家族や同僚、友人…周囲の人のメンタル不調、サインは「ケチな飲み屋」?心の専門家が解説
あなたの周りに心配な様子の人はいますか?
あなたの周りに心配な様子の人はいますか?家族や恋人、友人や部下・・・最近なんだか様子がおかしい。しかし、余計なお世話だったらどうしようと悩んでいませんか?本日は周囲の人の不調を発見するコツを紹介します。
周囲の人の不調を発見するポイントは、「いつもと違う」ことです。私たちはそれぞれ性格が異なり、落ち込みやすい人、不安になりやすい人、睡眠が浅い人、活力がない人…様々な人がいます。周囲の人の「いつもと違う」に気づくためには、その人の性格や普段の様子を知らないといけません。だから、日頃から適度にコミュニケーションを取ることが大切です。普段の様子を知った上で、「違和感がある」「今までと様子が違う」と気づいたら、不調やストレスのサインかもしれません。
不調を発見するコツは「ケチな飲み屋」
「ケチな飲み屋」とは、「うつ病の可能性のあるサイン」の語呂合わせです。医学博士の鈴木安名氏が2006年に提唱したものです。うつは早めに気づくことが早い回復につながります。そのために、なるべく早い段階でうつのサインに気づくことが大切です。
け「欠勤・欠席」
家族や恋人、部下の欠勤・欠席が頻繁にあったり、続いたりする場合は注意が必要です。特に連休明けの欠勤・欠席が多くなりやすいものです。また、部下の場合は、無断欠勤は尚更注意が必要かもしれません。休日に1日中寝ていて、身体のだるさや無気力を訴えている場合、夜間に眠れなくなり昼夜逆転している場合も注意しましょう。
ち「遅刻・早退」
欠勤や欠席と同じく、遅刻や早退が続いた場合も注意が必要です。朝が起きられずに遅刻をすることや、腹痛や頭痛など身体症状により早退する場合があるでしょう。自律神経のバランスを乱していたり、職場や学校など環境にストレスを感じているのかもしれません。
な「泣き言を言う」
普段あまり泣き言を言わない人が泣き言を言うようになった場合は注意が必要です。ネガティブな発言が増え、ふとした瞬間に涙が出てくることや、いつもと違って塞ぎ込んだり落ち込んでいる様子がみられるでしょう。また、うつにより不機嫌になったり、イライラしやすくなる場合もあります。
の「能力の低下」
職場では、作業スピードが落ちたり、作業効率が落ちたりという場合は注意が必要です。また、なかなか決断できない、選ぶのに時間がかかるかもしれません。いつもはスパッと決断できるのに、スーパーで買うものを決められない、自分の意思がはっきりしない場合は不調感が原因かもしれません。
み「ミスの増加」
ケアレスミスや、これまでしたことのなかったようなミスが増えた場合は注意が必要です。心身の不調感のため、集中力や注意力が落ちているのかもしれません。
や「やめたいと言い出す」
突然、仕事や学校を「やめたい」と言い出した場合は注意が必要です。今までそのような素振りがないようでしたら、突然言われるとびっくりしてしまいます。しかし、SOSのサインなど追い込まれているかもしれません。「仕事やめて、どうやって生きていくの!」「やめた後のことは考えているの?」など、本人が責められていると感じる言葉を言ってしまうと、本人をさらに追い込めてしまいます。まずはどうしてそう思ったのか話をじっくり聴いてみましょう。
メンタルヘルスにおいては、早期発見・早期対応がとても重要です。それでは、周囲の人が不調のサインを出していたら、どうすればいいのでしょうか?以下のポイントを参考にしてください。
周囲の人の不調を発見したらあなたにできる3つのこと
1 寄り添う
相手の悩みに耳を傾け、理解や共感を示しましょう。不調を感じている人は「孤独感」に悩まされていることが多いものです。自分の話を親身に聴いてくれる人がいる、寄り添ってくれる人がいることは孤独感を軽減させます。特別なアドバイスをする必要はありません。まずは、話を聴いて、時間を共有することが大切です。
2 自他の境界線を意識する
他者の話を聞く際は、自他の境界線を意識することが大切です。他者の問題を自分の問題のように感じると、他者の感情に巻き込まれてしまったり、他者の問題に対して責任や罪悪感を抱いてしまいます。また、境界線を超えることで、相手はあなたに依存的になってしまったり、警戒心を感じて心を閉ざしてしまったりする場合があるかもしれません。良好な関係を続けるためにも、自分ができることとできないことを分け、自他の境界線を超えないように意識しましょう。
3 必要な機関につなげる
自分1人で支えようとせず、必要な機関に繋げることも大切です。心身の不調がある場合は、医療機関の受診を促す必要があるでしょう。また、話のテーマが重くて聞くことで自分まで辛くなってしまうと感じたら、臨床心理士など専門職によるカウンセリングを勧めても良いでしょう。何よりも支える側の健康が大切です。巻き込まれて共倒れしないためにも、1人で支えようとしないことをお勧めします。
現在は不調感を感じている人が多い状況です。自分ではなかなか不調感に気づくことができません。身近な人が気づくケースが多いものです。もし、周囲の人の不調のサインに気づいたら早めに対応したいですね。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く