30代で閉経することもある?閉経が早まってしまう人の特徴とは|医師が解説

 30代で閉経することもある?閉経が早まってしまう人の特徴とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-01-20

とくに30代で生理周期や経血の量が「いつもと違う」と感じたら、注意が必要かもしれません。医師が解説します。

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閉経とは?

閉経とは、卵巣の機能が消失または減退し、月経が完全に止まる状態です。

一般的には、1年以上月経がない状態が確認された時点で、1年前の最後の月経があった年齢を閉経年齢と計算します。

閉経する年齢や時期には個人差があり、通常であれば、早くて40歳代前半、遅くても50歳代後半には閉経を迎えます。

日本人の場合には、およそ50歳前後で多くの人が閉経するといわれています。

多くの場合は閉経が近づくにつれて月経周期が短くなる、月経が訪れない月があるなどの月経異常変化が見られますが、このサインも個人差が大きく、中には閉経を迎えるまで月経周期が一定の人もいます。

閉経は、卵巣からエストロゲンやプロゲステロンなど女性ホルモンの分泌が停止することにより起こりますが、これらのホルモンの分泌は20歳代~30歳代にピークを迎えて、40歳代に入ると急激に低下すると知られています。

時に、40歳未満の人でも卵巣機能が低下して閉経に至る場合があります。

このような場合を「早発卵巣不全」と呼び、その発症原因として、染色体異常や自己免疫疾患、代謝性疾患、卵巣の外科的切除、放射線治療や抗がん薬治療などがあげられます。

30代で閉経も?閉経が早まってしまう人の特徴とは

月経日数や経血量が次第に減少し、やがて完全に止まる閉経を迎える年齢には個人差がありますが、中には「早発閉経」といって、30代の年齢で卵巣機能が停止して閉経してしまうケースがあります。

早発閉経とは、「早発卵巣不全」の通称です。

この場合には、40歳未満にもかかわらず、卵巣から分泌される女性ホルモンの量が著しく減少して、排卵が止まってしまいます。

早発閉経の原因は、①染色体異常をはじめとする遺伝性のもの、②甲状腺疾患や関節リウマチなどの自己免疫性疾患によるもの、③卵巣の外科手術や放射線治療などの医療行為が原因のものに大別されます。

しかし、原因が明らかになるのは全体の1~2割程度で、そのほとんどは原因不明であるため、自分の体の変化に早期に気付けるように努めるしかありません。

早発閉経の治療法は、妊娠を希望するかどうかによって異なります。

もし妊娠を希望する場合は、女性ホルモンを補充しながら排卵誘発剤を使用する不妊治療か、体外受精を行います。

その一方で、妊娠を希望しない場合は、年齢とともに少しずつ体内から失われていく「エストロゲン」という女性ホルモンを補充する治療法であるHRT(ホルモン補充療法)を行います。

まとめ

月経が永久に停止した状態を閉経といいます。

一般的には、閉経の数年前から月経不順が起こり、月経周期が短くなったり、月経の間隔が空いたりします。

閉経の前後数年程度の間は、女性ホルモンの低下に伴って、月経の停止以外に更年期症状と呼ばれるさまざまな症状が現れます。

閉経が40歳未満で訪れるといった早発閉経になると、卵巣機能が停止して妊娠の確率が低下するほか、骨粗鬆症や心血管系の疾患にかかるリスクが高まり、更年期に似た症状が見られるようになります。

早発閉経は、数年間のあいだに症状が一気に進むといわれていますから、できるだけ早い段階でその兆候に気付き、適切な治療を開始することが重要であり、20代、30代の若年期から、1年に1度は婦人科検診を受ける習慣をつけておくことを推奨します。

「まだ若いから大丈夫」と自己判断だけにたよらずに、普段から自分の生理周期や経血の量に気を配って、「いつもと違う」と少しでも感じたら、速やかに産婦人科を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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