【切り傷を負った直後に食べた食品がアレルギーの原因になる!?】研究結果が示唆

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2025-08-12

研究から見えた皮膚とアレルギーの不思議な関係とは?

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皮膚に切り傷や日焼けがある際に、今まで食べたことのない食物を口にすると、その食品に対するアレルギーが発症するリスクが高まる可能性があることが、イエール大学医学部が主導した新たな研究で示された。

皮膚の損傷とアレルギーの関係

マウス実験において、皮膚に損傷を受けた直後に新しい食品を腸内に投与したマウスが、その食品に対してアレルギー反応を示した。以前に摂取したことがある食品に対してはアレルギーは発症しなかった。また、皮膚の損傷から数時間以内にアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)の投与があった場合にはアレルギー反応が見られたが、翌日に投与された食品には反応しなかった皮膚の損傷は、アレルギーに結びつく抗体の産生を促進する。この反応は体液性免疫と呼ばれる。生物の防御システムによる過剰反応がアレルギーを引き起こす可能性があり、これが離れた体の部位間で機能することが示されたのはこれが初めてとなる。アレルゲンが皮膚の損傷を利用して体内に侵入する仕組みについては既に知られているが、今回の新たな発見を踏まえ、研究者はこの現象を「局所プライミング」と名付けている。対して、今回の実験で見られた体の離れた部位間で起こった体液性免疫反応を「遠隔プライミング」と定義している。

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体の離れた部位間で反応が起こる仕組み

今回の実験では、サイトカインと呼ばれる情報伝達を行う物質が抗体反応を引き起こすことが示された。皮膚が損傷を受けるとサイトカインが腸内で警告信号を発し、それが遠隔プライミングの重要な最初のステップとなる可能性が指摘されている。これにより、体は皮膚という遠隔で起こった損傷を腸内にある新しい食品のせいにし、次にその食品に遭遇した際に免疫反応を引き起こす可能性が示唆されている。

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研究の今後

食物アレルギーの存在は、科学的な謎の一つだ。なぜなら、免疫学的に見ると、腸は通常、耐性が高。進化の観点から考えると、偏食が種の進化を妨げる可能性があることは容易に理解できる。そのため私たちの腸は、食べ物や飲み物に対してかなり耐性を持つように進化してきた。しかし、もし食物アレルギーが、皮膚のような異なる器官での免疫反応に起因する場合、この謎の一部を説明できる可能性がある。今回の結果はマウスだけでなく人間においても確認が必要となるが、この研究は、食品アレルギーの理解を深めるだけでなく、将来的な治療法の開発につながる新たな可能性を提示している。また、皮膚の損傷が可視的な切り傷、擦り傷、やけどを超えた影響を与えることを明らかにしている。「これらの結果は、皮膚の炎症の治療の重要性を真に浮き彫りにしています。」「皮膚疾患の治療は、目に見える症状を治療するだけでなく、皮膚内の炎症や他の全身性疾患のリスクにも対処することが重要です。」と、イエール大学医学部の皮膚科医アンナ・アイゼンシュタイン氏は述べてる。

出典

https://medicine.yale.edu/news-article/skin-injury-may-bring-on-food-allergies/

https://www.sciencealert.com/skin-injuries-and-food-allergies-may-have-a-mysterious-connection

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