【仕事の燃え尽き感と運動量の関係】燃え尽き症候群の回復に有効な「運動強度」とは?研究結果が示唆
多くの人が、どこかの時点で仕事による燃え尽きを経験しているのではないだろうか。最近の研究では、これに運動が役立つ可能性があることが示唆された。ただし、その運動量は多すぎても少なすぎてもいけないようだ。
燃え尽き感と運動量
この研究では、520人のフルタイム労働者を対象に、身体活動と職場での燃え尽き感について調査を行った。まず、対象者を低強度活動、中強度活動、高強度活動のグループに分けた。そして、「情緒的消耗」「個人的達成感」「脱人格化」という3つの燃え尽き尺度のグループ間での差異を調べ、労働者の燃え尽き感の度合いを調査した。
分析の結果以下のことが明らかになった:
- 中強度活動グループは、低強度活動グループよりも情緒的消耗が少なかった。
- 低強度活動グループは、高強度活動グループおよび中程度活動グループよりも、個人的達成感が低かった。
- 高強度活動は、中強度活動よりも情緒的消耗を軽減したり、個人的達成感を向上させるものではなかった。
- 3つのグループの間で、脱人格化(従業員が顧客を人間として見られなくなること)のスコアに有意な差は見られなかった。
これらの調査結果は、「中強度の運動がストレスを軽減し、気分を向上させるというこれまでの数多くの研究結果と一致しており、職場での燃え尽き感の減少とのつながりが説明できる。」と、デンバー大学の心理学教授ジェイミー・シャピロ博士は話す。
中強度の運動が仕事の満足感を高める理由
この研究の著者、ジョージ・メイソン大学のミケーレ・ウォルフ・マレナス博士によると、運動は仕事から離れて過ごす時間を生み出し、労働者に「仕事関連の問題から回復する時間」を与えるため、燃え尽き症候群を軽減する可能性があるという。さらに、運動は、心臓血管の健康、気分、感情のコントロール、記憶力などの消耗の回復を可能にする。高強度の運動が、中強度の運動よりも有益ではなかった理由のひとつとして、この研究が高強度の運動を行っている参加者を十分に含んでいなかった可能性をマレナス博士は指摘している。しかし、より可能性が大きい理由として、仕事と、マラソンのトレーニングのような厳しい運動を両立させることが単純に難しすぎるからだと推測している。
燃え尽き症候群への運動による対処法
マレナス氏は、理想的な1週間のルーティンは、「かなりきつい」運動を3~5日行い、残りの日は早歩き、サイクリング、ヨガ、軽い水泳など、「心拍数を上げるが、会話はできる」運動を行うことだと述べている。運動による効果を得るには、ほとんどの専門家が少なくとも週に3~4日、45分間の運動を推奨しているが、週に5~6日、75分間の中強度から高強度の運動を推奨する専門家もいる。
雇用主にとっての重要なポイントとなるのは、運動を促進することで、従業員の幸福度と健康状態が向上し、離職率の低下、生産性の向上、コスト削減につながるということだ。ウォーキングデスク、社内フィットネス施設、ジム利用料補助、フレックスタイム制などの環境整備が役立つだろう。労働者としては、気分を良くするために激しい運動をする必要はないことを心に留めておくと良いだろう。研究者は、早歩きやサイクリングなどの中強度の運動で燃え尽き症候群の症状を軽減できると述べている。中強度の運動は持続可能で、怪我のリスクも少ないため、運動の強度は重要なものとなる。
出典
https://www.health.com/moderate-exercise-may-reduce-job-burnout-8676128
AUTHOR
HIDEMI
ヨガ講師 /ヨガ翻訳・通訳者 色、音、言葉が好き。同志社大学国文学科在学中は日本語学を学び、中学生の頃から独自に英語の学びを深める。サロンモデルをしながら、ジュエリーブランド、コスメブランド勤務を経て、2015年よりヨガの指導を始める。外国人講師のWSやTTの通訳、テキスト翻訳等、ヨガ関係の通訳/翻訳業も行う。
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