退屈しのぎでSNSをスクロール。その行為、実は退屈感が増すだけかも！【研究結果が示唆】

退屈しのぎにソーシャルメディア上の動画を次から次へと無心にスクロールし続ける。それは誰もがしたことがある経験だろう。しかし、研究によると、延々と続くショート動画をスワイプすることは、実際には私たちをさらに退屈させる可能性があるという。

退屈しのぎへの期待と現実

トロント大学の心理学者ケイティ・タム博士率いる研究チームは、退屈とデジタルスイッチング（短いオンライン動画を次々とスワイプすること）の関係を研究するため、1200人を対象に7つの心理実験を実施した。そのうちの1つの実験では、参加者は2つの動画視聴体験をした。10分間のビデオを切り替えや早送りのオプションなしで視聴し、その後の10分間は、5分間の動画7本を切り替えて視聴することができた。実験前、参加者らは、切り替えや早送りのオプションがある方が退屈しないだろうと予測していた。しかし実験後は、1つのビデオを最後まで見た方が、より集中し、満足感が得られ、有意義であったと報告した。

「退屈は集中力と密接な関係があります。私たちが退屈を感じるのは、自分がどれだけ夢中になっているかと、どれだけ夢中になりたいかにギャップがあるときです。動画を切り替えながら見ているときは、どの動画にも完全には集中しておらず、代わりにもっと面白いものを探しているのです。」と、タム博士は話す。

手元にさまざまな娯楽がある今、人々は以前より退屈しなくなったと考えがちだ、とタム博士は話す。しかし、2008年から2020年にかけての調査では、若者の退屈度が上昇傾向にあるという。「退屈は、抑うつ症状、学業成績の低下、さらにはサディスティックな攻撃性など、精神衛生、学習、行動におけるネガティブな結果と関連しているため、これは懸念すべきことです。」と博士は続けた。

集中力を維持するには

退屈であることに罪悪感や恥を感じるのではなく、どのような活動が自分に意義や、やりがいをもたらすかを考えるきっかけにすればよい、と独立研究機関メディア心理学研究センターのパメラ・ラトリッジ博士は言う。ただ忙しくしたり、リラックスしたりすることよりも、難しくても意義のある活動に取り組む方が、満足感が得られるという研究結果もある、と話す。

「面白い猫の動画を見て癒された数分間が、自責の念に駆られる負のスパイラルに変わることもあるのです。メディアの使用中は自分の気分に意識を向けるようにしましょう。そうすることで、ポジティブな体験がネガティブなものに変わるタイミングを見極めることができるのです。」とラトリッジ博士は述べる。

出典：

The boredom scroll on socials may be making your problem worse, study says｜CNN Health

Scrolling might make you MORE bored, not less｜npr

Scrolling through online videos increases feelings of boredom, study finds｜The Guardian

Feeling bored? Watching full videos is a better fix than mindless scrolling, study finds｜Science