最新研究|菓子パンやスナックの代償…超加工食品をよく食べる女性は“腸ポリープ”リスクが1.5倍

最新研究|菓子パンやスナックの代償…超加工食品をよく食べる女性は“腸ポリープ”リスクが1.5倍
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山口華恵
山口華恵
2025-12-08

コンビニやスーパーで手に取る菓子パンやスナック、甘い飲み物、温めるだけのレトルト食品。忙しい日々に便利なこれらの食品が、体の中でどのような影響を与えているか、最新の研究で少しずつ明らかになってきた。

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便利な食品の“見えない代償”

米国の医学誌 『JAMA Oncology』に発表された最新研究によると、菓子パンやスナック、甘い飲み物、温めるだけのレトルト食品などの超加工食品を多く食べる女性は、将来的に大腸がんにつながる「腺腫(ポリープ)」を作るリスクが約1.5倍になることが分かった。腺腫は初期ではほとんど症状がないが、大腸がんの約75%がここから発生する“がんへの入り口”のような存在だ。

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加工品をよく食べる人ほど腺腫が見つかりやすい傾向

今回の研究では、ハーバード大学などが参加する「Nurses’ Health Study II(看護師健康研究 II)」のデータを用いた。対象は24〜42歳の女性約3万人で、24年間にわたって食事内容や生活習慣をこまめに記録したものである。さらに50歳前に一度は大腸内視鏡検査を受けている人を分析対象としている。調査では、どの食品をどのくらい食べているかを細かく報告する「食品頻度アンケート」を使い、超加工食品の摂取量を評価した。こうした膨大なデータを基に分析した結果、甘い飲み物や加工スナック、調味料が多く含まれる食品をよく食べる人ほど、腺腫が見つかりやすいことが分かった。ちなみに今回女性のデータを分析したのは、長期間の大規模データが整っていたからであり、性別限定の現象ではない。研究者たちは、男性でも同じ傾向があると指摘する。

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腸の炎症と腸内細菌の乱れがリスクを高める

なぜ超加工食品が腸に悪影響を与えるのだろうか。加工食品には糖分や脂肪、塩分が多く含まれるだけでなく、保存料や人工甘味料などの添加物も加わっている。これを続けて食べると、腸の粘膜に炎症が起きやすくなり、細胞の修復力も低下する。さらに、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、腸の細胞ががん化しやすい状態になってしまうことも分かっている。こうした状態が長く続くと、小さな腺腫ができやすくなる。若い世代の大腸がんが世界的に増えている背景には、こうした食生活の欧米化や加工食品への依存が関係していると考えられている。通常、大腸がん検診は日本でも40歳からが推奨されているが、20〜30代で発症するケースも増えてきている。症状がなくても腺腫は成長するため、食生活の見直しは早いうちから重要だ。

完全に避ける必要はなくても少し意識を高めるだけで腸は変わる

しかしながら、加工食品を完全にやめる必要はない。実際のところ、忙しい毎日のなかで、便利さを捨てるのは現実的ではない。そこで毎日の選択を“少しだけ意識すること”が重要だ。

  • 甘い飲み物をお茶や水に替える
  • 食事に野菜や果物を一品追加する
  • レトルトの日はサラダや果物を添える

こうした小さな工夫でも腸の健康に大きな効果があり、私たちの生活習慣次第でリスクを下げられることも今回の研究は示している。若い世代の大腸がんが増えている今こそ、自分の腸を守るための小さな工夫を日常に取り入れることが、未来の健康につながるのだ。

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出典:
Ultra-processed foods linked to increased risk of precancerous polyps, study finds
Eating more ultra-processed foods tied to increased risk of early-onset colorectal cancer

Ultra-Processed Foods Linked to High Risk of Colon Cancer in Women, Study Finds

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