スマホの待ち受け画面は「自分」?インド人の自己肯定感が高すぎる【連載|インドに学ぶ人生ハック】

 スマホの待ち受け画面は「自分」?インド人の自己肯定感が高すぎる【連載|インドに学ぶ人生ハック】
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中谷秋絵 あぬ
中谷秋絵
2022-11-08

インド研究家でライターの中谷秋絵さんによる連載「インドに学ぶ人生ハック」がスタート!

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はじめまして。インドライターの中谷です。

自分に自信がなく、仕事を辞め、夢も希望もなかった私が救いを求めて行ったインド。
それまでは窮屈で生きづらさを感じていましたが、日本人とまったく異なる性質のインドの人々と触れ合うことで心が癒されていきました。

バックパッカーとしてインドを訪れ、そのまま仕事を見つけて約2年滞在しました。現在は、日本でもっとインドの魅力を広めるべく発信しています。

さて、あなたはインド人についてどんなイメージを持っていますか?

カレーばかり食べている?
陽気な性格?
数学が得意らしい?

実際、私はインドに行って「インド人は自己肯定感が高い」と感じる場面に出くわしました。

インド人の「ある行動」に驚いたとともに、感心したのです。

自撮り大好きインド人

インドはお世辞にもきれいな国とは言えません。

人々はゴミをポイ捨てする習慣があるので、道はどこへ行ってもゴミだらけ。
ヒンドゥー教徒にとって神聖な動物である牛がそこらじゅうにいるため、道には牛の糞もたくさん落ちています。

寄り添う牛(筆者撮影)
寄り添う牛(筆者撮影)

道はぼこぼこガタガタ。
水はけが悪いのか、道路の作り方が悪いのか、強い雨が少しでも降ると洪水のように水がたまってしまいます。

インド北部や首都のニューデリーは大気汚染がひどく、冬になると一面真っ白。
街路樹にも埃がたまって真っ白です。
鼻をかむたびにティッシュが真っ黒になるほど。

そんな「きれいではない」インドの環境で、インド人は所構わずあらゆるところで「自撮り」をしています。

日本人の感覚だと、景色のきれいなところや友達と一緒のときに写真を撮ることが多いんじゃないかと思います。外で一人、何もないところで自撮りしている人って、私はあんまり見たことがありません。

ところがインド人は外だろうと、地下鉄の中だろうと関係なく、一人スマホを向けてバシバシ撮影しているのです。
地下鉄の中なんて、背景微妙じゃない……?と思いますが、お構いなしです。

インドの地下鉄(筆者撮影)
インドの地下鉄(筆者撮影)

しかも、みんなものすごいキメ顔。

日本人だったら恥ずかしくなるような、ばっちりキメた顔を作って撮っています。
そして、自撮りが大好きな彼らだからこそ、自分が一番よく見える角度や表情をしっかりわかっているようです。

「自分がいかによく見えるか」の研究に余念がありません。

私にはまったくない感覚だったので、すごく驚きました。

とにかく自分が大好き!

そして、さらに驚いたことに、インドでは多くの人がスマホの待ち受け画面を自分の写真にしているのです。

私の感覚では7割くらいの人がそうだったように思います。

日本人で、自分の写真を待ち受けにしている人は私の知る限りでは見たことがありません。家族写真や子どもと一緒に写っている写真ならまだしも、インド人は自分一人だけの写真を待ち受けにしているのです。

しかも、これは老若男女関係ありません。

すっかりおなかが出て、顔がパンパンのおじさんの待ち受け画面も自分。

どんだけ自分大好きなんだ……と呆れを通り越して、すがすがしささえ感じてしまいました。

インド人にとって、美人とかイケメンとか、太っている痩せているは関係ないのです。
とにかくありのままの自分が大好き。

なぜインド人はこんなに自分が大好きなのか?

インド人にインタビューした際「インド人の親はとにかく自分の子どもを自慢する」と話してくれました。母親同士の井戸端会議が、子ども自慢大会になるそうです。
親が子どもをよく褒めることも、自分が大好きになる要因かもしれません。

また、2022年に日本財団が6か国6000人の若者を対象に実施した「18歳意識調査」によると、8割以上のインド人が「人に誇れる個性がある」と答え、トップでした。この調査結果もインド人の自己肯定感の高さの背景にありそうです。

このようなインド人を見ていると、私ももっと自分のことを好きになってもいいのかも、と思えてきます。

自己肯定感がとにかく低くて、自分に自信のなかった私は、自信満々に自撮りをするインド人を見て励まされたような気がしました。

インド人は自分を愛することをよく知っている人たちなのかもしれません。
 

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中谷秋絵 あぬ

中谷秋絵

インド研究家×ライター。自己肯定感激低の状態でインドに渡航し、インドの人々の温かさ寛容さで救われる。インド滞在経験2年、現地の日系旅行会社に勤めた経験あり。現在はフリーライターとしてインタビューを中心に活動中。電子書籍『どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術』でAmazonランキング1位・ベストセラーを達成。ダンサーとしてインドのボリウッドダンスも踊っている。



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