食物アレルギー表示が変わっている?くるみやナッツが追加?管理栄養士が教える、最新の特定原材料
昨年から、食物アレルギー表示の品目が変更になっていることをご存知でしょうか。2023年にはくるみが推奨から義務表示へと移行し、2024年には推奨表示にマカダミアナッツが新しく追加されました。近年ナッツ類のアレルギーの症例が増えていることから、このような見直しが図られています。本記事では、最新の食物アレルギー表示について解説します。
日本の食物アレルギー表示について
日本では、現在28品目の食品がアレルギー表示の義務・推奨表示に指定されています。義務表示の8品目を「特定原材料」、推奨表示の20品目を「特定原材料に準ずるもの」に分け、その2つを合わせて「特定原材料等」と呼びます。
前述のとおり、2023年にくるみが推奨から義務表示へ移行したほか、2024年には推奨表示にマカダミアナッツが追加されました。同時に、それまで推奨表示にあったまつたけは削除されています。
現在の食物アレルギーの対象食品は、下記のとおりです。
義務表示(特定原材料)
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
推奨表示(特定原材料に準ずるもの)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
なぜ食物アレルギー表示に新たなナッツが追加されたの?
近年立て続けに食物アレルギー食品に関する法改正がおこなわれたのは、ナッツ類のアレルギーが増加しているためです。消費者庁の調査によると、即時型食物アレルギーの原因食物として1位が鶏卵、2位が牛乳だったのに対し、3位がナッツ類となっています。ナッツ類のうち過半数をくるみが占めることからも、くるみによる食物アレルギーの発症ケースが多いことがわかります。
1・2歳、3~6歳、7~17歳の年齢別の原因食物においても、ナッツ類は3位以内に入っています。子どもの食事において、離乳食期は慎重に食品を少量ずつ与えますが、成長とともに全ての食品をチェックするのは難しくなってきます。ナッツ類は子どもが食べる頻度が多くはなく、ある程度大きくなってから食べた際、初めてアレルギーに気づくケースもあります。
実際の食品表示をみてみよう
食物アレルギー表示は原則個別表記ですが、パッケージの面積の都合などで文字数を減らしたい場合は一括表示も可能となっています。上の写真の商品の場合、ココアバターと乳化剤の間に/があり、ここで食品と食品添加物が分けられています。食物アレルギー表示について、食品は(○○を含む)という文言を使用し、食品添加物は(○○由来)と表示するルールがあります。
「本品製造工場では、卵・ピーナッツを含む製品を生産しています。」の文章は、コンタミネーション(原材料として使用していなくても、他の商品を製造する際に使用するアレルゲンが混入すること)の可能性があることから、注意喚起の表示として認められています。この際、「○○が入っているかもしれません」のような曖昧な可能性を示す文章はNGとなっています。
食品表示を食生活に生かそう
本記事では最新の食物アレルギー表示について、変更内容や表示の読み方もふまえて解説しました。一方で食品表示法は加工食品におけるルールであり、対面販売や飲食店での提供においては義務・推奨はないことにも注意が必要です。パッケージの食品表示を正しく読み解くことで、日々の食生活に役立てましょう。
〈参考文献〉
AUTHOR
栗城智子
大学卒業後、食品メーカーにて商品開発や品質保証の業務に従事し、管理栄養士を取得。特定保健指導やドラッグストア勤務において、人々の食事や健康、サプリメントに関する悩みに寄り添う。上記資格のほかフードスペシャリスト、離乳食・妊産婦食アドバイザー、日本化粧品検定1級、アロマテラピーアドバイザーなどの資格を保有。食と健康について学びを続けている。現在は子育てをしながら管理栄養士ライターとして執筆や商品監修に携わる。
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