【生理トラブルの緩和・改善に】オススメのヨガのポーズと自分に合ったセルフケアのタイミング
生理中に起こるトラブルは女性にとって自分の体の状況を知ることができるバロメーターです。みなさんはトラブルを生理中にいつ感じますか?今回は、生理のタイミングとトラブルが起こる時期に合わせたヨガのポーズとセルフケアのポイントをご紹介します。
生理トラブルの2つのタイプ
まずはじめに、生理(月経)期間中に起こる様々な病的症状(下腹部痛・腰痛・頭痛・腹部膨満感・下痢・吐き気・嘔吐・イライラ・疲労感、など)を月経困難症と言いますが、月経困難症は2つのタイプに分けられます。
生理トラブルが思い当たる場合、まずは婦人科で診察を受けましょう。
器質性月経困難症
子宮・卵巣に子宮筋腫や内膜症などなにかしらの疾患があるために起こる月経困難症です。生理開始から3日過ぎても続いたり、生理期間ではない時でも症状が生じることがあります。生理痛がどんどんひどくなってくる・鎮痛剤を飲んでも辛い・経血量が多い・生理がだらだらと10日以上続く・排便排尿の際に痛みがある・セックス時に膣の奥が痛い、など。この場合は医師の診察を受けることをお勧めします。
機能性月経困難症
原因となる疾患がなく症状が起こる月経困難症です。初潮から1・2年後より始まることが多いと言われています。要因として、プロスタグランジンの過剰分泌、子宮口が狭い、子宮や卵巣の未成熟、ストレスなどが挙げられています。また、生活の中で以下の3つのことが思い当たる場合、改善すると良いでしょう。
①冷え
冷える格好・冷える食べ物・環境、など
②姿勢
同じ姿勢を長時間続けたままにしている・筋力が落ちている
③生活習慣
睡眠時間が不十分・睡眠の質の低下・忙しい・運動不足・不規則な生活が続いている
生理トラブルの改善にオススメのヨガのポーズ
機能性月経困難症に当てはまる方で、生理トラブルの改善にオススメのヨガポーズ7種をご紹介します。
これらは、脊柱と股関節を動かすことで姿勢を調整し骨盤内の血流を良くするものです。以下の7種のポーズで、それぞれ気持ちよく感じるものから選んで行います。一つのポーズにつき20秒〜1分を目安にキープして、ポーズを止めてからじっくりと筋肉を弛緩させましょう。血液が巡り体が緩んでいくのを実感することが大切です。
①逆転系(骨盤の位置を上げる)
ダウンドッグ・鋤のポーズ・壁に脚を上げるポーズ、など
*生理期間中のダウンドッグは控えめに・その他2種は控えた方が良いでしょう
②後屈系1(腿の付け根を伸ばす)
三日月のポーズ・ランジ・割り座で寝るポーズ、など
③後屈系2(胸〜首のラインを伸ばす)
魚のポーズ・ラクダのポーズ・コブラのポーズ、など
④側屈系(体側を伸ばす)
月のポーズ・かんぬき(門)のポーズ・座位の側屈、など
⑤内ももを伸ばす系
合蹠(がっせき)のポーズ・花輪のポーズ・針の穴のポーズ、など
⑥ツイスト系(背筋を伸ばす)
寝たツイスト(ワニのポーズ)・半分の魚の王のポーズ、など
⑦前屈系(背中から脚を伸ばす)
座位の前屈・左右に開いた立位開脚前屈・座位開脚前屈、など
あなたはどっち?自分に合ったセルフケアのタイミング
生理中のトラブルをいつ感じますか?
体を楽にするためのセルフケアとしてヨガやエクササイズをする時に、動く時期とタイミングに気をつけること・自分の体から発する「動きたい・気持ちいい」という感覚を大切行うことで、その効果は高まります。
トラブルが起こる2種類のタイミングに合わせたセルフケアの取り入れ方をご紹介します。
生理開始〜前半(3日目くらい)に生理トラブルが起こるタイプ
生理の前半は、経血を体外に排出させるために子宮の収縮を促す「プロスタグランジン」という生理活性物質が増加し、この量が多いと子宮の収縮が強く下腹部の強い痛みが発生します。
同時に、血管を収縮させる作用があるために腰痛・冷えが起こったり吐き気・下痢・めまいなどを引き起こします。
このタイプの方は血流と自律神経のバランスを改善することがオススメです。
▶︎生理期間中の過ごし方ポイント
生理前半で経血が多く出ている時のトラブル以外にも、体の重だるさ・関節や筋肉の強張りを感じたらヨガやエクササイズを無理に行わず、休んで体を緩める期間にしましょう。生活する中で可能な範囲で横になって休むことができると良いですが、お腹や骨盤の後ろにホットタオルを当て温めたり、足・足首を冷やさないようにすることでも体が楽になります。そしてお腹を締め付ける服装を避けましょう。
「少し動きたいな」と感じる場合、上の項目にある①以外のポーズを優しく行い、たっぷりとリラックスすることをオススメします。激しく動いたり強いストレッチは控えましょう。
生理の後半から生理トラブルが起こるタイプ
生理の後半は、骨盤を中心に血流が悪くなることで「うっ血」が起こり、下腹部の鈍痛を感じたり腰や背中が重だるくなります。冷えやむくみなども起こります。
このタイプの方は、腰・股関節周辺の筋肉の強張りを緩めることをオススメします。
▶︎生理期間中の過ごし方ポイント
生理が始まる頃から(もしくは生理開始から)上の項目にある①以外のポーズを、優しく軽く行うと良いでしょう。お腹や股関節を締め付ける服装を避けることも大切です。
生理日以外の過ごし方
生理トラブルを抱えている方は、生理日以外で動くタイミングや行うことを工夫してみることをオススメします。
▶︎生理が終わる頃から排卵日(生理開始日から2週間後が目安)まで
生理が終わり始めて体が楽になってきたら有酸素運動を始めましょう。週2・3回20分程度のウォーキングを目安に気持ちが良い強度で行います。
またこのタイミングから好きなスタイルのヨガを始めるのに良い時ですが、特に自律神経のバランスに関係する「呼吸法」を取り入れことをオススメします。
▶︎排卵日から生理開始まで(およそ2週間)
排卵日までの過ごし方と同じで良いですが、無理をした生活をしていたら起床もしくは睡眠時間を一定にしたり、太陽光を浴びながら運動をして「冷え・姿勢・生活習慣」の対策をしましょう。また、この期間に「生理トラブル改善のためのヨガのポーズ7種」を行うことをオススメします。
生理で感じる不調は体の状況を知る大切なバロメーターでもあります。
お薬を服用している方でもそうでなくとも、痛みや不快感を少しの我慢だと思って過ごしていたら、生理周期と不調が起きるタイミングに合わせたセルフケアを取り入れてみてください。新しい体の習慣を身につけていくことで、症状が起こりにくい体内環境を整えることができるでしょう。
医師監修/一倉絵莉子先生
産婦人科医(六本木ヒルズクリニック)日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員。日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。
AUTHOR
とみよし美里
女性専門トレーナー/ヨガ講師/食事療法士/官足法指導員。 日本最大手ヨガスタジオのプログラム開発、WEBコンテンツの製作、本、雑誌等、日本のヨガ業界に関わる。近年は女性をターゲットにした血流・代謝・排泄機能を改善する食養生と心身管理の方法論を追求している。妊娠、産後、更年期、ストレス、不眠、高血圧、自律神経失調、もの忘れなどのカリキュラム開発および指導者育成を行っている。
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