肌のくすみは腎臓からの警告?注意したい肌の変化とは|医師が解説
その肌のくすみや黒ずみ、内臓の問題かもしれません。注意したい肌の変化について医師が解説します。
肌のくすみは腎臓からの警告?
肌のくすみは、体内の不調、特に腎臓の機能低下(腎不全など)が隠れていることがあります。
腎臓は、血液をきれいにし、老廃物を体外へ排出する重要な役割を担っているため、腎機能が落ちると体内に老廃物がたまり、肌にも変化が現れやすくなります。
腎臓が悪いときに起こりやすい肌の変化のひとつは、肌のくすみ(灰色・黄色っぽい肌)です。
血液中に老廃物がたまることで、肌がくすみやすくなり、灰色がかった顔色・土気色・黄ばんだような顔色になることもあります。
また、腎機能低下により、皮膚の保湿成分や水分保持が悪くなり乾燥・かゆみが出やすくなりますし、特に背中・手足などにかゆみが強くなることが多いといわれています。
腎臓病に伴って、尿毒素や老廃物がたまると、皮膚に色素沈着を起こしやすくなり、特に、関節部位やくびれ部分が黒ずみやすいと考えられています。
腎臓機能が落ちると、余分な水分・塩分が排出されにくくなり、むくみやすくなり、朝に顔やまぶたが腫れぼったいのも特徴のひとつです。
腎臓疾患に伴いやすいその他の症状としては、尿量が減る、尿が泡立つ、血圧が高くなる、倦怠感・だるさ、食欲不振・吐き気、息切れ・貧血症状などが挙げられます。
注意すべき肌のサインとして、くすみの場合には、慢性腎不全や老廃物蓄積の可能性があります。
それ以外にも、皮膚が黒ずむ際には、尿毒症や代謝異常を検討しますし、皮膚が乾燥してかゆみを伴う場合には、尿毒素による皮膚トラブルを考慮します。
また、身体のむくみは、腎臓機能低下、塩分水分貯留を反映している可能性があります。
腎臓病とは?
腎臓病とは、腎臓の機能が低下し、体内の老廃物や余分な水分・塩分の排出がうまくできなくなる病気です。
慢性的に進行することが多く、放置すれば、腎不全(透析が必要な状態)に至ることもあります。
腎臓は左右に1つずつある重要な臓器で、尿を作り、血液中の老廃物や余分な水分を排出する働きがあります。
また、水分・塩分の調節をして、血圧や体内バランスを調整したり、レニンというホルモンを分泌して、血圧をコントロールしています。
赤血球の産生促進作用もあり、エリスロポエチンというホルモンを分泌していますし、骨の健康維持のために、ビタミンDを活性化して、カルシウム代謝を調整しています。
主な腎臓病の種類としては、慢性腎臓病(CKD)があり、これは、長期間ゆっくり進行する腎機能障害を示しています。
高血圧・糖尿病・肥満が主な原因となり、最終的には、透析・腎移植が必要になることも想定されています。
糸球体腎炎では、血尿・蛋白尿が特徴的であり、免疫異常や感染症が原因で腎臓の「糸球体」に炎症が起こることで発症します。
ネフローゼ症候群は、蛋白尿が大量に出て、むくみが強く出て、子ども・大人ともに起こる病気として知られています。
腎臓病の早期は、ほぼ無症状ですが、進行すると、むくみ(顔・足)、尿の異常(泡立つ・出にくい・血尿)、皮膚のかゆみ・乾燥、高血圧、貧血、息切れなどの症状が出現する可能性があります。
まとめ
腎臓病は気づかないうちに進行し、治らない段階(末期腎不全)まで悪化しやすい病気ですし、腎臓病に伴って、心筋梗塞・脳卒中の発症リスクも上昇します。
腎臓病を防ぐためには、定期的な血液検査(クレアチニン・eGFR・尿たんぱく)、高血圧・糖尿病・脂質異常を早期から管理、減塩・水分管理・体重管理、禁煙・適度な運動などが望ましいと考えられます。
肌のくすみ・黒ずみ・乾燥・むくみがある場合、単なる加齢や美容の問題ではなく、腎臓など内臓機能低下のサインである可能性があります。
特に、腎臓疾患は進行しても自覚症状が少ないため、これらが続く場合は、一度腎臓内科で血液・尿検査を受けることをおすすめします。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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