【誰も語らない毒素排出システム】ヨガは本当にデトックスできるの?毒素はどうやったら排出できる?
誰も語らない毒素排出システム
クルックシャンクさんは、体には排泄器官のほかに、「老廃物を回収する」システムがあると説明します。この臓器、組織、血管のネットワークはリンパ系と呼ばれ、組織から体液を集め、血液に戻します。
「リンパ系は循環器系の第二の支流と考えられています。なぜなら、リンパ系は毒素や代謝の副産物とともに、すべての余分な体液を取り込み、組織から排出するからです」とクルックシャンクさんは言います。
リンパ系によって集められた毒素や老廃物は、やはり肝臓、腎臓、腸によって体外に排出される必要があります。
心臓が血液を血管に送り出す循環器系とは異なり、リンパ系にはポンプがありません。その代わりに、リンパ系はリンパと呼ばれる液体を流す上で、運動と動作を必要とします。
深い呼吸を重視するヨガは、この作用を強化することができます。「アーサナで身体を動かし筋肉を収縮させ、横隔膜呼吸を取り入れると、リンパの循環と流れが大きくなります」とクルックシャンクさんは言います。
乳がんサバイバーのリンパ浮腫の管理に、ヨガが有効であることを示す研究もあります。この症状は、リンパ系が損傷を受けたり、塞がれたりしたときに起こる、組織内の液体の蓄積です。しかし、リンパ系が実際にどの程度組織から毒素を除去しているかについては、あまり研究がなされていません。
一味違うヨガデトックス
デトックスというと、物理的に毒素を排出することが強調されますが、ティンド博士は、ヨガは単に体を動かすだけではないことを気づかせてくれます。
「インドで行われている伝統的なヨガでは、ポーズ、呼吸法、瞑想に加えて、完全なライフスタイルが強調されています」と彼女は言い、「植物ベースの食事に重点を置いています」とも述べています。
ティンド博士によると、伝統的なヨガにも、シャットカルマあるいはシャトクリヤ(身体の浄化)と呼ばれ、身体を浄化するための修練もあると言います。その中には、ネティ(鼻腔の洗浄)、ダウティ(消化管の浄化)、ナウリ(腹筋を動かすことによる腹部臓器の自己マッサージ)、カパラバティ(火の呼吸)、トラターカ(一点を凝視する)などが含まれます。また、副鼻腔炎など特定の疾患を持つ人には、鼻腔洗浄を医師から勧められることもあります。
クルックシャンクさんは、ヨガは、マインドフルネスやセルフ・アウェアネス(自己認識)といった人生から感情的・エネルギー的な「毒素」を排出するためのツールも提供してくれると言います。これらの練習は、ストレスから回復するだけでなく、将来的にバランスを保つのに役立ちます。
「セルフ・アウェアネスは、ヨガの主要ツールのひとつであり、肉体的、精神的、感情的、エネルギー的にみて、私たちのシステムを調整するために本当に重要なものです」とクルックシャンクさんは言います。
教えてくれたのは…ショーン・ラドクリフさん
ショーン・ラドクリフさんは、言葉やムーブメントを通して世界を探求するヨガティーチャーであり、作家である。彼のパーソナルな練習と指導法は、T.K.V.デシカチャー氏によるヴィニヨガスタイルに影響を受けており、彼の系統のティーチャーの元で学び続けている。また、ペンシルバニア州フィラデルフィアとオレゴン州ポートランドで過ごした初期の頃のパワーヨガとヴィンヤサフロー、そして仏教に基づく瞑想の実践も取り入れている。大学では科学と執筆の両方を学び、その結果、現在の科学ジャーナリストとしての仕事につながっている。ショーンさんはカナダ、オンタリオ州のブルース半島近くに住み、オンラインと対面式のヨガクラスで指導を行なっている。
ヨガジャーナルアメリカ版/「Does Yoga Really Detox Your Body?」
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ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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