「ストレスは悪いもの」それホント?ストレスにまつわる3つの誤解とは|臨床心理士が解説
現代は『ストレス社会』と呼ばれており、『ストレス発散法』『ストレスマネジメント』など、ストレスを対処するための方法にも強い関心を持たれるようになりました。しかしその一方で、【ストレス】についての誤解が生じていたり、まだまだ知られていないこともたくさんあるような印象も感じています。今回から数回に渡り、ストレスについてのお話をしていきます。今回は、ついつい抱えがちな『ストレスにまつわる誤解』と、ストレスの正しい知識や捉え方について、臨床心理士が解説します。
ストレスにまつわる誤解とは?
誤解その1:ストレスは悪いものである
ストレス=悪いものと捉えている人は非常に多いように感じています。『ストレスを感じるのは悪いことですよね』といった声を聞くこともあるのですが、実はそれって大きな間違い。ストレス研究で有名な生理学者のハンス・セリエ氏は、『ストレスは人生のスパイスである』と述べています。ストレスは、上手に使えば自分を成長させてくれるパワーの源にもなるのです。例えば、上司に怒られた、恋人に振られた、自分の実力が発揮できなかったなどの経験があるとします。それがストレスとなって『悔しい』とか『悲しい』といった気持ちが湧き上がるからこそ、次に同じことが起きないためにどうするか考えたり、この経験を生かそうとするのです。ストレスは自分の内面の成長を促す役割を持っています。
誤解その2:精神的に弱い人からストレスにも弱い
『ストレスに弱いのは、精神的に弱いから』といった声もよく聞かれますが、実はこれも間違い。精神的に弱いというよりも、ストレスの受け取り方や捉え方の程度の問題であることの方が多いです。また、いつもはストレスに対して楽観的にいられる人でも、仕事の多忙によって、あるいは家庭の事情などで生活が不規則になったりすることで、一時的にストレスに耐える力が弱くなってしまう、といったことも起こりうるのです。
誤解その3:ストレスは気力や気合でどうにかなる!
性格的に真面目で頑張り屋な人ほど『自分の気持ちの問題』『気合で乗り切る!』という声を聞きますが、そうやってストレスを見ないようにしたり、無視することを続けていると、どんどんストレスが溜まっていきます。ストレスはコップの水と同じで、無限にため続けることはできません。溜まってきたら抜いてあげるということをしないと、気づいた時には溢れているなんてことも起きかねません。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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