日本人の閉経年齢の中央値は52歳。閉経が遅い人の特徴と閉経が遅い場合の健康リスクとは|医師が解説

 日本人の閉経年齢の中央値は52歳。閉経が遅い人の特徴と閉経が遅い場合の健康リスクとは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-02-09

閉経が遅い人の良い面と悪い面について、医師が解説します。

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閉経が遅い人の特徴とは?

自然の状態で月経が1年こない状態を閉経と呼びます。

閉経する時期は、個人差が大きく、早いことも遅いこともあります。

一般的には、日本人の閉経年齢の中央値は52歳であり、日本産科婦人科学会の調査によると90%の人が閉経する年齢が56.3歳と言われています。

したがって、55~56歳のラインが「閉経が遅い」と言えるかもしれません。

閉経が遅い人の特徴として、健康的な生活習慣であることが挙げられます

健康的な生活習慣、特にバランスの取れた食生活と定期的な運動は、閉経を遅らせる効果があるとされています。

また、出産歴や出産経験がある女性は、そうでない女性に比べて閉経が遅れることがあります。

喫煙は閉経を早める傾向がありますので、非喫煙者であることも閉経が遅れる一因になることがあります。

遺伝的要因も考えられていて、母親や姉妹の閉経時期が遅い場合、自分自身も閉経が遅くなる傾向がありますし、体脂肪が多い女性は、脂肪組織からのエストロゲンの分泌により、閉経が遅れる傾向にあります。

このように、閉経年齢は、その人それぞれの健康状態や生活環境、遺伝様式など、さまざまな要因に左右されるということが判明しています。

閉経が遅い場合の健康リスクとは

閉経が遅いということは、体内にエストロゲンが多い状態が長く続いているということであり、エストロゲンが多い状態が続くことで健康面に一定の影響を及ぼします。

特に、閉経が遅い場合の健康リスクの一つとして、「乳がん」の発症が挙げられます。

乳がんは、豊富な脂肪組織内に乳汁分泌を担っている乳腺組織が含まれる乳房領域に発生する悪性腫瘍のことを指しています。

乳房自体は女性で発達している器官であり、乳腺組織は乳汁を作る小葉と乳汁の通り道で小葉と乳頭間を走行している乳管で構成されます。

乳がんを発症させる原因についてはいまだに正確には解明されていませんが、現在のところでは女性ホルモンの一つであるエストロゲン、生活習慣、遺伝子変異などとの関連性が指摘されています。

乳がんは体表に発生する悪性腫瘍であり、現在のところ乳がん治療の大きな柱は手術、抗がん剤、ホルモン療法、放射線治療の4つであると考えられています。

乳がんだけではなく、子宮筋腫・卵巣がん・子宮体がん・甲状腺がんなど女性ホルモンが関係しているがんは、体内のエストロゲンが多い状態が長年続くことで、発症するリスクが高まります。

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したがって、特に閉経が遅い人の場合には、定期的に健康診断やがん検診を受けて、異常があったら早めに専門医療機関を受診して、早期発見につとめることが重要なポイントです。

まとめ

50歳になっても生理が続くと、「もしかして私の閉経は遅い?」、「閉経が遅いと問題があるかもしれない」と不安になる女性は多いのではないでしょうか。

55歳を超えても閉経を迎えていないと不安を感じるかもしれませんが、閉経が遅いことはエストロゲンの恩恵を長く受けられるため、生活習慣病や骨粗鬆症、認知症などのリスクが下がるというメリットもあります。

その一方で、閉経が遅い場合には、エストロゲンの影響を受ける子宮筋腫や乳がんなどについて、発症のリスクが高まると言われています。

ですから、特に閉経時期が遅い際には、定期的に健康診断やがん検診を受ける、心配する症状があったら産婦人科など専門医療機関を早期に受診して相談することを忘れないようにしましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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