26歳で2ヶ月入院してわかった、入院前に知っておきたいことと必要なものについて|連載 #こころをほどく
元アナウンサーの渡邊渚さんが、自身の心に宿る想いをひとつずつほどきながら、心身のつながりや揺れ動く気持ちを綴るエッセイ連載。
突然の入院。わからないこと、心配事がたくさんあると思います。特に若い世代だと、入院や手術の経験をした人が周りに少なく、不安になることも多いはず。私も2年前、26歳の時、2ヶ月弱入院しましたが、知らないことだらけで不安だったし、後からこれがあれば便利だったというものがたくさんありました。
また、友人たちが病院に差し入れしてくれたものがとても支えになり、元気をもらいました。ただ中には、病院に持ち込み禁止のものもあり、せっかくいただいたのに申し訳ない気持ちになることも多々ありました。
今回は、「20代の私が思った、入院の時に持っていくと役立つもの」と、「お見舞いでいただいて嬉しかったものと、持ち込めない可能性があるもの」という2つのテーマでお話しします。入院前で困っている方、大事な人が入院して何を持っていっていいのかわからないという方に読んでもらえたらと思います。
20代の私が思った、入院時に持っていくと役立つもの
様々なサイトで入院時に必須な持ち物一覧などがあるのですが、ここでは私が特にあったらよかったな〜と思った5つを紹介します。
①限度額適用認定証
これは高額な医療費が発生した場合に、病院の窓口で支払う金額を最初から自己負担限度額に抑えるための証明書です。現在、マイナ保険証を利用している場合は申請が不要となる病院が多いですが、オンライン資格確認を導入していない病院や、医療機関によっては従来通り申請が必要な場合もあります。
申請後に発行された認定証を自宅郵送にしていた場合、一人暮らしで急な入院だと受け取れません。私が入院していたころはまだマイナ保険証で認定証を取得することができませんでした。急な入院で事前に限度額認定証を申請することができず、少し院内を動くことができるようになってから、病院のコンビニで封筒を買い、保険証をコピーしたり、自宅ではなく実家に届くように手配したり。具合がまだ悪い中で、この手続きをするのは本当に苦しいです。
なので、入院することがわかっている、またはマイナ保険証を使用できない状態の方は、できるだけ早めに限度額認定証を申請するようにしてください。また、一人暮らしや近くに身寄りがない方は、あらかじめマイナ保険証の登録をしておくことをオススメします。
②いろいろな厚さのカーディガン
病室の温度はナースステーションなどで一括管理されていることが多いです。室温を思い通りにコントロールできないので、自分で調整できるように、厚さの違うカーディガンを持っていくと便利です。セーターなどでもいいですが、前開きで脱ぎ着しやすいカーディガンが楽。
③シャンプーブラシ
入院中、点滴の針が入ったままシャワーに入らなければいけないこともあります。そんな時、針が入っているとなかなか手に力が入りづらかったり、シャワーを浴びるだけでも体力をものすごく消費したり。そんな時にシャンプーブラシがあると、本当に楽でした。私にとっては入院生活の必需品です。
また、試供品などでもらった良いシャンプーやリンスもあると、退屈な入院生活のちょっとした楽しみに。なかなか見た目まで気にしていられない入院生活の中で、少しでも髪の毛が生き生きしたり艶が出たりするだけで、元気を取り戻せたような気がして前向きになれます。
④女性ならフロントフックのブラジャーやナイトブラ
後ろフックだと、寝ている時間が長い入院生活では背中が痛くなります。寝転がっていても不快にならない下着は必須です。
⑤生理用品
周期的に入院期間には生理が来ないと思っていても、ストレスのかかる日々で周期が変わることも。院内のコンビニにも生理用品は売ってますが、値段が少し高かったり商品の選択肢は少ないので、普段使っているものを多めに持っていく方が安心です。
また、下着などを毎日洗濯するわけにはいかないので(コインランドリーだから毎日やっていたらお金がなくなる)、使い捨てショーツを何十個か持参したのもよかったです。履いたら捨てられる使い捨てショーツの方が、コインランドリーを利用するよりコストがかからないので、節約になります。
以上が、私が思った入院時に役立つものたちでした。
お見舞いでいただいて嬉しかったものと、持ち込めない可能性があるもの
続いて、「お見舞いでいただいて嬉しかったものと、持ち込めない可能性があるもの」について。もし家族や友人が入院するとなった際に、参考になったら嬉しいです。
①タオル
先ほども少し話題に上げましたが、コインランドリーの利用はもちろんお金がかかりますから、節約のためになるべくまとめて洗いたいと思うのが普通だと思います。シャワーや洗顔のためだけでなく、保冷剤などで体を冷やす時にもタオルは必須なので、バスタオルでもフェイスタオルでも、タオルは何枚あっても足りないくらいです。入院中にいただいて嬉しくない人はいないくらい、王道で喜ばれるものかと思います。
②もこもこ靴下
足元の冷えは日常生活でも大敵です。特に病院では空調を自分の意思では変えられない場面が多いので、寒さ対策は念には念を入れて損はないですし、もこもこ靴下は退院後もずっと使えるのでオススメです。
③シャンプーブラシ
先ほども挙げましたが、これは本当に、かゆいところに手が届くアイテムです。私もこれは友人から差し入れでいただいたのですが、針が刺さっていて、かつ疲れやすい身体には本当にありがたい品でした。
④肌触りのいいもの
これは私だけかもしれませんが、肌触りのいいぬいぐるみや小さなブランケットなどがあると安心して眠ることができました。不安的になりがちな入院生活の中で、心理的安全を得られる手段の一つとして、肌触りの良いものは効果的だと思います。
意外?持ち込めない可能性があるもの
持ち込めない可能性がある、要注意なものは生花です。ドラマなどでよくベッドの横に生花を飾るシーンなどがありますが、感染症のリスクがあるため、生花を禁止している病院が多いです。私の場合も、何人かの友人が花束を差し入れてくれたのですが受け取ることができず、ドラマと現実の違いを感じました。プリザーブドフラワーやハーバリウムといった容器に入ったものはOKですが、生の花は事前に確認が必要と覚えておいていただけたらと思います。
圧倒的に「やっておくべきだった」と感じたこと
そして最後に、これは年齢関係なくやっておくべきだなと感じた私の後悔を一つ。それは、生命保険に入っておくことです。「まだ若いし、自分が病気になるとは思えない」「30代になってからでいいや」「生命保険は結婚や出産を機に考えればいい」と20代前半の私は思っていました。自分が入院するほどの病気になるなんて想像もしていなかったのです。
しかし、26歳で長期入院。本当に、かなりの出費でした。いくら高額医療費制度、限度額適用証明書があっても、家賃などを支払い続けながら高額な入院費をやりくりするのは大変です。当時の私は、「働くこともできなくて、人生終わったな」と真っ暗な気持ちになりました。
退院後も通院は続くし、保険が適用されないカウンセリングなどもたくさんあり、病気を治したい気持ちと金銭的な問題の狭間で悩むことがたくさんありました。今は働けるようになり安心して生活できるようになりましたが、私は今でも生命保険に入れていません。一度大病をしたり入院したり、精神疾患がある場合は、加入できる保険の選択肢が限られたり条件がつくこともあります。
だから、若いからといって生命保険を後回しにせず、「健康なうちに選べる選択肢が多い」という事実を、心の片隅に置いておいてほしいです。備えあれば憂いなし。皆さんのこれからの、何らかのお役に立てたら嬉しいです。
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