【欧州40万人データを解析】超加工食品の摂取で死亡リスクが23%増加、3つの疾患との関連を示唆


「超加工食品」の摂取が健康に与える影響に関する研究が、新たな警鐘を鳴らしている。欧州の9カ国から集められた40万人以上のデータをもとにした研究によれば、超加工食品の摂取量が多い人は、パーキンソン病、心血管疾患、消化器疾患の3つの主要疾患による死亡リスクがそれぞれ大幅に増加することが示された。
パーキンソン病による死亡リスクが25%も増加
今回の研究は、フランスのソルボンヌ・パリ・ノール大学とスペインのナバラ大学の研究者たちによるもので、癌と栄養に関する欧州前向き調査(EPIC)プロジェクトの一環として行われた。欧州9カ国から集められた40万人以上のデータをもとに行われた調査では、特にパーキンソン病、心血管疾患、消化器疾患の三つの主要な疾患に対し、超加工食品の影響が顕著であることが明らかになった。この研究では、超加工食品を多く摂取する人は、パーキンソン病による死亡リスクが25%も高いことが明らかになった。パーキンソン病自体が直接的に死因となることは稀だが、この疾患は体への大きな負担を伴い、免疫力の低下を通じて致命的な感染症に罹患しやすくなるとされている。超加工食品の摂取割合が13.7%を超える場合、このリスクが特に顕著になるという。
心血管疾患と消化器疾患のリスク増、総死亡リスクも4%増加
さらに、超加工食品の摂取は心血管疾患や消化器疾患の死亡リスクにも影響を及ぼしていた。心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクはそれぞれ5〜9%、11%増加しており、消化器疾患の死亡リスクは12%増加していた。消化器疾患には肝疾患や消化性潰瘍、虫垂炎などが含まれる。そして、全体的に超加工食品の摂取量が多い人は、あらゆる死因による早期死亡リスクが4%増加していることも分かった。ただし、超加工食品の摂取を一部減らし、その代わりに果物や野菜などの未加工食品を取り入れることで、このリスクを軽減できる可能性はあるという。例えば、超加工食品の摂取を10%削減し、その分を未加工食品に置き換えると、パーキンソン病による死亡リスクが22%、消化器疾患が18%、脳卒中が13%、心血管疾患が11〜12%減少するという結果が得られたのだ。

超加工食品とは?
超加工食品は、一般的に家庭での調理では使用しない添加物を含む食品を指す。これには、化学物質、着色料、甘味料、防腐剤などが含まれ、賞味期限を延ばす役割を果たす。具体例としては、スナック菓子、市販のケーキやビスケット、一部の加工肉製品が挙げられる。
研究者たちは、超加工食品が体内でどのように影響を及ぼすのかについても注目している。多くの超加工食品は複数の工業的な加工工程を経ており、これにより食品の物理的構造が変化する。その結果、食後の血糖値が急激に上昇し、満腹感が減少し、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)にダメージを与える可能性が指摘されている。また、増粘剤、乳化剤といった食品添加物は、腸の炎症やホルモン反応に影響を与え、心血管疾患や脳卒中のリスクを高める可能性があるとされている。

国ごとに異なる超加工食品の摂取率
また、今回の研究では、国ごとの超加工食品摂取率にも大きな違いがあることが分かった。ノルウェーでは、超加工食品が食品全体の23%を占め、最も高い割合を記録した。次いでイギリスが約20%、ドイツが17%と続く。一方、フランスやスペイン、イタリアでは超加工食品の摂取割合が7〜10%と低い水準に留まっていた。イタリア、フランス、スペインなどの地中海地域は、バランスが良く健康的な地中海食の影響なども考えられる。

食生活の見直しがもたらす明るい未来
研究者たちは、食生活の改善を進めるために、食品ガイドラインの見直しや未加工食品の積極的な摂取を提言している。特に、果物や野菜をはじめとした自然食品を増やすことが、死亡リスクを効果的に軽減する一助となると考えられている。今回の研究は因果関係を断定するものではないが、加工食品の摂取を控えることが健康的な生活を送る上で重要であることを示唆する貴重なデータだ。日々の食事が私たちの健康に直接影響を与えることは疑いの余地がない。ほんの少しの意識で、加工食品を控え、自然食品を取り入れるだけで、将来の健康リスクを大きく減らすことができる。

出典:
Eating ready meals makes you 23 per cent more likely to die from three major killers, study shows
Mortality risks soar with ultra-processed foods - simple diet changes can help
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