「書くと眠れる」は本当?「書き方」を間違えると逆効果?心理師が勧める「すっと眠るための書き方」

「書くと眠れる」は本当?「書き方」を間違えると逆効果?心理師が勧める「すっと眠るための書き方」
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石上友梨
石上友梨
2025-12-15

布団に入ると考えが止まらない。その「ぐるぐる思考」を静める、寝る前に書く習慣を心理師が紹介します

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布団に入った途端、仕事のタスク、今日の失敗、明日の不安が頭の中でエンドレスに再生される…多くの不眠の原因は、肉体的な疲れではなく、「脳が思考を停止できないこと」にあります。特に夜間、ネガティブな考えが繰り返し頭の中を巡る現象を「反芻思考」と呼びます。反芻思考によって脳は覚醒状態になり、心身の興奮レベルが下がらないため、私たちは寝付けなくなります。

「書く」というシンプルな行為が、なぜこの止まらない思考をストップさせ、質の高い睡眠へと導くのか?「興奮せず眠りにつくためのルール」を解説します。

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1. 不眠の最大の敵:「反芻思考」を外に出す

反芻思考の厄介な点は、同じ考えが何度も意識に浮かび続けることで、脳が「まだ処理が終わっていない」と判断してしまうことです。この状態では脳の覚醒レベルが下がりにくくなります。その結果、身体は休もうとしているのに、頭だけが活動を続けてしまいます。

そこで有効なのが、書くことによる負荷の軽減です。心配事や未完了のタスクを紙に書き出すことで、脳はそれらを「保持し続ける必要のある情報」から「外部に置かれた情報」として扱えるようになります。この切り替えが起こることで、思考の反復が弱まり、結果として覚醒状態が鎮まりやすくなります。

2. 注意!「書き方」を間違えると逆効果になる

「書くことで余計に入眠を妨げるのでは?」と心配される方もいるでしょう。書き方によっては、脳が興奮して覚醒する原因となります。睡眠のためのジャーナリングは、「脳のデトックス」が目的であり、「問題解決」は目的ではありません。解決は、頭がクリアな日中に行いましょう。

【興奮・覚醒を防ぐためのルール】

・問題解決ではなく、吐き出すことに集中する。

NG: 「どうすればいい?」と解決策を練りながら書く
OK: 単なるリスト化(「A、B、Cが気になる」と書き出す)

・感情を深堀りしない。

NG: 感情の「原因」を分析する
OK: 単語で外在化(「イライラする」「不安だ」と客観的に書き出す)

・時間を区切る。

NG: ダラダラと長く時間をかける
OK: 3分~5分でスパッと終える

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3. 心理師が勧める「入眠のための書き方」

このルールを踏まえた、入眠に特化した書き方のステップをご紹介します。

1. 場所と時間を区別する:

寝室以外の場所(リビングなど)で、ベッドに入る30分前に書き終えるようにします。これは、ベッドを「考える場所」ではなく「眠る場所」として脳に学習させるための重要な儀式です。

2. ネガティブな思考を「未来のタスク」に変える:

漠然とした不安(例:「プレゼン失敗したらどうしよう」)を、翌日以降に行う具体的な「次の行動」(例:「明日の朝、上司に相談する」)として書き換えます。これにより、脳は「未完了の懸念」を「明日処理するタスク」として認識し、安心して一旦シャットダウンできるようになります。

3. 書き終えたら目を離す:

書き出した紙は、すぐに閉じたり、目に入らない場所に置いたりします。これで「もう脳の仕事は終わり」と区切りをつけます。

質の良い眠りは、思考の整理から。書くという行為は、入眠を妨げる「心の騒音」を外に出し、脳を意図的に鎮静状態へと導く、シンプルで効果的な方法です。今日から「眠れない」と悩む夜の時間を、「書く」時間に変えてみませんか。その数分間の習慣が、あなたの睡眠の質を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

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