「これがストレスになり得るの?」意外な原因は|臨床心理士が答えるストレスとの正しい付き合い方
現代は『ストレス社会』と呼ばれており、『ストレス発散法』『ストレスマネジメント』など、ストレスを対処するための方法にも強い関心を持たれるようになりました。しかしその一方で、【ストレス】についての誤解が生じていたり、まだまだ知られていないこともたくさんあるような印象も感じています。前回から数回に渡り、ストレスについてのお話をしています。今回は、『こんなものがストレスになり得る』というところに注目し、心の専門家である臨床心理士が解説します。
あなたが感じやすいストレスの要因【ストレッサー】とは?
まず、ストレスとは一体何でしょうか?ストレス研究の第一人者である、生理学者のハンス・セリエによると、ストレスとは『生体に影響を及ぼす外的刺激によって引き起こされる生体が示す反応』のことを言うのだそうです。心や体に影響を及ぼす外的刺激のことを心理学では【ストレッサー(ストレス要因)】と呼びます。そして、ストレッサーは、大きく3つに分けられると言われています。
3つのストレッサーとそれぞれのストレッサーの特徴は?
物理的ストレッサー
□暑さや寒さなどの温度
□様々な場所の騒音(工事現場の音など)
□明るすぎる、暗すぎるなど光の具合(太陽光や照明など)
□PCやスマホの液晶
□強いにおい(カレーやカップラーメン、香水など)
□満員電車などの人混み
化学的ストレッサー
□化学物質や有機溶剤
□金属
□アルコール(飲酒など)
□喫煙
□食品添加物
□アレルギー反応
心理的・社会的ストレッサー
□家族、親戚、友人、パートナーなど人間関係
□時間(締め切りなど)
□政治や経済
□社会のルール
□生活上で起きる変化(入社、入学、転勤、引越しなど)
□天災やテロ、ウイルス感染など
ストレッサーを理解する上で大切なこと
自分にとってのストレッサーは何?
『自分にとって何がストレッサーになるのか』ということを正しく理解し、それを自分自身が受け入れることは、ストレッサーを理解する上で役立ちます。自分にとって何がストレスになるのかを知ると、ストレッサーと適切な距離を持つようにする、大きな負担を感じないように事前に回避するといった対応策をとることができます。
ストレッサーを人と比べない
ストレッサーは実に様々なものが存在し、さらに、ストレッサーになるものやそれの感じ方には人それぞれ違います。例えば、ある人にとっては温度差がストレスになったとしても、ある人にはそんなにストレスに感じないかもしれないし、締め切りがモチベーションになる人もいれば、心理的に追い詰められるという人もいます。『他人と自分のストレスに感じるものには差がある』ということを覚えておくと、相手が自分を理解してくれないことにイライラしたり、相手と自分との違いにもどかしさを感じるといった、更なるストレスを減らすことができるかもしれませんね。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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