85歳での病気の数がカギ?100歳を超える人に共通する病気の特徴【新たな研究で示唆】
100歳以上まで生きる人たちは発症する疾患の数が少なく、その進行が緩やかで、晩年に新たな疾患が発症することも少ないことが新たな研究で示唆された。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究チームは、スウェーデン全国の医療記録をもとに、1920年から1922年にスウェーデンで生まれ、70歳の時点で生存していた274,108人を対象に長期調査を行った。この研究では、1990年1月1日から、各人の死亡日、100歳の誕生日、または2022年12月31日のいずれか早い時点まで、その人の健康状態を追跡した。追跡期間は最大で30年にわたるが、個人ごとに長さは異なる。その結果、100歳を超えた人々は、全体的に健康上の問題が少なく、病気の進行も緩やかであることがわかった。
たとえば、85歳の時点で診断されていた病気の数は、100歳を超えた人で平均1.2件だったのに対し、90歳で亡くなった人では平均2.4件にのぼっていた。さらに、長寿の人たちは晩年においても新たな病気の発症が少なく、比較的安定していたのに対し、寿命の短い人では病気が徐々に増え続ける傾向が見られた。また、100歳を超えた人々は、複数の疾患を同時に抱えるのではなく、特定の疾患カテゴリーに限られる傾向があった。たとえば、心血管の病気だけを持ち、それ以外の疾患が診断されていないケースもあった。これは、健康上の問題が比較的シンプルで、管理しやすい状態だったことを意味する。
心臓と脳の健康における格差
心血管疾患は、すべての年齢層で最も多く見られる健康問題だった。しかし、70歳の時点で心血管疾患を持っていた人の割合は、将来100歳以上まで生きた人たちのグループではかなり低くなっていた。具体的には、70歳時点で何らかの病気を抱えていた人のうち、75歳で亡くなった人は約半数(51.6%)が心血管疾患を持っていたのに対し、将来100歳まで生きた人のうち心血管疾患を持っていた人は約4分の1(24.8%)にとどまっていた。脳に関係する病気では、その差はさらに大きくなった。認知症やうつ病などの神経や精神の病気は、100歳を超えた人では特に少なく見られた。研究によると、これらの病気は「どの年齢層と比べても最も大きな違いがある」と報告されている。
がんについては、少し違った見解が示されている。研究の著者らは、「100歳まで生きる人も、がんを完全に避けられるわけではありませんが、がんの影響を軽減できたり、発症するがんのタイプが進行の遅いものである可能性があります。また、がんの進行に対する抵抗力が強かったり、治療に対してより良好に反応することも考えられます。」と述べている。こうした能力は、体の自然な抵抗力の強さや、がんの成長スピードが遅いこと、あるいは治療への反応の良さから生じている可能性がある。
研究の今後
この知見は相関関係に基づくものであり、因果関係を証明するものではない。しかし、長寿は特定の疾患、特に心臓病や脳疾患に対する抵抗力と関連している可能性があることを示唆している。そして、70歳の時点で既に病気のパターンに違いが見られたことから、長生きできる理由は若い頃から始まっている可能性が高い。遺伝や生活習慣の選び方、環境による影響が、この長期にわたる健康における優位性に関わっていると考えられる。研究者たちは、こうした早い段階での「病気に強い体質」の原因となる遺伝子や環境の影響を明らかにすることが、子どもの頃からの予防策の設計や、新しい治療法の開発の手がかりになると述べている。
出典https://studyfinds.org/secrets-of-the-100-club-how-centenarians-postpone-illness-for-years/
https://www.newsweek.com/health-centenarians-longevity-study-key-factors-2113550
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