【前屈を深めたい人は試して】自分本来の股関節の可動域で動けるようになるシンプルな思考術
認識の違いによって無意識に起こる余計な筋肉の力みは、日々の動作にも影響します。このコラムでは、そんな思考と動作のくい違いを探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、ヨガやストレッチなどのエクササイズで感じる違和感や痛みなどの問題を解剖学的な視点を交えて考察します。いつもとは違う考え方をするだけで、動作が変わる方法を試してみませんか? 62回目のテーマは「前屈」です。
前屈ができないのは体が硬いせい?
体が硬くて前屈が思うようにできないと悩んでいる人は多いです。ヨガをはじめとした様々なエクササイズで前屈は取り入れられていますが、その一方で体を動かすことに慣れていないとハードルが高い動作でもあります。
体が硬いとは筋肉が縮むことが習慣になって伸びにくくなり、関節の可動域が狭まってしまった状態。前屈であれば、主に太ももの裏側の筋肉であるハムストリングがあまり伸びず、前屈において最も大きく動いてくれるはずの股関節が本来の可動域を活かし切れずにいるということです。そこでハムストリングを柔らかくするためのアプローチも色々とありますよね。
股関節の認識がズレていると本来の可動域が発揮できない
筋肉の問題に加えて、どこで股関節として曲がっているのかを認識しているのかが体の硬さに関係しているかもしれません。自分の股関節の位置についての認識が曖昧だと、動作も曖昧になって股関節以外のところ(腰など)で頑張ろうとすることがあるからです。
多くの場合、股関節の位置を問われて指し示すのは「脚の付け根のシワが寄っている辺り」です。でも脚の付け根って、範囲が結構広いですよね。股関節がある骨盤は様々な骨の集合体で、体の中でかなり大きい部分。そんな骨盤と全ての骨の中で最も長い太ももの骨(大腿骨)をつなげて脚を動かすために、股関節周りにはたくさんの筋肉が付着しています。だから体の外側からでは、「ここが股関節」とピンポイントにはわかりにくいものです。
でも股関節の位置の認識が曖昧なまま前屈すると、前屈に必要な筋肉が必要以上に力んでしまったり、必要がない筋肉まで使ってしまったりします。そうしてその人がもっている股関節の本来の可動域が発揮できないまま、他の関節で調節しようと無理するのです。
股関節の認識をアップデートする方法
そこで次の方法で股関節の認識をアップデートして、より動きやすくなるようなイメージをしましょう。
1. 股関節の構造の確認
股関節は骨盤のお皿のような部分(寛骨臼)と、大腿骨のボールの部分(大腿骨頭)によって構成されています。それは正面から見ると、大腿骨の大転子と骨盤の恥骨の中間辺りになります。また横から見ると恥骨よりも奥です。
2. 頭の位置や周りの空間を思い出す
では全身の余計な力みを手放して、無理なく動くための準備をしましょう。前頭部や後頭部に手を当てて自分の頭のことを思い出します。
頭を思うと同時に、周りの景色に目を向けたり足裏の感触を思い出したりして、周囲の空間も意識に入れます。
3.「股関節は大転子と恥骨の中間、恥骨より奥の方で動く」と思いながら前屈する
1で確認したことを思いながら前屈します。股関節がいつもよりスムーズに動いてくれる感じがあるのではないでしょうか。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く







