「ずっと、自分を愛したつもりになっていただけだった」ゆりやんレトリィバァが考えるセルフラブ-前編

恥ずかしがり屋だった幼少期に、少人数学級で育まれた自己肯定感

――明るく何事にも前向きに挑戦するイメージのあるゆりやんレトリィバァさん。小さいころも、今と変わらず活発な性格だったのでしょうか？

ゆりやんさん：めっちゃ恥ずかしがり屋な子でした。小学校低学年までは、知らない人に話しかけられると固まって動けなくなってしまうくらい内弁慶で、まわりから「電池、切れたんちゃう？」と言われるような子やったんですよ。

――今のイメージからは想像できないですね。それが大きく変わったきっかけは？

ゆりやんさん：私、地元がめっちゃ田舎なんです。地元はNYC…あ、奈良県吉野町なんですけど(笑)。同級生も12人しかいなくて、幼稚園から小学校卒業までずっとメンバーが一緒。だから、先生も周りもみんな「この子はこういう子」というものを分かってくれていて。個性や人となりを認めてくれるなかで育ったことが、最初のきっかけかもしれません。

――そんな周りの環境が、ポジティブさのベースとなっていそうですね。

ゆりやんさん：そうですね。ちょうど小学校2年生のときに、同級生全員が吉本に入りたいと言うくらい吉本新喜劇がブームになった時期があったんです。人前で新喜劇の真似をして笑い合うということが、めっちゃ快感で。新喜劇のネタを真似することに「えー!?」という人もいなかったし、自分がやりたいと思ったことを否定されないというのは大きかったと思います。

あと、小さいころは運動もめっちゃ苦手で、自信がなかったんですよ。でも、小学校の運動会で鉄棒をやる種目があって。私だけ出来なかったから「ゆりちゃんが怖いなら競技を変えようか？」とも言われたんですけど、自信がないくせに負けず嫌いで「それは嫌や」と(笑)。最終的に、めっちゃ練習して出来るようになったんですけど、そのときに「人間って、出来ないことないんや」って思ったんです。「出来ると思ったら、何でも出来る」という根拠のない自信は、そこから始まったような気がします。

自分への愛に気付いたのは最近。もっと自分を愛さなければいけない

――そういった幼少期の体験があるからこそ「私は私」という、ゆりやんさん流のスタイルが確立されていったのかなと思います。

ゆりやんさん：でも、実は自分を愛することの大事さに気付けたのは最近なんです。子どものころから自分のことが大好き、ちゃんと自分を愛してるつもりやったんですけど、今思うと、全然愛せていなかったなって。自分を愛することの定義が違っていたんですよね。もっと、ちゃんと自分を愛さなければいけないと思い始めたところです。

――すごく意外です。自分を愛せていないと気付いたのには、何かきっかけがあったんでしょうか？

ゆりやんさん：やっぱり、今回のダイエット経験が大きかったです。それまで、体重が100kgを超えていても女芸人としての私はコンプレックスだとは思っていなかった。「これが私。この体型でラッキー」って、思っていました。でも、今の自分から見るとそれは開き直っていただけやなと。

これを聞いたら「えー、太っていたときの自分を全否定するの？」と思われるかもしれないんですけど、全くそうじゃなくて。価値観が変わったというか、「自分を大事にすることに私は新しく気付きました」というだけなんです。