ストレスの影響は意外なところにも?自分では気づきにくい「ストレスの現れ方」|臨床心理士が解説
現代は『ストレス社会』と呼ばれています。『ストレス発散法』『ストレスマネジメント』など、ストレスを対処するための方法にも強い関心を持たれるようになりました。しかしその一方で、【ストレス】についての誤解が生じている、まだまだ知られていないこともたくさんあるような印象を感じています。今回は、『ストレスはこんな形で現れる』というところに注目し、心の専門家である臨床心理士が解説します。
ストレスの影響は、この3つに現れる!
前回の記事では、『こんなものがストレスの要因(ストレッサー)になる』というテーマでお話しました。今回は、ストレッサーによってどんな反応が起こるのかについてお話したいと思います。ストレッサーによって引き起こされる反応のことを【ストレス反応】と呼びます。ストレス反応は、長時間に渡ってストレッサーの刺激を受け続けたり、強いストレッサーを受けた時に生じます。人間の場合は主に身体面・心理面・行動面といった3つの側面に現れると言われています。次の項で詳しく見ていきましょう。
【チェックリスト】あなたのストレス反応は何に現れる?
身体面のストレス反応
□節々の痛みがある
□頭痛がある
□肩こりがある、または慢性的に肩が凝る
□眼精疲労
□動悸がする
□胃痛が見られる
□疲労感がある
□下痢や便秘などの排泄に影響が出る
□のぼせる
□めまいがする
□痺れがある
□眠れない、あるいは寝すぎる
心理面のストレス反応
□イライラなどの怒り
□不安が高まる
□過度の緊張感
□罪悪感を覚える機会が増えた
□気分の落ち込み
□興味関心や活気の低下
□孤独感や疎外感を覚える機会が増えた
□感情が沸かない(うれしい、楽しい、悲しい、悔しいなど)
行動面のストレス反応
□飲酒や喫煙の機会、量の増加
□ミスが増える
□事故に遭う
□怒りが爆発し、けんかなどの攻撃的行動を起こす
□周囲から見たら過激と思われるような行動をする
□泣く機会が増える
□自宅や自室に引きこもるなどして、周囲から孤立する
□拒食あるいは過食になる
□幼児返り(赤ちゃんがえり)
□チック、吃音
□ストレス場面からの回避行動
身体面へのストレス反応は、症状が全身に渡って起こるのが特徴と言えるでしょう。日常的に気になっていた、あるいは原因が分からなかったあの症状は、もしかしたらストレス反応によるものなのかもしれませんね。心理面へのストレス反応が強く出ると、同時に行動面にも強い影響を及ぼし、変化が起きることがあります。例えば、集中力・思考力の低下、短期記憶の喪失、判断力の低下などです。こういったことは、周囲から見ると『怠けている』とか『やる気がない』と捉えられてしまい、それによって自分のことを責めるといったことが起きがちですが、実はストレスが積み重なっているがために起きていることかもしれません。もし日常生活の中で、いつもはしないようなミスが多発している、『あれ?これってどうするんだっけ?』などさっきまで覚えていたことが思い出せないといったことが増えているようであれば、それはストレスが溜まってきているサインかもしれないので、注意していく必要がありそうです。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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