『ホットフラッシュは92％減少』｜大豆を含む低脂肪ヴィーガン食が更年期の症状を軽減する可能性！

米国の医師団体「責任ある医療のための医師委員会（Physicians Committee for Responsible Medicine）」が行った研究によると、大豆を含む低脂肪のヴィーガン食を12週間続けた女性たちは、ホットフラッシュの頻度や重症度が平均92％も減少し、さらに平均で約3.6キロの減量にも成功したという。この研究結果は、更年期医療専門誌『Menopause』に掲載された。同研究を主導したハナ・カレオバ医師は、「動物性食品を避けて、植物性食品、たとえば豆腐やソイバーガー、全粒パン、野菜や果物などを中心に食べることは、ホットフラッシュに対抗する食事療法になる」と語る。

ヴィーガン食グループでは重度のホットフラッシュが顕著に減少

今回の研究では、参加者84名を無作為に2つのグループに分けた。一方は低脂肪のヴィーガン食と一日あたり半カップの大豆を摂取するグループ、もう一方はオムニボア（通常の雑食）を続けるグループ。12週間にわたり、3日分の食事記録を分析ソフトで評価し、症状や体重の変化を測定した。結果として、ヴィーガン食グループでは重度のホットフラッシュが顕著に減少。対照グループでは大きな変化は見られなかった。しかも、食事の加工度合いに関係なく、植物性食品を中心にした食生活そのものが症状改善に大きく寄与していた。これは、植物性食品が持つ自然な栄養バランスや繊維の豊富さが、女性ホルモンの変化に伴う不調を和らげる働きをしている可能性があることを示唆している。

加工食品でもOK！「植物性」がカギ

ヴィーガン食＝ヘルシーというイメージがある一方で、近年では加工度の高いヴィーガン食品も多く出回っている。たとえばソイバーガーやヴィーガンチーズ、甘味料たっぷりのシリアルなどがその例だ。研究では、こうした加工度の違いが症状改善にどう影響するのかも調査された。その結果、「加工度に関係なく、動物性食品を植物性に置き換えること自体が症状の改善と体重減少に関連していた」という結論が導き出された。つまり、大切なのは「加工されているか」よりも、「動物性か植物性か」ということ。これは、食事を劇的に変えなくても、日常的に動物性食品を減らし、植物性食品を意識的に増やすだけで、体に嬉しい変化が起こる可能性を示している。

中年女性に新たな選択肢

一般的に女性は45〜55歳の間に閉経を迎え、平均年齢は約52歳といわれている。この時期はホルモンバランスの急激な変化により、心身にさまざまな不調が現れがちだ。こうした背景から、ここ数年で食事やライフスタイルの見直しが注目を集めている。今回の研究は、その一助として“ヴィーガン＋大豆”という選択肢を提示した形だ。もちろん、すべての女性にとってヴィーガン食が最適とは限らないが、少なくとも植物性食品を意識的に取り入れることは、体調の改善や体重管理に役立つ可能性があるといえるだろう。「更年期の不快な症状は、単なる年齢の問題ではなく、適切な食事によって緩和できる可能性がある」という新たな発見は、多くの女性にとって希望の光となりそうだ。

「我慢の更年期」から「選択の更年期」へ

更年期は、閉経前後の数年間にわたり女性のホルモンバランスが大きく変化する時期で、「年齢だから仕方ない」とあきらめてしまいがちだが、食事の力で症状が改善するという今回の研究結果は、新たな選択肢を提示している。更年期医学の専門家ステファニー・フォービオン医師は、「大豆を含む植物性の食事は、更年期のホットフラッシュと体重管理の両面で有益です。さらに、心臓病やがんのリスクを下げる効果もあることが知られており、多くの中年女性にとって取り入れる価値のあるライフスタイルと言えるでしょう」と語っている。

出典：
Menopause food swap triggers ‘significant’ weight loss and 92% drop in hot flashes
Soybean secret? Vegan diet eases hot flashes by 92% in menopausal women, study finds