【つま先立ち運動でふらつくのはなぜ?】不安定になりやすいつま先立ちを安定させるための思考法

【つま先立ち運動でふらつくのはなぜ?】不安定になりやすいつま先立ちを安定させるための思考法
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せっかく始めたエクササイズがなかなか効果的に進まないってことがありますよね。それは習慣的に動くことに任せているが故に、本来なら必要ではない筋肉までもが使われているせいかも。このシリーズでは動作の効率性を探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、余計な力みがエクサイズの効果に与える影響について解剖学的な視点を交えて考察します。そして思考によって動作を変える方法を提案します。59回目のテーマは「つま先立ち運動」です。

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つま先立ち運動がフラフラして安定しない!

立つスペースさえあればできるつま先立ち運動は、ふくらはぎや足首周辺をはじめとした脚の筋肉を鍛えるエクササイズとして定番です。歯磨きをしながらなど、日常生活の中でも容易に導入でき、思い立ったらすぐにできる手軽さもいいですよね。

ところで、かかとを上げ下げするだけなのにふらついてうまくいかないとお悩みではありませんか? 脚や体幹を支える筋肉が十分に鍛えられていないせいだと自分を責めて、闇雲に頑張っている人もいることでしょう。つま先立ち運動は筋トレなので、然るべき筋力が備わっていないと理想通りにうまくいかないのは確かです。ただそれ以前に、必要がないところを余計に力ませてふらつきやすい状態にしたうえで、無理をしているケースも考えられます。

「良い姿勢」がつま先立ちの邪魔をしている

そもそも足裏全体でとっていたバランスをつま先だけで担うので、フラフラしやすいのは当然のこと。これに対してつま先立ちをするとき、私たちは無意識に「良い姿勢」でかかとを引き上げようとしたくなるようです。その方が安定するという思い込みもあるでしょう。この姿勢を正すという行為で体によく起こるのが、肩甲骨を寄せて、腰を反らすという動作。目に見えるか見えないかというわずかな違いですが、これによって背中や腰、お腹に必要のない余計な力みが生まれます。そしてこの力みが股関節にも影響して、全身をぎこちなくします。

またその状態でかかとを引き上げることばかりに意識が集中していると、お腹から太ももの前面にかけての筋肉まで力んでしまいます。これらの筋肉の緊張は股関節の可動域をさらに狭め、連動的に膝と足首の動きを制限します。このように、巡りめぐってバランスがとりにくい体勢へと自分で追い込んでいるわけです。

自然な姿勢で無理なくつま先立ちをするためのイメージ術

意識したいのは体の構造に添った自然な姿勢で行うこと。そこで次のことを試してみてください。

1. 頭を意識する
頭頂部や前頭部・後頭部、左右両方の側頭部などに手を置いてみましょう。触れるという刺激によって、そこに頭があることを体が思い出してくれます。

頭を意識する
イラストAC

2. 地面とのつながりや頭の上、前後左右の空間を意識する
「頭の下には首や胴体、脚があり、足裏を通して地面につながっている。その一方で頭頂部の先には天井があり、頭はそちらへ向かって伸びている」と思います。
さらには自分を取り巻く前後左右の空間もイメージに加えます。
空間を通して自分の体を認識することで、体に入っていた余計な力みをやめることができます。

地面とのつながりや頭の上、前後左右の空間を意識する
イラストAC

3. かかとを上げるときは胸郭が後ろから前へ回転するイメージ
かかとを上げるときは、胸や背中で構成される胸郭全体が後ろから前の方向へ回転すると思いましょう。その回転のエネルギーで頭頂部はさらに天井へ向かい、連れていかれるようにかかとが上がるとイメージしてください。
実際に胸郭を回転させるわけではありませんが、そのようなイメージがあるだけで、窮屈な「良い姿勢」をやめ続けることに役立ちます。

胸郭が後ろから前の方向へ回転する
イラストAC

 

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頭を意識する
地面とのつながりや頭の上、前後左右の空間を意識する
胸郭が後ろから前の方向へ回転する