【15分だけでも】自然の中で過ごす時間が都会の人々のメンタルヘルスに良い影響!研究結果が示唆
自然の中で何もせず静かに過ごすだけでも、精神的健康に良い影響がもたらされることが明らかになった。
都市部における自然環境が精神的健康に良い影響を与えることが、新しい研究により明らかになった。この研究では、屋外で行われた78件の異なる実験から集められた合計約5,900人分のデータをまとめ、分析を行なった。分析の結果、公園や森、庭園などの緑豊かな場所で、わずか15分から45分過ごすだけでも、都会に住む人たちの精神的健康に良い影響があることが分かった。今回の発見は、長年の研究で明らかになってきた自然と触れ合う時間が、ストレスを和らげ、気分を明るくし、共感力や体の健康を高めるという知見をさらに裏付けている。研究者たちは、都市の自然環境はどれも有益であるとしながらも、特に街中にある緑地がうつ病や不安の軽減に効果的であることを発見した。とりわけ、成人前後の若い世代においてより大きな効果が期待できるという結果が見られた。精神疾患の多くが25歳前に発症するため、これは重要な点とされている。
さらに意外なことに、自然の中で活動的に過ごすことよりも、自然の中で「活動しない時間」を過ごすことの方が、うつ病などのネガティブな精神的健康状態の軽減に効果的だった。一方で、自然の中で活動的に過ごすことも、活動せず過ごすことも、どちらも活力を高めるには有効だった。活力は、どれだけ生き生きとした気分やエネルギーに満ちた感覚を感じているかを参加者に尋ねることで測定された。また、アジア諸国ではその効果がより強く現れることも分かった。これは、自然に対する文化的な意識が自然の恩恵に対する感受性を高めさせ、生理的な効果がより強く現れる可能性があるためだと考えられている。今回の分析対象となったすべての実験は、ランダム化比較試験(参加者を無作為にグループ分けし、異なる治療法や介入方法の効果を比較する試験)や、何か対策を行う前と後で結果を比べる形式のものだった。
都市の人々がより自然に触れるために
2050年までに世界人口の70%が都市部に居住するようになるとされており、都市に住む人々に多く見られる不安障害や気分障害などの精神的な健康問題は、さらに多くの層に及ぶ課題となることが懸念される。今回の分析を受けて、研究者たちは、大規模な都市公園や森林は重要であるとしつつも、都市計画者は「小さな公園」の設置や道路への植樹を進め、人口密度の高い都市部にも自然の恩恵を届けるための対策を検討すべきだと述べている。また、緑地を望む窓の設置や、静かで自然豊かな空間、公園で自然を感じながら行う瞑想プログラムなどの、自然体験を提供するコミュニティプログラムも効果的であり、都市の公衆衛生を改善するうえで比較的低コストな方法となるという。気温の低下や二酸化炭素の吸収といった、自然がもたらすプラスの効果も注目すべきものだと強調している。
研究の今後
「例えば、緑地率または樹木被覆率が現在20%の都市において、これを30%に増加させた場合、予防可能な精神疾患の症例を何件回避できるかといったシナリオを分析することが可能です。」「また、都市の自然環境の改善に伴う医療費削減効果の推計も分析に含める予定です。」と、筆頭著者であるスタンフォード大学博士研究員リンジェ・リ氏は述べた。また、リ氏はこのような取り組みが自身の生活スタイルを改善したと言う。オフィスまで歩く頻度が増え、道中で見かける鳥や植物に対してより好奇心を持つようになった。「友人ともこのことについて話し、自然との小さな時間が違いを生むことに気づくよう促しています。この研究は、都市の自然が都市そのものだけでなく、私たち自身にも良い影響をもたらすことを教えてくれました。」と話している。
出典
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