【階段を上るのがしんどい…】ポイントは膝の位置!頑張らずに脚を動かすのに効果的な思考術
私たちの体は必要以上に力ませるのが日常的になっています。このシリーズでは、そんな無自覚の力みが様々な動作に及ぼす影響について探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、特定の動作とそこにまつわる悩みを解剖学的な視点を交えて考察します。そして思考を通じて、動作をより楽に、スムーズにする方法を提案します。58回目のテーマは「階段を上り方」です。
階段を上るのがつらい、膝が痛くなる!
目の前にそびえ立つ階段。上がらなければ先に進めないので頑張るのは当然ではありますが、だんだん脚を持ち上げるのがつらくなることがあります。人によっては膝の痛みもあって、上がるのに時間がかかることも。
脚を動かすのがつらい原因として挙げられるのが、主に股関節や膝周辺の筋肉の衰えです。しかしながらそれに加えて、「階段を上ろう」という意気込みが全身の筋肉を必要に以上に力ませて動きにくい状態に自分で追い込んでいることも、階段を上るハードルを上げていると考えられます。
階段を意識して全身を力ませ固める
私たちの体はプレッシャーになるような刺激を受けると、頭で脊椎を押し下げて体を縮ませるという行為を日常的に行っています。それによって首や胸・背中、腰、股関節、膝、足首といった全身の関節の可動性が失われ、逆にあまり動かないようにロックしてしまいます。これが無自覚に入っている全身の力みの正体です。
公共施設のように大きなものでも、自宅の2階に上がる小さなものでも、階段は存在そのものがかなりのプレッシャーになります。なので階段を意識するだけも体を相当縮ませている可能性はあります。また踏み外さないよう足元だけに集中していると、より体を縮ませます。
これに膝の痛みが加われば、痛いところをかばおうとして膝の関節周辺の筋肉をさらに固まらせてしまいます。膝は股関節と連動しているので、膝が固まれば股関節まで動きにくくなるという悪循環に陥り、その中で無理をして脚を動かそうとすることで階段上りの大変さを助長するのでしょう。
スムーズに階段を上るためのイメージ法
階段を上る動作をスムーズに行うには、脚を持ち上げようと頑張るより、上るために必要な関節が動いている様子をイメージする方が効果的かもしれません。
1. 膝の関節の構造を確認する
まず下の図を見て、膝の関節の構造に関する認識をアップデートしましょう。
膝というとお皿(膝蓋骨)に目がいきがちですが、関節として動いているのは膝蓋骨の裏側。しかも膝蓋骨より下の位置で太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)が接しています。
そして脛骨の上の部分が面になっており、大腿骨の先端の丸い部分がその面の上を滑るように動くことで、膝の曲げ伸ばしができるのです。
2.「頭は耳たぶよりも高いところにある」と思う
次に頭が自分の体のどこにあるのかを思い出しましょう。頭を意識すると脊椎から始まる様々な関節にかけられていた制限が緩和され、全ての関節がいつでも自由に動けるよう体の準備が整います。
また頭を意識することで視点も高くなり、行き先(階段の上)も明確になります。
3.「膝はお皿の下で動く」と思って脚を踏み出す
一歩を踏み出すときには、1を踏まえて「お皿の下の位置で膝は動いている」と思って脚を動かしてみて。
膝の動きを明確にすることにより、連動している股関節も必要な力で必要な分だけ動いてくれることでしょう。
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