SNSで憧れの人をフォローするのは有害なモチベーションだった|自分の心を守るためにできること
「ダイエットのモチベーションになるから」とSNSで憧れの身体を持つモデルやインフルエンサーをフォローしていませんか?実はその意識の高さが逆に足手纏いになっているかもしれません。頑張り屋さんを沼に落とす『有害なモチベーション』について、ニュージーランドのトレーナーmikikoが解説します。
有害なモチベーション
「こんな身体になりたい」とイメージを思い浮かべる時に、モデルやインフルエンサーの姿を思い浮かべる人は多いことでしょう。SNSを開くたびにその人たちの投稿を見ることで、自分もダイエットを頑張るモチベーションにしている人もいるのではないでしょうか。
フィットネス、またはダイエットのモチベーションに繋がるような投稿はfitspirationまたはfitspo(フィットスピレーション)と呼ばれ、英語圏だけでも#fitspiration、#fitspoとタグのついた投稿は1億件以上ヒットする超ホットワードです。
しかし、こうしたモチベーションがむしろ有害になっていることが数々の研究で分かっています。
例えば、以下のような精神的影響力を持っていることが報告されています。(1, 2)
・自分の身体に対する嫌悪感が大きくなる
・気分が落ち込む
・細い身体しか受け入れられなくなる
・理想のボディイメージに関する多様性の概念が薄くなり、「細い=美しい」という狭い考え方になる
・見た目に強くとらわれるようになる
さらに、こうした自己嫌悪からくる気分の落ち込みは、長期的・短期的に精神的ストレスに繋がり、暴食・やけ食い・摂食障害を引き起こしているというのです。
よかれと思ってやっていることが、結局自分を傷つけることになっている…。毎日当たり前のように目にすることだからこそ見逃しがちですが、「憧れの姿と常に自分を比較すること」は、長期的には慢性的な自己嫌悪や精神疾患に繋がってしまっているのです。
なぜモデルみたいになりたいのか?
そもそも、実際にモデルになるつもりでもないあなたが、どうしてモデルのような身体を手に入れたいのでしょうか?手に入れることが出来たとして、その身体で何をしたいのでしょうか?
モデルや俳優などの人に見られるお仕事では、一般人とは比べ物にならないほど身体のケアや管理が中心のライフスタイルになり、プレッシャーも相当なものになります。
想像してみてください。
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もし自分の身体や顔の写真や動画が何百万人もの人の手に届き、そのプロジェクトで何千万円ものお金が動き、何百人という人たちが裏で動くのです。SNSでは自分の体型の変化に関する心無いコメントも飛び交います。そうした画像やコメントはデジタルタトゥーとして何十年もネット上に残ります。自分の身体が収入を得るための商売道具になり、その身体の管理が生活・人生の軸になるのです。
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こうしたプレッシャーは必ずしも健康的なものとは言えず、これまでに多くの芸能人がその苦難や摂食障害などの経験を公表しています。
キラキラした表舞台の舞台裏までを想像することなく、ただ「自分を好きになりたいから」「小さなサイズの服を着たいから」「周りの人に褒められたいから」という理由で憧れの人たちの真似をするのは、あまりに安直で、自分の身体をガサツに扱う行為でしょう。
ライフスタイルや人生で目指しているものも全く異なる人たちと自分の身体を比べて、一体何のモチベーションを得ようとしているのでしょうか?自分じゃない誰かのようになりたいと憧れるばかりで、自分を受け入れる努力を後回しにしていないでしょうか?
憧れを持つのは悪いことではないけれど、憧れは「自分は十分ではない」という気持ちと紙一重です。その憧れが本当に自分をプラスの方向に導いているか?自己否定をするための口実になっていないか?改めて考えてみるべきでしょう。
まずは、有害なモチベーションに気付くことから
モチベーションを上げるために理想の身体の人をフォローしている人。
痩せた自分しか受け入れることができない人。
アプリで加工した写真しか撮れなくなっている人。
あなたが頑張らなきゃいけないのは、ダイエットじゃないのではないでしょうか?
自分が必死になって「自分じゃない誰か」になろうとするのは、健全なモチベーションとは言えません。その歪んだ努力を応援してくる人のそばに身を置くことも、健全な環境とは言えないでしょう。自分磨きとは、自分じゃない誰かになろうとすることではなく、生まれ持った自分を活かして自分らしさを輝かせることなのです。
他の人と比べてばかりで、「今の自分じゃ足りない」「自分はもっと変わるべきだ」「痩せていないのは怠惰だ」という声をかけることに慣れてしまっている人は、一度SNSから離れて、有害なモチベーションから自分を切り離しましょう。そして、「痩せた身体を望むことで自分は一体何を手に入れようとしているのか」心の声に耳を傾けてあげましょう。
そうやって自分の心とまっすぐ向き合い、欲求の裏側に見え隠れする深層心理を理解することも、大切な自分磨きの一環だと思うのです。
AUTHOR
mikiko
パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞
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