更年期、環境の変化にどう向き合うか|春の忙しさと体調の揺らぎのなかで
更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
3月から4月にかけては、生活の変化が重なる季節です。子どもの卒業や進学、年度末の仕事の忙しさ、家族の生活の変化など、周囲の環境が大きく動く時期でもあります。
この時期になると、「なんだか体がだるい」「夜眠れない」「理由はないのに不安になる」そんな声をよく聞くようになります。
特に更年期の時期は、体調の波が出やすい時期でもあります。そこに環境の変化が重なると、思っている以上に心身に負担がかかることがあります。
環境の変化と重なる、心と体の揺らぎ
実際、私のもとに来られる会員様からも、この時期には「子どもの進学の準備で毎日バタバタしています」「年度末で仕事が忙しくて、体がついていきません」「子どもが家を出ることになって、さみしさを感じています」といった声をよく聞きます。
そして多くの方が、「ちゃんとできるか不安です」「体が思うように動かないんです」と話されます。
更年期の時期は、体の変化だけでなく、生活環境の変化も重なりやすい年代です。子どもの進学や独立、仕事の責任の変化など、人生の節目がいくつも重なることがあります。そのため、体調が揺らぐのは決して珍しいことではありません。
春に増える「だるさ」と不眠・不安
特にこの時期に多いのが、だるさです。「何もしていないのに疲れている」「体が重くて動く気力が出ない」そんな感覚を持つ方が増えます。
さらに、不眠や不安感を感じる方も少なくありません。夜になると考え事が増えて眠れなくなる、朝起きても疲れが取れていない、そんな状態が続くこともあります。
こうした状態の背景には、予測できない変化への不安と脳の疲れがあることも多いように感じています。
「変化」は思っている以上にエネルギーを使う
環境が変わると、人は自然と多くのことを考えるようになります。進学の準備、生活の変化、仕事の段取りなど、頭の中では次々に判断が必要になります。
人は変化に対応するとき、思っている以上にエネルギーを使います。それが続くと、脳の疲労が積み重なり、だるさや不安となって表れることがあります。
見落とされがちな「さみしさ」という感情
そしてもう一つ、春の環境変化でよく聞くのが「さみしさ」という感情です。子どもが進学や就職で家を出る、家の中の風景が少し変わる、それまで当たり前だった日常が変化することで、ふとした瞬間にさみしさを感じることがあります。
けれど、その感情を「弱さ」だと感じてしまう方も少なくありません。「さみしいと思うのはよくない」「前向きに考えないと」そんなふうに自分に言い聞かせてしまうこともあります。
ですが、生活の変化のなかでさみしさを感じることは、とても自然なことです。それだけ家族との時間を大切にしてきた証でもあります。
気づかないうちに溜まる「遅れてくる疲れ」
変化の時期には、心も体も少し揺れやすくなるものです。実は私自身も、最近そのことを実感する出来事がありました。娘の受験があり、その期間は緊張が続いていましたが、自分では「平気だ」と思っていました。無事に受験が終わったときも、「思ったより大丈夫だった」と感じていました。
ところが、その翌週になってどっと疲れが出て、体が重く、だるさを感じました。そのときになって初めて「ああ、意外と気が張っていたんだな」と気づきました。
人は緊張しているときほど自分の疲れに気づきにくく、一区切りついたあとに遅れて疲れが出てくることがあります。これは決して珍しいことではありません。環境の変化に向き合っているときは、知らないうちに心も体も力が入っていることが多いからです。
この時期を乗り越えるためにできること
だからこそ、この時期は「そんな時期だ」と理解しておくことも大切です。体調が揺れるのも、気持ちが不安定になるのも特別なことではありません。もしこの時期に疲れを感じているなら、「今はそういう時期なんだな」と受け止めてみてください。
そして、もう一つ大切なのは、自分に求めるハードルを少し下げることです。環境が変化しているときは、いつもと同じペースで物事を進めるのが難しいこともあります。そんなときは「今日はこれだけできれば十分」と、自分ができることの基準を少し下げてみてください。
また、周りの協力を求めることも大切です。家族や周囲の人に頼ることは決して悪いことではありません。むしろ、環境が変化しているときほど、一人で抱え込まないことが大切になります。
意識して「何もしない時間」をつくる
そしてもう一つ、この時期に意識していただきたいのは、ゆっくり過ごす時間をつくることです。忙しいときほど予定を詰め込んでしまいがちですが、環境の変化に対応しているときは思っている以上にエネルギーを使っています。
だからこそ、意識して「何もしない時間」をつくることも大切です。散歩をする、ゆっくりお茶を飲む、早めに休むといった時間が、心と体を整える助けになります。
変化の中でも、自分のペースで
春は新しい生活が始まる前の準備の時期でもあります。その変化に向き合っているだけでも、十分に頑張っています。もし今、体がだるかったり不安を感じたりしているなら、それは体が環境の変化に対応しようとしているサインかもしれません。
そんなときは自分を責める必要はありません。自分に求めるハードルを少し下げること、周りの協力を求めること、そしてゆっくり過ごす時間をつくること。小さな工夫を積み重ねることで、春の環境の変化のなかでも少しずつ心と体を整えていくことができます。
変化の多いこの時期を、無理をせず、自分のペースで過ごしていきましょう。
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