50代ですでに歯を失っている人は要注意!歯が悪い人は認知症になりやすい理由は|歯科医師が解説
100歳を越えて長生きされている方がめずらしくなくなってきた今、大事なのは健康寿命です。最後まで、自分の頭でしっかり考え、好きなものを食べて寿命を全うするために、50代からできることはあるのでしょうか。そのキーポイントを、歯科総合医療を行なっている、くろさき歯科の院長、黒崎俊一先生に教えていただきました。
寝たきりの原因に、歯が関係している
「女性の寝たきりの原因の1位は、認知症。2位は衰弱、3位が転倒・骨折です。実はこの3つ全てに『歯』が密接に関係しています」(黒崎先生)
黒崎先生曰く、歯を失ったり、噛み締めができなくなることで、ちゃんと噛めなくなる。すると、脳の神経ネットワークに刺激を送れなくなるり、噛むという運動での脳の血流が悪くなり、認知症を引き起こす原因になる。また、ちゃんと噛めなくなると、タンパク質が取りにくくなり、栄養が偏り衰弱する。そして、筋力が弱くなると、体のバランスが崩れ転びやすくなる、と言う関わりがあるそうです。
では今後ずっと「ちゃんと噛める」状態を保つには、どうしたらいいのでしょうか?
まずは、歯を失う原因を知っておこう!
「ちゃんと噛める」ための条件は、自分の歯がしっかり残っていること。そのために、まずは歯を失う原因を知っておきましょう。
私たちが歯を失う原因は、大きく分けて3つ。虫歯、歯周病、噛み締めです。虫歯は痛みが出るので、他の2つに比べて、比較的早く治療に繋がるため、よほどひどい場合でなければ、抜歯までいくことはありません。(神経を抜いている場合を除く)。
では「噛み締め」と「歯周病」についてはどうでしょうか?
唇を閉じたときに、上下の歯は接触してる?
「噛み締め」とは、ギリギリと音がでる歯軋りと、音はなくグッと上下の歯を合わせた状態の2つを指します。
「人間はリラックスした状態だと、上下の歯は接触しません。ただ、唇を閉じたときに上下の歯を合わせてしまう接触癖を持つ方が。歯茎は、加齢により弱くなってきます。その弱い歯ぐきに力が加わり続けることで、歯を揺らして、歯を支える骨に悪影響が出てくるんです」(黒崎先生)
噛み締めは、仕事などによるプレッシャーやストレス、たとえば、ひと月で車の運転をしている時間が長い、などでも引き起こされます。40代以降、歯の詰め物が取れたなら、それは噛み締めが原因の場合も。
そんな噛み締めを改善するには……
「まずはご自分が安静にしているとき、上下の歯が接触しているか確認してください。お口は閉じるのですが、歯は接触していない状態が正常です。対策としては、日常生活の中でよく目にする場所、たとえば仕事場のパソコンの画面や、冷蔵庫のドアに「歯を離す」と書いた付箋を貼って、それを見て日に何度か意識すると良いでしょう。また、ある特定の色、「黄色い色を見たら歯を離す」等も取り入れやすいでしょう。30分に一度は大きく口を2~3度開けしめして、噛みしめを予防しましょう」(黒崎先生)
重度でも自覚症状がほぼない、歯周病
歯が抜ける原因で、一番怖いのが歯周病です。
「歯周病は、加齢により体の免疫力下がり、細菌の勢いに負けてしまい、歯槽骨を溶かす歯茎と骨の病気です。病気ですが、見た目の変化も痛みも感じません」(黒崎先生)
まずは、下記の表を見て自分の歯の状態と比べてみましょう。
30代なら3人に一人、50代ならほぼ半数が歯周病だと言われています。あなたの歯は、大丈夫ですか?
歯周病が進むと、歯を支える土台である骨がなくなるため、歯に問題がなくても、最後は抜けてしまいます。怖いのは、影響を受けるのは1本だけでなく、何本も抜けてしまうというところ。
まとめ
今まで自分の歯のことは、色や歯並びなどの美醜や、相手に不快を与えないマナーの視点で考えてきました。50代以降になれば、ここに「未来の健康」をプラスする必要があると実感。もう「8020」(80歳で20本の歯があること)が当たり前の時代だからこそ、「8028」を目指して自分の歯を大切に守っていきたいものです。
お話を伺ったのは…黒崎俊一先生
医療法人社団アーユス 理事長くろさき歯科院長。昭和62年3月日本大学歯学部卒業。平成4年3月日本大学大学院歯学部補綴専攻卒業・平成8年11月より医療法人社団アーユスくろさき歯科勤務。
<保有資格・所属団体>
日本補綴学会認定専門医/日本歯科審美学会/日本矯正学会/日本大学歯学部兼任講師/さいたま市歯科医師会/さいたま市南浦和小学校学校医
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