「鉄を摂っているのになぜか疲れる」50代女性が知っておきたい鉄・亜鉛・銅の関係|管理栄養士が解説

「鉄を摂っているのになぜか疲れる」50代女性が知っておきたい鉄・亜鉛・銅の関係|管理栄養士が解説
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松田 真紀
松田 真紀
2026-09-06

鉄やたんぱく質を意識しているのに、「なぜか疲れが抜けない」と感じることはありませんか。 ただし、疲れや冷え、めまいなどの原因を「鉄不足」だけで判断することはできません。まして、「鉄を摂っているのに調子がよくならないから、今度は銅を摂ろう」と自己判断するのもおすすめできません。 一方で知っておきたいのが、鉄、亜鉛、銅などのミネラルは、それぞれ体内で異なる役割を担いながら、その吸収や代謝に影響し合う場合があること。 とくに亜鉛サプリを多量に長期間摂取すると、銅の吸収を妨げる可能性があります。

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今回は、50代から知っておきたい鉄・亜鉛・銅の基本と、サプリに頼りすぎず食事から摂るためのポイントを管理栄養士が解説します。

この記事の要点

  • 疲れや冷えがあっても、「鉄を摂っているのに改善しない=銅不足」とは限りません。不調が続く場合は自己判断せず、必要に応じて検査を受けることが大切です。
  • 銅は鉄の代謝に関わる必須ミネラルですが、一般的な食生活で不足するケースは多くありません。一方、高用量の亜鉛サプリを長期間摂ると、銅の吸収を妨げることがあります。
  • 鉄・亜鉛・銅は「理想的な比率」にこだわるより、多様な食品から必要量を摂り、サプリメントを過剰に使用しないことが基本です。

「鉄を摂っているのに疲れる=銅不足」ではない

「疲れが抜けない」「冷えやすい」「立ちくらみがする」。

こうした症状があると、「貧血かもしれない」「鉄が足りないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

確かに鉄不足による貧血では、疲労感や息切れ、めまいなどが現れることがあります。

しかし、疲労感などはさまざまな体調変化で起こる症状です。

食事から鉄を摂っているつもりでも、実際に体内の鉄が十分かどうかは食事内容だけでは判断できません。

「鉄をたくさん食べている=鉄不足ではない」とも、「鉄で改善しなかった=別のミネラルが不足している」とも言い切れないのです。

症状が長く続く場合は、食事だけで何とかしようとせず、必要に応じて医療機関で血液検査などを受けることが大切です。

見落としがちな「銅」は、鉄の代謝にも関わっている

銅は、鉄やカルシウムほど話題になることは多くありませんが、体に必要な必須ミネラルです。

エネルギー産生や結合組織の形成、神経・免疫機能などに関わるほか、鉄の代謝にも重要な役割を果たしています。

銅を必要とする「セルロプラスミン」というたんぱく質も鉄代謝に関与しており、重度の銅欠乏では貧血が起こることがあります。

ただし、ここで大切なのは、一般的な食生活をしている人に銅欠乏が頻繁に起こるわけではないということです。

銅はナッツや種子類、豆類、全粒穀物、魚介類、ココアなどさまざまな食品に含まれています。

「50代女性だから銅不足になりやすい」と考える必要はありません。

注意したいのは「亜鉛サプリの摂りすぎ」

鉄・亜鉛・銅の関係を考えるとき、特に知っておきたいのが亜鉛と銅です。

亜鉛を高用量で摂取すると、腸管での銅の吸収が妨げられることがあります。

そのため、亜鉛サプリを多量に長期間摂取した結果、銅欠乏を起こした事例も報告されています。

つまり、

「亜鉛は体にいいから、多いほどいい」わけではありません。

通常の食品から亜鉛を摂ることまで過度に心配する必要はありませんが、サプリメントの場合は一粒あたりの含有量を確認することが重要です。

複数のサプリメントを併用している場合は、それぞれに亜鉛が入っていて、知らないうちに摂取量が増えているケースにも注意しましょう。

「理想の亜鉛:銅比率」にこだわらなくていい

「亜鉛と銅は○対○で摂るといい」といった情報を見かけることがあります。

しかし、日本人の食事摂取基準では、健康な人の食生活について「亜鉛:銅=○:1」といった理想比は設定されていません。

比率を計算するより、まずそれぞれの栄養素を必要量の範囲で摂ることを意識しましょう。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、50~64歳女性の1日あたりの推奨量は次のとおりです。

  • 鉄:6.0mg(月経なし)
  • 鉄:10.5mg(月経あり)
  • 亜鉛:8.0mg
  • 銅:0.7mg

50代は月経がある人とない人がいるため、鉄の推奨量も異なります。

また、これらは健康な人を対象とした食事摂取基準です。貧血などの治療に必要な量を示したものではありません。

こんな食生活なら一度見直してみよう

症状の数で「ミネラル不足」を自己診断することはできません。

その代わり、食生活そのものを振り返ってみましょう。

たとえば、

  • 食事量そのものがかなり少ない
  • 極端な食事制限を繰り返している
  • 食品の種類が少なく、毎日似たものばかり食べている
  • 豆類、ナッツ、魚介類などをほとんど食べない
  • 亜鉛などのサプリメントを自己判断で長期間摂っている
  • 複数のミネラル系サプリを併用している

といった場合は、特定の栄養素だけを追加する前に、食事全体やサプリメントの摂取量を確認することが大切です。

食事から鉄・亜鉛・銅を摂るには?

一つの食材で「ミネラルバランスを整えよう」と考える必要はありません。

さまざまな食品を組み合わせれば、鉄、亜鉛、銅を自然に摂ることができます。

銅を含む食品

銅は、次のような食品に含まれています。

  • ナッツ・種子類
  • ココア・カカオ製品
  • 豆類・大豆製品
  • 全粒穀物
  • 魚介類
  • レバー

ナッツを間食に少量取り入れたり、豆腐や豆類を普段の料理に加えたりする方法なら、無理なく続けやすいでしょう。

鉄や亜鉛もさまざまな食品から

鉄や亜鉛は、

  • 赤身肉
  • 魚介類
  • 大豆製品
  • 豆類

などから摂ることができます。

食品によって含まれる量や吸収率は異なるため、「これだけを食べればOK」ではなく、いろいろな食品を組み合わせることが基本です。

鉄不足が気になる人は「食事中のコーヒー・お茶」にも少し注意

コーヒーやお茶に含まれるポリフェノールなどは、植物性食品などに含まれる非ヘム鉄の吸収を妨げることが知られています。

だからといって、健康な人がコーヒーやお茶をやめる必要はありません。

ただし、鉄不足を指摘されている人や鉄欠乏リスクが高い人は、食事と同時ではなく少し時間をあけて楽しむのもひとつの方法です。

研究では、食後すぐではなく1時間ほどあけてお茶を飲むことで、鉄吸収への影響が小さくなったことも報告されています。

発酵食品は「ミネラルを吸収させる魔法の食品」ではない

味噌や甘酒などの発酵食品を日々の食卓に取り入れるのもよいでしょう。

ただし、「発酵食品を一緒に食べれば鉄・亜鉛・銅の吸収が高まる」と一括りにすることはできません。

発酵によって食品中の成分が変化することはありますが、その影響は食品や発酵方法によって異なります。

発酵食品は「ミネラル吸収のため」に無理に食べるのではなく、食事のバリエーションを広げたり、風味やうま味を楽しんだりする食品として取り入れるのがおすすめです。

小腹がすいたときにも「甘酒カカオラテ」

ココア、甘酒、豆乳を組み合わせた一杯です。

ココアには銅、豆乳にはたんぱく質などが含まれています。

材料

  • ココア
  • 甘酒
  • 豆乳

量は好みに合わせて調整してください。

甘酒と豆乳を合わせ、ココアを溶かせば完成です。

「これを飲めばミネラル不足を解消できる」というものではありませんが、普段あまりナッツや豆類、カカオ製品などを食べない人にとって、食品の種類を増やすひとつのアイデアになります。

甘酒には糖質も含まれるため、甘みや量は好みや食事全体に合わせて調整しましょう。

サプリメントは「足りない気がする」で増やさない

ミネラルは不足だけでなく、過剰摂取にも注意が必要です。

特にサプリメントは、通常の食事よりも一度に多量の栄養素を摂取しやすくなります。

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、50~64歳女性の亜鉛の耐容上限量は1日35mg、銅は1日7mgに設定されています。

これは「上限まで摂った方が健康になる」という意味ではありません。

亜鉛サプリを長期間摂っている人は、一度パッケージを確認して、1日あたり何mg摂っているのか確認してみましょう。

鉄についても、「疲れるから」「貧血っぽいから」という理由だけで長期間自己判断で補充するより、必要に応じて医療機関で貧血や鉄の状態を確認することが大切です。

「足りない栄養素探し」より、まず食事全体を見よう

疲れや冷えなどの不調があると、「鉄が足りないのかも」「亜鉛? それとも銅?」と、原因となる栄養素を探したくなるかもしれません。

でも、私たちの体は一つの栄養素だけで動いているわけではありません。

銅が鉄代謝に関わり、亜鉛を過剰に摂れば銅の吸収に影響するように、栄養素同士にはさまざまな関係があります。

だからこそ大切なのは、特定のミネラルを大量に追加することではなく、多様な食品を食べること。そして、サプリメントは必要以上に摂らないことです。

不調が続く場合は「栄養が足りないだけ」と決めつけず、必要な検査を受けることも忘れないでください。

まずはナッツや豆類、魚介類など、いつもの食卓にあまり登場していない食品を一品加えてみる。

そんな小さなところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  • 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』
  • NIH Office of Dietary Supplements. Copper Fact Sheet for Health Professionals.
  • NIH Office of Dietary Supplements. Copper Fact Sheet for Consumers.
  • Zijp IM, Korver O, Tijburg LBM. Effect of tea and other dietary factors on iron absorption.
  • Ahmad Fuzi SF, et al. A 1-h time interval between a meal containing iron and consumption of tea attenuates the inhibitory effects on iron absorption.

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