その不調…夏バテじゃなく「貧血」かも?症状を改善・予防するための食事法を管理栄養士がアドバイス
梅雨が明けて本格的な夏の気候に移り変わっていく時期は、熱中症や夏バテの症状が出やすい季節でもあります。毎日の強い紫外線や熱風を感じ、頭がぼーっとしたり、頭痛やめまい、立ちくらみなども起きやすくなりますが、その症状、実は夏バテではなく貧血かもしれません。今回は、夏バテに似ている貧血の症状を改善するための食事について、管理栄養士が解説します。
貧血の症状とは
貧血は、血液中のヘモグロビンの減少によって起こります。そのほとんどが、ヘモグロビンの材料である鉄分の不足が原因の鉄欠乏性貧血で、女性に多くみられます。めまいや立ちくらみ、倦怠感や頭痛、気力低下、肌荒れ、爪の変形などの不調が現われます。最近の国民健康・栄養調査では、日本人女性の約40%が貧血で、鉄分の必要量の約6割ほどしか摂れていないという記録があります。ダイエットの影響も大きく、身体活動に必要な栄養素が不足している低栄養状態も問題になっています。
夏バテと間違えやすい理由
夏場は、体内の鉄分が汗とともに流れ出たり、暑さから食欲が低下し、食事量が減少することで鉄分の摂取量が少なくなるため、貧血の症状が出やすい季節です。一方、夏バテは主に暑さによる体調不良で、自律神経の乱れや脱水といった症状が特徴です。とくにめまいやたちくらみなどの症状は、暑さによるものと勘違いしやすく、貧血に気づきにくいことが多く見受けられます。
貧血を改善・予防するための食事法
夏の貧血を予防するために大切なことは、日頃から鉄分の多い食事を意識して摂っていくことです。鉄はミネラルの中でも吸収されにくい特徴があります。レバーや魚類などの動物性の食品に含まれている【ヘム鉄】と、小松菜などの緑黄色野菜や大豆製品に含まれている【非ヘム鉄】を組み合わせて摂るようにすると良いでしょう。ヘム鉄の方が吸収率が良いので、たんぱく質も補給する目的で毎日の食事に取り入れていくと効果的です。
≪鉄分を多く含む食材≫
豚、鶏レバー・牛もも赤身肉・マグロ・カツオ・シジミ・アサリ・大根の葉・小松菜・枝豆・納豆・生揚げ
また、貧血を予防、改善するためには鉄だけでなく、鉄分の吸収を高めるビタミンCを同時に摂取することが大切です。ビタミンCは鉄分を吸収されやすい形にし、ヘモグロビンの合成を促す作用があります。
《ビタミンCを多く含む食材》
野菜類:赤ピーマン・ブロッコリー・かぶの葉・ゴーヤ・じゃが芋・さつま芋
果物類:キウイ・レモン・柿・イチゴ・オレンジ・グレープフルーツ
まとめ
鉄分を多く含む食材、吸収を良くする食材を補給することで、貧血だけでなく夏バテも予防することができます。暑い日でもしっかりと食事を摂り、夏を乗り切りましょう!
《参考文献》
1週間にひとつずつ心がバテない食薬習慣/大久保愛
新しい栄養学/高橋書店
貧血・かくれ貧血|女性特有の健康課題/厚生労働省
《ライター》やなぎかおり
特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経て、ヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。
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