世界的なヨガ写真家、ワリ・オム氏が「ヨガ写真」を取り続ける理由とは?

 世界的なヨガ写真家、ワリ・オム氏が「ヨガ写真」を取り続ける理由とは?
Wari Om

日本語・韓国語・英語・スペイン語が堪能、世界中を飛び回り、旅をしながらヨガを指導する、福岡「YOGABREEZE」のディレクターであり、NY発の「ジヴァムクティヨガ」のアドバンス指導者ヒッキーことパク ヒキさんの連載がスタート。今回は、自身との親交も深い、世界的ヨガフォトグラファーのワリ・オム氏にインタビュー。見る人の胸を打つ写真と共に、彼のヨガと写真への熱い想いをお届けします。

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写真を通して、ヨガを伝え、世界とつながることができる

世界中でヨガの人気が高まるなか、ヨガ専門のフォトグラファーも増えつつあります。ヨガ界でもSNSの普及で、ヨガ初心者から講師達まで、素敵なプロフィール写真やアーサナをしている姿を撮ることが一般的になってきましたね。

伝統的なヨガは、たくさんの気づきを得られ、人生を豊かにし心を平和に導くものですが、難解なイメージから敬遠されがちな一面もあります。写真はとてもわかりやすく、言葉も必要なく、「ヨガをするとこういう風になれるんだ」とイメージを喚起し、ヨガの魅力を伝えることができます。ヨガに興味がある方もそうでない方も、美しい写真を見ると感動します。そういった意味で、ヨガの魅力を多くの人に伝えている写真家たちの貢献度は高いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、世界的ヨガフォトグラファー&ビデオグラファーのワリ・オム氏(Wari Om Yoga Photography) がファインダー越しに見つけたヨガへの愛と光についてお話しします。

Wari Om
Photo by Wari Om

ワリ氏との出会い

ワリ氏との出会いは7年前、ニューヨークでした。

ワリ氏が、ヨガのインスピレーションを与える写真や動画を撮影するプロジェクト“Yoga in New York”のカメラマンとして、スペインから招かれたことがきっかけです。このプロジェクトのスポンサーを務めたのが、ヨガジャーナルアメリカ版とニューヨーク発のヨガウェア「Hanuman Yoga Clothing (ハヌマンヨガクロージング)」であり、私はヨガ友でもあるハヌマンヨガクロージングの社長のお誘いがきっかけで、ワリ氏と出会いました。

初めての“Yoga in New York”のプロジェクトは、ヨガ人口も多いニューヨークのマンハッタンとブルックリンで行われました。ニューヨークで活動するヨガ講師やヨガの熟練者たちが撮影に参加し、多くの写真がヨガジャーナルアメリカ版に掲載されました。そして、このプロジェクトをきっかけにワリ氏の写真と動画の美しさは世界中に知れ渡り、ヨガ専門フォトグラファーという新たな写真のジャンルが注目を浴びたのです。

私は3日間という短い滞在期間中、毎日撮影に参加していましたが、奇跡的に素晴らしい写真をたくさん撮っていただくことができました。そして、その1枚の写真は、なんとヨガジャーナルのカンファレンスで使うメイン写真に選ばれたり、バルセロナの新聞社が主催する写真コンテストでも入賞を果たしたのです!

タイムズスクエア前でウォーリア
タイムズスクエアで行ったウォーリアⅡが、ヨガジャーナルのカンファレンスで使うメイン写真に選ばれる/Photo by Wari Om

ワリ氏とは、ニューヨークでの出会い以降も、リオ・デ・ジャネイロ、バリ島、バルセロナ、リシケシ、ゴア、日本(東京、福岡、大分、宮島)などで一緒にお仕事しました。福岡でスタジオも運営していた私は、PRのために良い写真を必要としていたこともあり、ワリ氏との出会いはとても意味のあることであり、彼と仕事を一緒にすればするほど、写真を通してヨガを実践している彼にインスピレーションを受け、ヨガが持つボーダレスで無限の可能性を感じました。

先週も、ワリ氏の新しいプロジェクトに誘われ、タイのプーケットに行って来ました。どのプロジェクトでも奇跡が訪れ、ちょうど良い時間帯に素晴らしい場所が見つかり、これ以上ないくらい光のバランスとポーズが融合した良い写真がたくさん撮れました。

彼が好む撮影の時間帯は朝日が昇る前か、夕日が沈んだ直後です。その理由は、最も綺麗な光がファインダーに映り込む時間帯であり、美しい写真を撮る事ができるということ。そして、この時間帯がヨガの修練において、最も恩恵を受けることができるという理由もあるそうです。ヨガの写真ですから、納得できますね。

ワリ
プーケットで得られた絶妙なタイミングの1枚/Photo by Wari Om

彼の写真は「Yoga=完全な調和」そのものを表現しています。ヨギが主役でもなく、ア―サナが主役でもなく、ロケーションにフォーカスするわけでもない、一見ランダムで自然な一枚に見えますが、全てが完璧に計算され、被写体がどちらも主張する事なくお互いの邪魔をせず、良い具合で完璧な角度、フォルムで調和しているのです。

彼が撮影するポジションを決めるには相当の時間がかかりますが、そのこだわりが、ワリさんだけの計算された自然な調和を映し出す事ができます。私は中学から大学2年生まで美術を学んでいたこともあり、彼の美学がよく理解できます。ヨガ的に最高に調和した一枚を撮影するための努力に感動します。まさに、写真を通してヨガを修練しているように思えるのです。

「あなたにとってヨガとは何か?」を彼に質問すると、“インスピレーション、カラー、マジック、平和”だと答えます。そしてこれらこそが、彼がヨガの写真に映し出し世界に伝えたいメッセージでもあります。ワリ氏は20歳の時からいつかフォトグラファーになりたいと思い始めたそうです。それを叶えるため、バルセロナにあるIEFC(Institut d'Etudis Fotogràfics de Catalunya カタルーニャ写真専門学校)で3年間学び、Gris Artというアートスクールで最後の一年を学び写真の基礎を身につけます。

ここからは、ワリ氏へのインタビューを紹介します。

ワリ
Photo by Wari Om

―――ワリさんはヨギであり、一時期はヨガ講師でもあったそうですね。いつ、どういう経緯でヨガに出会ったのですか?

ワリ氏「22歳のとき、私は当時の社会に対して非常に不満を感じており、何か大きな変化を探し求めていました。この変化を探す旅は私の心の中で始まり、部屋に引きこもる時間が多くなりました。最初は、自分が『ヨガ』を探していることを気付きませんでしたが、ある日自分が探している答えをヨガで見つける事ができるのではないかと思い始めたのです。早速、スペイン北部のナバラにあるヨガスクールでハタヨガと瞑想を学びました。私は、ヨガの師よりインテグラルヨガや異なるテクニックとルーツを持つスタイルを伝授され、すぐに夢中になり4年間のティーチャートレーニングを受講しました。

その後は家族や親戚を集め、ヨガを教えました。すると、それまでに全くヨガと無縁だった兄と妹がヨガに興味を持ち始めたのです。そして彼らもヨガのティーチャートレーニングを受講し、数年後は一緒にバルセロナ郊外にOm Shanti Yoga Studioをオープンしました。さらに数年後には、バルセロナで初めてヨガカンファレンスを主催することになり、今年は8年目を迎えることになります。

毎年7月に開催されるバルセロナヨガカンファレンスでは、108名のカルマヨギたちと家族みんなが一つになり、イベントを盛り上げます。僕は写真を撮り、妹と兄は運営全般を行い、キルタンシンガーとして時には歌を歌ったり、それぞれヨガの授業も教えます。医者である父と看護部長である母は有給を取り、カルマヨギとして雑用係を喜んで引き受けながら彼ら自身も楽しんでくれます。ヨガファミリーと言っても良いでしょう」

ワリ
右からワリ氏、ヨガ友のマルリース氏、妹のミレイアさん、お父様、お母様

―――ヨガの写真を撮るようになったきっかけは?

ワリ氏「当時、私は写真を学びながら、ヨガティーチャートレーニングの受講費を支払う必要もあり、結婚式で写真を撮る仕事をしていました。ティーチャートレーニング受講後は、ヨガ関係の人脈が広がり、ヨガスタジオやヨギの友達から、イベントの撮影などの依頼がどんどん増えて行きました。最初に弟のパウと妹のアイシス・ミレイアと一緒にバルセロナ・ヨガ・カンファレンスを開催したとき、大きなプロジェクトだったこともあり、プロジェクトを成功させるために、広告となる良い写真が必要でした。私は真剣に良い写真について考えました。最初のステップは、バルセロナからのヨガのイメージを含むフォトギャラリーを作ることでした。これが私の最初の大都市プロジェクトでした。私はバルセロナ在住のヨギを集めたくさんの写真を撮りました。それまで私は3日間ほどの小さなフォトセッションしか経験したことがありませんでしたが、このヨガプロジェクトが、ヨガフォトグラファーとしてのキャリアを意識するきっかけになりました」

ワリ
Yoga in New Yorkの一枚。Dharma Mittra先生で/Photo by Wari Om

―――その後のプロジェクトはどのように続けていけたのですか?

ワリ氏「バルセロナのプロジェクトがとても楽しかったので、ニューヨークでも同じプロジェクトをやることにしました。いくつかの写真をヨガジャーナルアメリカ版の編集部にEメールを送りましたが、最初は返信がありませんでした。でも、しばらくするとヨガジャーナルアメリカ版の編集者より連絡があり、ニューヨーク開催されるヨガジャーナルカンファレンスのPR用の写真を撮ってくれないかと依頼が来たのです。そこから’Yoga in New York’のプロジェクトが始まって、ニューヨークに3週間滞在しながらヨガの写真を撮り続けました、翌年、私はコロラド州とサンフランシスコで開催されたヨガジャーナルカンファレンス用のプロジェクトも行い、その後、ヨガジャーナル・ブラジルのための‘Yoga in Rio’のような他の国際的なプロジェクトを行い、リシケシ、バリ、北京、アテネ、ベルリン、ウィーン、プーケットなどと世界中でヨガフォト大都市プロジェクトが続いています。

2年前には、世界中の有名なキルタンシンガーや著名なヨガ指導者達をインタビューし、マントラについて伝えるドキュメント映画『Mantra』の製作にも映像ディレクターとして関わりどんどん活動の幅を広げています」

ワリ
Photo by Wari Om
ワリ
Photo by Wari Om

―――たくさんのプロジェクトをこなしてきた結果、まわりの評価はどのように変わりましたか?

ワリ氏「自分では説明できません。今いるところにたどり着くことを意図していたわけではないので。しかし、ヨガは私の生き方の指針です。私はカメラを所有し、写真は私の人生の一部なので、ヨガの写真を撮っていますし、今後も撮り続けます」

―――ヨガを普及させることがあなたの目的の一つですか?

ワリ氏「もちろん、僕の写真を見て多くの方がヨガに興味を持って欲しいと思います。でもそれは私の修練の結果です。私の情熱はすべて心から来ているので、経験したことをシェアしなければなりません。私はヨガを知らない人たちにヨガが奇妙なものでも不思議なものでもないことを知らせたいと願います。ヨガはシンプルで純粋で、イデオロギーなしで心に直接語りかけるものですから」

―――ヨガフォトグラファーになって最もやりがいがあると感じるときはいつですか?

ワリ氏「ヨガの写真を撮影することで最もやりがいを感じるときは、写真を通してヨガの知恵をシェアでき、皆さんの人生にシンプルにインスピレーションを与えられること。そして、世界中のヨギたちと出会い、プロジェクトを進めるなかで一緒に特別なものを創造する事ができ、さらにそれを世界中にシェアできることです」

ワリ
Photo by Wari Om

彼の名前、「ワリ・オム Wari Om」とは「神々によって守られている」という意味だそうです。
今後も神々に守られながら美しくインスピレーションを与えてくれるヨガの写真をたくさん撮って世界中で活躍を応援して行きたいですね。ワリ・オム氏の数多くのヨガフォトをご覧になりたい方は彼のウェブサイトFacebook Pageをチェックしてみてください。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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タイムズスクエア前でウォーリア
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