【体の可能性を広げよう】動きを分解してポーズを段階的に組み立てる「ヨガポーズ分解法」

 【体の可能性を広げよう】動きを分解してポーズを段階的に組み立てる「ヨガポーズ分解法」
Eleanor Williamson

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”私の方法では、単純で楽しい運動を通じて複雑な動きを扱いやすい単位に分けることによって、ヨガを分解します”

私は20代に入ってまもなくヨガを始めたが、その頃はほとんどのポーズが簡単に感じられた。どんなポーズもほぼ例外なく、たいした努力をせずに自在に表現することができた。当時、ヨガをすればするほど快調になると感じた。ところが、やがてその好循環が崩れる時が来た。
最初の指導者養成講座を修了した数年後のことだ。私は常勤のヨガ講師として働くようになり、体に痛みを感じ始めていた。違和感は前腕から手、手首に走るときもあれば、あご、首、背中、肩のように体の中心に感じるときもあった。ヨガをしていないときも一日中痛みに悩まされていた。
最初は筋肉と筋膜に働きかけるロルフィングや鍼治療、マッサージなどの治療を試して、なんとか痛みを和らげようとした。しかし、無限にも思えた痛みから抜け出すことができたのは、定期的に理学療法を受け始め、それと並行して運動生理学と運動科学とヨガ以外のさまざまな動きを学び始めたあとのことだ。
快方に向かったきっかけは、理学療法士に「過可動」と診断されたことだった。これは、遺伝的に結合組織がゆるむ傾向にあり、そのために関節が不安定になることを意味している。私の場合、ヨガによって体を過度に伸ばしているのに、それを補う筋力強化が十分ではなかったため過可動が助長されていたのだった。
理学療法の一環として私に課せられたのは、筋力強化を重点的に行って、ヨガの練習を少なめにすることだった。これが功を奏した。数カ月のうちに、痛みのために避けていたポーズも再びできるようになった。
私は調子が良くなるにつれて、自問するようになっていった。「ヨガのポーズは私の体にどんな影響を及ぼしているのだろう。ポーズは私の日常生活のどんなことに役立っているのだろう」。私は答えを追い求めた。数百時間かけて指導者養成講座を受講し、資格をいくつも取得して、最終的に「ヨガポーズ分解法(Yoga Deconstructed)」のクラスとワークショップをつくり上げた。ほかの人にも現代の運動科学をヨガに応用する方法を理解してもらいたい、その一助になればという思いから生まれたものだ。
このクラスでは、「deconstruct(分解する)」の名が示すとおり、ヨガの複雑な動きを扱いやすい単位に分解して、ポーズをしているときに体のなかで関節ごとに何が起きているのか観察する。運動や動きを教える講師にとって難しいのは、動きを単純で楽しいものにすることだ。それを難しく思うような人に教えるときもそうでなければならない。私は筋力、可動性、柔軟性、安定性、動きの協調性を向上させる運動を単純で楽しくて目的のある動きにして皆さんを指導している。
このヨガは、リハビリを終えてヨガスタジオに戻ってくる人を対象に考案したものだが、どんな目的にも応用ができる(「この方法は私に合っているだろうか」を参照)。 
「ヨガポーズ分解法」では、ヨガ、各種矯正運動、ピラティス、ソマティクスを融合させることによって、これまで不可能に思えていたポーズに取り組めるように一歩一歩体を整えていく。私にとって重要なことは、受講生の先入観が正しいものかを疑って、受講生に初めて自分の体に向き合う気持ちになってもらうことだ。そうすることによって、受講生たちは自分の本当の可能性に気づけるようになる。

動きを分解してポーズを段階的に組み立てるヨガ
photo by  Eleanor Williamson

ポーズを分解して練習しよう

「ヨガポーズ分解法」では、外からの負荷と徐々に強度を高める運動を取り入れることによって、ストレッチと筋力強化を少しずつ深めながら、ひとつのポーズに要求される力がつくように体を整えていく。このヨガでは、難しいポーズを頑張って「完成」しようとせずに、動きのほうを自分の体に合わせて変えていこう。
このヨガのクラスでは、科学的知見に基づいた4つの方針を通じてポーズに必要な力と安定性を高めていく。

1⃣ 前の段階に戻す
こうすることによってアライメントを保ちやすくする。重力に対する向きを変えるか(たとえば戦士のポーズⅢであれば、左右どちらかの側を下にして横になって行う)、てこの作用のてこの長さを短くすることによって(舟のポーズであれば膝を曲げて行う)、ポーズをひとつ前の段階に戻すことができる。

2⃣ 一段階進める
外から負荷や重さを加えるか(戦士のポーズⅢであれば、ボルスターを持って行う)、てこの長さ、つまり四肢の長さを長くすることによって(舟のポーズであれば膝を伸ばしてポーズに入る)、アライメントを保つのを難しくする。

3⃣ 見た目ではなく自分の内側で起きていることに意識を向ける
クラスでは「膝を足首の真上にもっていきましょう」ではなく、「膝を足の小指のほうに傾けていき、それからマットの中央にもっていきましょう。今日の体が気持ちいいと感じる場所を選んで膝の位置を決めましょう」という指示が出されるかもしれない。

4⃣ ポーズに入る前に準備をする
ポーズに無理なく入れるように、関節を整える運動をいくつか組み合わせて行う。理学療法の運動、ピラティスの基本動作などをヨガに加えれば、可動性や筋力を高めることができるだろう。

この方法は私に合っているだろうか

「ヨガポーズ分解法」はどんな人にも効果があるが、以下のいずれかに当てはまる人には特に有益である。

●けがをして理学療法を受けたが、まだ従来のヨガのクラスに戻ることができない。
●ヨガをしていて痛みを感じたりけがをしたことがある。
●ほとんどのポーズに必要とされる筋力、可動性、制御力が足りないと感じる。
●医療の専門家からストレスや痛みの緩和のためにヨガを勧められている。
●生まれつき柔軟性が高くて、一部のポーズでは関節を支えるのに必要な安定性が足りないと感じる。
●ヨガの練習を積んできて、180度に開脚するポーズやアームバランスなどの難度の高いポーズに挑戦している。
●ヨガを教えていて、生徒が必要としていることにもっとうまく応えたいと思っている。

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by Trina Altman
photos by Eleanor Williamson
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.79掲載

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