尿路結石、なぜできる?防ぐ方法は?知っているようで意外と知らない「尿路結石」|医師が解説
尿路結石の発症には、あることが大きく関係することが分かってきています。尿路結石の原因や予防について、医師が解説します。
尿路結石は、なぜできる?
尿路結石(にょうろけっせき)とは、腎臓で作られた尿の通り道である腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道などの部分に結石ができることです。
尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱・尿道など尿の通り道にできる結晶(石)のことであり、体内のミネラルや老廃物が尿の中で結晶化し、それが集まって石になることで発生します。
結石ができる主な原因は、水分不足・脱水です。
尿量が減ると、尿の中の成分(カルシウム・尿酸など)の濃度が高くなり、結晶ができやすくなります。
また、食生活の乱れも尿路結石を発症する因子の一つです。
例えば、塩分過多で、動物性たんぱく質・プリン体の多い食事(肉・魚・内臓)を摂取すると、尿酸値が上がり、カルシウム不足もあいまって、結果的に尿路結石リスクが上がるといわれています。
尿の性質(pH異常)も発症に関与していて、酸性尿であれば、尿酸結石ができやすく、アルカリ性尿の場合には、リン酸カルシウム結石ができやすいと考えられます。
生活習慣・体質として、肥満・メタボリックシンドローム、運動不足、遺伝的体質(結石ができやすい家系がある)などが影響して、尿路結石を発症する場合があります。
それ以外にも、病気によるものとして、副甲状腺機能亢進症(カルシウム濃度が高くなる)、痛風(尿酸値が高く尿酸結石リスク)、尿路感染症(細菌が結石を作ることも)などに伴って、尿路結石を認めるケースがあります。
総じて、尿路結石の発症には食生活が大きく関係していると分かってきています。
特に日本人の場合は、シュウ酸カルシウム結石症と呼ばれるものが圧倒的に多く、日々の生活における食事内容などでこのシュウ酸を摂りすぎることによって結石の主な原因に繋がるといわれています。
結石病変が尿管にひっかかると、尿管の動きとともに激しい側腹部の痛みが生じます。
さらに、尿が下流の膀胱へと流れないがために上流で尿が貯留して淀んでしまうため、腎盂腎炎などの尿路感染症を引き起こして腎臓の機能障害などが生じることになります。
尿路結石を防ぐ方法とは?
尿路結石は一度できると再発しやすい病気ですので、日常生活での予防がとても大切です。
効果的な予防法のひとつとしては、水分をしっかりとることが重要です。
目安は、1日 2リットル以上の尿量を目指すことであり、尿をたくさん出すことで、結石のもとになる成分(カルシウム・尿酸など)が尿に溶けにくくなり、結晶化を防ぎます。
特に、夏場・運動後など汗をかくときは多めに水分を摂取しましょう。
お茶・コーヒーは利尿作用があるので、水が基本となります。
バランスの良い食事を目指すことが大切であり、特に、塩分(加工食品・外食)を控えることが重要です。
塩分過多になると、カルシウム排泄が増えて、尿路結石の発症リスクが上昇します。
動物性たんぱく質(肉・魚・卵)を過剰にとれば、尿酸・カルシウム排泄が増加しますし、プリン体(内臓・ビールなど)の摂取が多すぎると、尿酸値が上昇する恐れがありますので、注意しましょう。
摂取を意識したい食材としては、野菜・海藻があり、尿の酸性化防止につながります。
また、クエン酸(レモン・梅干し)は、結石成分の結合を抑える効果があります。
運動不足・肥満は尿酸・カルシウム代謝に悪影響を与えるので、適度な運動を実行して、肥満予防に努めましょう。
ウォーキングやストレッチなど無理のない運動を習慣にするとよいでしょう。
また、アルコールは脱水を招きやすく、清涼飲料水は尿を酸性にして、尿路結石リスクがUPさせるので、注意が必要です。
定期的に、医療機関で、尿検査・腹部エコーなどを実施して、病変の早期発見・再発予防を心がけることが重要です。
まとめ
一般的に、腎臓で濾過された尿は、尿管を通過し膀胱へ溜められ、尿道を通って排泄されますが、この腎臓から膀胱、そして尿道の間にできる結石を、尿路結石と言います。
小さな結石が腎臓にできても無症状な場合がほとんどですが、この結石が腎臓から流れ出た途中で詰まってしまうと、わき腹~下腹部などの激しい痛みや血尿などの症状が出現することになります。
尿路結石の原因は、生活習慣・食生活・体質・病気など、複数の要因が重なって発生します。
尿路結石を予防するために、規則正しくバランスの良い食生活と十分な水分摂取を日常的に心がけるようにして、出来る限り血液検査や尿検査、または超音波検査などでの定期的なメディカルチェックを実践されることをお勧め致します。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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