説

 「めまい、耳鳴りが辛い…」メニエール病になりやすい人の特徴は?予防のためにできること|医師が解説
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-05-19

メニエール病という病気について、どんな人がなりやすいのか、予防のためにできることについて医師が解説します。

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メニエール病とはどのような病気か

メニエール病とは、体の平衡感覚をつかさどる耳の奥の“内耳”にリンパ液がたまることによって生じる病気のことです。

主に、メニエール病は中高年齢層で発症することが多く、発症すると回転性のめまい・耳鳴り・難聴などの典型的な症状が出て、耳が詰まったような違和感や軽度の聴力低下が引き起こされます。

体の平衡感覚に異常が起きて回るようなめまい症状が、通常片方の耳にのみ生じますが、もう片方の耳に発症することも多く、一度症状が治まっても再発を繰り返していく過程で聴力が徐々に低下することが特徴のひとつです。

急な吐き気や冷や汗、動悸を伴うことも多く、めまいの持続時間は30分から数時間、めまいの起こる頻度も連日から年に1回という人までケースバイケースです。

また、めまい症状が起こる前に、耳鳴りや難聴、耳が詰まった感じなどの症状が現れることが多く、ほとんどは片方の耳に起こりますが、その後、20~30%の人がもう片方の耳にも起こります。

メニエール病
耳の構造
イラスト/Adobe Stock

メニエール病になりやすい人とは

メニエール病は原因不明の特発性疾患であり、メニエール病を特異的に診断する確定診断法はいまだ確立していないと言われています。

これまでの研究では、メニエール病は、耳のいちばん奥にある「内耳」の病気であり、メニエール病の原因は、内耳にある三半規管と蝸牛を満たす内リンパ液が増加しすぎることが関係していると考えられています。

メニエール病の発症原因は明確に分かっていませんが、日々の過労やストレスがきっかけとなって起こると考えられていて、自分や周囲がぐるぐる回るような激しいめまい症状が出現します。

メニエール病は、40〜60代が発症しやすく、男性よりも女性に多く発症すると言われていて、傾向として責任感が強く、几帳面で完璧主義な性格の人が罹患しやすく、慢性的な日々の疲労などストレスがかかると症状が増悪すると考えられています。

メニエール病の治療予防策は?

浮動性めまい症状や耳鳴り、聴力低下などの所見を引き起こすメニエール病は、しっかりと治療を行えば完治しますので、様々な発症リスクを回避することが大前提となります。

専門医療機関での基本的な治療は薬物療法ですが、メニエール病は治療が難しいことも少なくなく、メニエール病はストレスや疲れがたまったときに再発しやすいため、生活習慣を改善して症状の再燃を予防していく必要があります。

また、鼓膜に穴をあけ、鼓膜の内部にゲンタマイシンなどの抗菌薬剤を直接注入する鼓室内注入術を実施することもあります。

自律神経障害や精神的なストレスがメニエール病の発症原因に強く影響している場合は、医療機関の受診も必要ですが、自分でストレスにならないような環境づくりも大事です。

メニエール病の症状が顕著に出ている時は無理せず、日常生活に支障が出ている場合は早めに医師へ相談しましょう。

まとめ

これまで、メニエール病とはどのような病気か、メニエール病になりやすい人の特徴や治療予防策などを中心に解説してきました。

メニエール病は反復する慢性疾患であり、多くはめまい発作を繰り返すたびに症状が悪化し、進行の早い人では5年から10年で日常生活に支障を来すほどの高度の難聴になってしまうこともありますので、症状を放置せずに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

メニエール病に対する治療予防策の基本は生活習慣の改善であり、特に日常的なストレスの原因を突き止めて、十分な睡眠をとりながら疲労感を溜めないこと、あるいは積極的に気分転換をしてストレスを自分なりに解消する方法を見つけることが効果的です。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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