【ストレートネックかもと悩んでいるなら】首の自然なカーブを取り戻すのに役立つ思考術
体の不調の要因として、習慣に任せた惰性的な動作によって、特定の部分を必要以上に力ませて動作を制限させていることがあります。このコラムでは、そんな力みをできる限りなくして効率的に体を使うことを探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、体に関する様々な悩みについて解剖学的な視点を交えて考察し、思考から動作を変える方法を提案します。60回目のテーマは「ストレートネック」です。
首や肩がつらいのはストレートネックのせい?
パソコンやスマホを使うことが日常となり、一方でストレートネックという問題もよく話題に上るようになりました。私たちの首は脛骨という小さな7個の骨で構成されています。大きさも形も微妙に違う7個の骨が前に向かってカーブするように積み重なっているのですが、このカーブがない状態をストレートネックと呼びます。そもそも首はカーブの具合が緩んだり深まったりすることによって頭を支えるようにできているので、カーブがなくなってまっすぐなまま固定されてしまうと首や肩への負担が増えるのです。
しかしながら、首のレントゲンを撮って細かく角度を測らないことには正確にストレートネックであると判断するのは難しいようです。また骨の形は千差万別で、カーブの弯曲具合も人それぞれ。生まれつきストレートネックに近い形状をしている人もいます。しかもレントゲンでは今の自分の状態しか確認できませんから、先天的なのか後天的なのかわからないこともあります。このようにストレートネックの定義やスマホなどとの関係性は実は曖昧なところが多いため、自分はストレートネックだと決めつけて悩むより、「ストレートっぽい状態で首を固めてしまっている」という程度に収める方がいいのかもしれません。
スマホを見るときの動作が不調となる経緯
とはいえ、スマホやパソコンを使うときにどのように体を動かしているのかよっては、ストレートっぽい状態で首を固めてしまうのも事実です。例えばスマホを見るときは俯き気味に覗き込むような行為をすることが多いです。パソコンのモニターを集中して見ようとするときも似たような感じでしょう。このとき、私たちはあごを上げて顔から動かすということをしています。そうすると首の後ろがキュッと縮まって強張ります。
一方で、姿勢は正したいと思う人も多いでしょう。ただ無闇に背すじを伸ばそうと胸を張ると、肩甲骨を寄せて腰を反らすという動作を無意識にして、上半身に本来なら必要ないはずの力が入りやすくなります。この必要以上に力んだ上半身で強張った首とのバランスをとったり、固まった首の先にある頭を支えたりすることになるので、首や肩への負担が増すのだと考えられます。
ストレートっぽい状態で首を固めるのをやめる考え方
1. 頭を意識する
まずは「頭は首の上で自由に動いている。そしてその下にある首も常に動いてバランスをとっている」とイメージします。
ちなみに頭と首の接点は耳たぶの後ろの辺りです。これをイメージに加えると、頭は思っていたよりも高いところにあるとわかって、体がより軽く感じられることでしょう。
2. 見るという行為に全身を参加させる
1で余計な力みがなくなった体は上半身はもとより、股関節などの下半身の関節も本来の自由さで動けるようになっています。スマホやパソコンを使うときは、「そんな体全ての関節が連動的に動くことによって見ることが自然とできている」とイメージしてください。
見るという行為を目や顔だけでの動作として捉えず、全身、特に股関節・膝・足首も動いていて見ることに参加しているということを思うと、いつもより楽に動けると思います。
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