寝る前のストレッチが逆効果になるケースとは|医師が教える夜の血管ケアの正解

寝る前のストレッチが逆効果になるケースとは|医師が教える夜の血管ケアの正解
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-02-15

「寝る前にストレッチをすると体にいい」―このイメージ、かなり浸透していますよね。実際、軽いストレッチでリラックスできる人も多いです。ただし外来や健診後相談をしていると、「それ、実は逆効果かもしれません」というケースにもよく出会います。特に40代以降、血管や自律神経に負担をかけてしまっている人は要注意です。今回は、寝る前ストレッチが裏目に出るパターンと、夜に本当にやってほしい血管ケアについて医師がお話しします。

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寝る前ストレッチが逆効果になる人の特徴

まず大前提として、夜にやるストレッチは「体を起こす」のではなく「鎮める」目的であるべきです。

ところが、次のような人は真逆の状態を作ってしまっています。

強く伸ばすストレッチをしている人

例えば、前屈で息を止めながら限界まで体を折り曲げる、太ももやふくらはぎを痛みを感じるほど伸ばす。これは筋トレに近い刺激です。筋肉に力が入ると交感神経が優位になり、血圧も心拍数も上がります。
▶︎寝る直前にこれをやると、体は「これから活動する時間だ」と勘違いします。

肩や首をゴリゴリ回す人

デスクワークで首肩がこっている人ほどやりがちですが、勢いよく首を回す動作は血管にも神経にも刺激が強すぎます。特に頸動脈付近は自律神経と血圧調整に関わる重要エリアです。
▶︎ここを乱暴に動かすと、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりします。

ストレッチ
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寝る直前の長時間ストレッチする人

15分、20分としっかりやると、体温が上がりすぎます。
▶︎本来、眠る前は深部体温がゆっくり下がることで眠気が出ます。ところが、ストレッチで体が温まりすぎると、そのリズムが崩れてしまいます。

実際にあった外来での具体例

50代男性、健診では異常なし。ただし「夜中に何度も目が覚める」「朝の血圧が高い」という訴えがありました。

話を聞くと、YouTubeの動画を見ながら毎晩20分の全身ストレッチを実践。

内容は開脚前屈、体幹ひねり、首回しなど、かなり本格的でした。

試しに、寝る前のストレッチをやめてもらい、代わりに呼吸中心の軽い動きに変更。
すると1週間ほどで寝つきが改善し、朝の血圧も落ち着いてきました。

本人は「体に良いことをしているつもりだった」と言っていましたが、夜の体には刺激が強すぎた典型例です。

医師がすすめる夜の血管ケアの正解

夜にやってほしいのは、「伸ばす」より「ゆるめる」です。ポイントは3つあります。

動かす範囲は小さく

肩をすくめてストンと落とす、足首をゆっくり回す程度で十分です。可動域を広げる必要はありません。

呼吸が主役

鼻から息を吸って、口から細く長く吐く。吐く時間を吸う時間の倍くらいにすると、副交感神経が入りやすくなります。ストレッチというより、呼吸に体を合わせる感覚です。

時間は5分以内

「もう少しやりたい」と感じるところで終わるのが正解です。物足りないくらいが、血管と自律神経にはちょうどいい。

具体的には、仰向けで膝を立てて左右にゆらゆら倒す、布団の上で足の指をグーパーする、首は回さずにゆっくり傾けるだけ。この程度で十分、血流は整います。

まとめ

寝る前のストレッチは、やり方を間違えると血管にも睡眠にも逆効果になります。
強く伸ばす、長くやる、首を激しく動かす。これらは夜には不要です。

夜は体を整える時間。頑張らない、刺激を入れない、呼吸を深くする。この三つを意識するだけで、睡眠の質も血管の負担も大きく変わります。

「体にいいこと」ほど、時間帯との相性を一度見直してみてください。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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