生理の乱れと中性脂肪の急上昇で更年期に気づき…彼女のイライラを最も引き起こしたものは〈体験談〉
更年期の始まりは人それぞれですが、ちょうど育児や親の介護など、人生においてハードな時期に重なることも多いもの。今回登場していただく田中幸乃さん(仮名)も、思春期真っ只中の娘さんを持つ母であり、保育士として働く女性。思春期特有の娘さんの素っ気なさや感情の起伏と、自身の更年期症状が重なり、イライラが募ることが多かったそう。早速、その症状や解決方法について詳しく聞いてみました。
生理の乱れと中性脂肪の急上昇で更年期に気づく
48歳の頃、生理の経血量が異常に増えたことで、更年期の始まりに気づいたという幸乃さん。これには元々子宮筋腫があったことも関係していたのですが、この体からの合図を皮切りに、現在までホットフラッシュや手指の強張りなど、さまざまな症状と付き合いながら過ごしてきました。その中でも体の症状として顕著に現れたのは、だるさと中性脂肪の急上昇だったとか。
「体のだるさのせいでやる気がなくなり、体力気力ともにガタッと落ちたのがこの頃。さらに健康診断で中性脂肪の数値が引っかかり、かかりつけの先生から、これは更年期由来で上昇するからと投薬を勧められたことで、自分が更年期だということを実感しました」。更年期の到来には少なからずショックを受けた幸乃さん。幸い、中性脂肪は投薬のおかげで数値が安定したので、ひと安心。と思ったのも束の間、今度はココロの症状に悩まされるようになってしまいました。
思春期の娘さんとのやり取りにイライラ
「体力や気力の低下に伴い、心身ともに辛さを感じることが増えると、今度は仕事でも家にいてもやたらとイライラするようになってしまったんです。ちょうど家族の介護などが重なり、パートの時短勤務にしていた職場では、周りの人の助けもあってなんとかうまく対処できていたのですが、家庭となるとまた話は別で・・・」特に幸乃さんのイライラを引き起こしたのが、思春期の娘さんとのやりとりでした。「ほとんどのイライラの原因は、話かけた時に返事がないことと、きちんと挨拶しないこと。思春期ならではの些細なこととはいえ、ちょっと娘の機嫌が悪い時に声をかけると思いっきり無反応・・・。それにイラッとして、返事は?挨拶は?と語気も荒く突っ込んでいました」。
例えば、行ってきますの挨拶も無く家を出る娘さんに、マンションに響き渡るような大声で「行ってらっしゃい!」と叫ぶのもそのひとつ。「後から考えると、そんな風に言われたら余計答えにくいと思うのですが、その瞬間にはカーッと頭に血が上って、声が大きくなってしまうんです」。また、何か娘さんに質問をしても、ボソッと「知らない」とはぐらかされ、必要なことを調べる素振りもしない、というのもイライラの元。「娘の学校への提出物の確認でそんな態度を取られると、娘のために言ってるのにーー!!とヒートアップしちゃって」。
そんな争いが起こるのは、大抵娘さんの帰宅後から夕飯までの夫が不在の時間。幸乃さんは、どうしても気持ちが収まらない時には、物理的に娘さんと距離を取ることで気持ちを落ち着かせるようにしていたそう。「爆発しそうになって、もう無理!ってなるとご飯も作らず外出して、仕事帰りの夫に、プチ家出中なので後はよろしくと連絡して逃げ出すんです。そうなると夫は基本的に娘に甘いので、娘のご飯も買って帰ってくれていました。私もしばらく一人でいるうちに、そこまで怒らなくてもよかった?と思えてきて、家に戻って夫に話を聞いてもらって、翌日には落ち着いて元に戻るという感じでした」。
更年期を理解することで自分の状況を受け入れる
なんとか更年期症状のひとつであるイライラの対処法も見つけ、今はなんとなく更年期と折り合いをつけているように見える幸乃さん。「不調の出始め、体力気力も落ちてきた時は、自分の老化を見せつけられてるようで、正直悲しかったし焦りました。でも、病院に行って自分の体の状況を知ることで、徐々に気持ちが落ち着いて。また、周りの先輩の話を聞いて、更年期はいつか終わると聞いた時、ストンと楽になりました。今は辛くても終わりが来るなら、それまでやりすごそうと思えたんです」。
「あと、色々と症状はあっても、なるほどこれが更年期なのねと理解することで、更年期を客観的に見ることができるようになったと思います。閉経も女性として終わる、と漠然と考えていたけど、実際にその時が来たらむしろ煩わしさがなくなり、気持ちも軽くなりました」。元々あった子宮筋腫も閉経を機に小さくなり、今すぐ手術をする必要がなくなったそう。
周りの理解と自分への甘やかしも大事
また、実際に更年期の辛さを体験したことで、もっと自分に優しくしようと思えたのだとか。「更年期症状が辛い時には、自分を甘やかしてもいいと思います。自分が好きなことを少しでも取り入れて、自分にご褒美をあげたら、心がスッとほぐれて症状をやり過ごせる気がします。更年期は仕事でも家庭でもさらに責任が重くなる年頃。だからこそ余計に自分を甘やかす時間が必要かもしれません。今まで頑張ってきて、今も頑張っている自分の体や気持ちに優しくしてあげて欲しいと思います」。
加えて幸乃さんは、更年期にはこんな症状があるということを、周りに理解してもらえると、焦らず症状を和らげることができると言います。「その更年期の症状わかるー!と言い合える友達や仲間はとても大切。まだ更年期のことを理解できないという若い人にも、いずれこんな症状が出るかもしれないけど、それはいつか終わるからその時は焦らずに、と今から伝えたいです。そして、彼らの思春期のあれこれも大目に見てあげるから、更年期おばさんのことも(おじさんも)大目に見てほしいです(笑)」。
AUTHOR
山田メノポ
更年期歴5年のアラフィフライター。出版社勤務を経て、ファッションやライフスタイル誌の編集やライティングなど、フリーランスとして活動。本業の傍ら、更年期症状という同じ悩みを持つ人に、リアルな声と情報をお届けするべく奮闘中。趣味はネットでセレブのゴシップと発言小町を読み耽ること。
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