胆のうや胆管に結石ができる胆石症。できやすい人の特徴は?医師が解説

 胆のうや胆管に結石ができる胆石症。できやすい人の特徴は?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-02-21

胆石症は中高年以上の発症が多いと言われています。とくに40歳代の女性は注意が必要かもしれません。胆石症ができやすい人の5つの要素とは?医師が解説します。

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胆石症とは?

食事中の脂肪の分解を助けている胆汁という消化液は肝臓でつくられます。

この胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ管を胆管といいます。

そして、胆管の途中で枝分かれする形で「胆のう」という袋状の臓器があります。

胆のうは一時的に胆汁を貯めておき、油の多い食事を摂った際などには収縮して貯めておいた胆汁を十二指腸に排出するはたらきをしています。

胆石症とは、胆のうや胆管に結石ができたものです。

この疾患では、時に胆石発作と呼ばれる突然の激しい痛みや黄疸、発熱などの症状を呈する病気をいいます。

症状について

胆石症では自覚症状が乏しい症例もありますが、右側季肋部や心窩部(みぞおち周辺)に感じる激しい痛みが特徴的な症状と考えられています。

場合によっては、右側の肩周囲や背部痛、腰痛やへその上付近の痛みを自覚することもあり、数十分から数時間症状が持続することもあります。

特に、食後や夜間に疼痛症状が認められることが多く、脂っこい食事を摂取した後は格段の注意が必要とされています。

胆石のできる場所による違いもあり、胆のう結石は、胆のう内に結石ができたものであり、胆石症のなかで最も多くを占めます。

胆のう結石のほとんどは無症状とされていますが、ときに胆石発作の痛みや急性の胆のう炎を起こして腹痛や発熱を起こすことがあります。

胆のうは胆汁を貯める機能を有している臓器であり、食べ物が消化管に到達すると収縮して胆汁を絞り出します。

仮に油の多い食事をしたときにはより強く胆のうが収縮する結果、胆のうの出口に結石が詰まって嵌頓を発症すると強い痛みを起こします。

結石について

胆のう結石があることで胆のう内の胆汁の流れが滞り、細菌感染を起こし胆のう炎に繋がります。

肝内結石という種類の胆石もあり、いわゆる肝臓内の胆管に結石を生じたもので、比較的珍しい疾患です。

胆汁には、コレステロール、レシチン、胆汁酸、ビリルビンなどの成分が含まれており、これらのバランスが保たれていることで普段は液体の状態になっていますが、胆石症はこれらのバランスが崩れることで発生します。

脂質の多い食事を続けると胆汁中のコレステロールの割合が増加します。

そして、次第に溶けきれなくなって結石となったものがコレステロール結石であり、このコレステロール結石は、胆石症のなかの大半を占めているとされています。

稀ですが、溶血(赤血球の中のヘモグロビンが外に出ること)や肝障害が原因となって黒色石という種類の結石をつくることもあります。

胆石
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胆石症ができやすい人の特徴とは?

加齢とともに胆石症の発症率は高まる傾向にあるため、胆石症は中高年以上の発症が多く、コレステロール結石は特に中年以降の肥満の女性にできやすいと言われています。

胆石を起こしやすい要素として「5F」と呼ばれるものがあります。
胆石症ができやすい人の特徴として、下記5つの項目が知られています。

  • 40歳代(Forty)
  • 女性(Female)
  • 肥満(Fatty)
  • 白色人種(Fair)
  • 多産婦(Fecurd)

そのほか、妊娠や急なダイエットなども胆石症を起こしやすくするといわれています。

また、胆石症はもともとの体質のほか、食物繊維やタンパク質が少なく脂質や糖質が多い食事を取り過ぎてそれに伴う肥満などとも関連性が考えられております。

胆石は生活習慣と密接に関連しており、胆石発作の予防では過食・暴飲暴食を避けることが第一に重要です。

特に食事面ではコレステロールの制限、脂質の適量摂取、蛋白質・食物繊維の摂取による便秘の改善がキーポイントです。

また、規則的な食生活、胃酸の過剰分泌を引き起こすアルコール飲料や香辛料などの過度の摂取の制限をすることで胆石症を予防することができると考えられています。

そして、女性は40歳代になると、女性ホルモンが減少し、コレステロールの代謝がわるくなり、肥満傾向になり、胆石ができやすくなると言われていますし、昨今の我が国では男性の胆石人口が実は増加してきています。

男性においても、適度な食事を規則正しく普段から摂取するように努めて、無理のない適度な運動をしながらストレスを解消するのも大切な要素です。

まとめ

一般的に、胆汁は食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化や吸収をサポートする黄褐色様の消化液であり、肝臓という臓器で1日に約700mL程度作成されます。

通常では、この胆汁が流れる道を胆道と呼称していますが、胆道に結石ができる病態を総称して「胆石症」と呼んでいます。

胆石症を早期発見するために、定期的に健康診断を受けることも重要な鍵となります。

胆石のリスク因子としては数々の統計結果より、女性、肥満、急激な減量、妊娠回数の増加などが指摘されています。

心配な方は、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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