「コロナ禍の今こそ、感謝を胸に…」3つの金メダルを獲得したヨギアスリートの次なる挑戦

 「コロナ禍の今こそ、感謝を胸に…」3つの金メダルを獲得したヨギアスリートの次なる挑戦

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!3つのオリンピック金メダルを獲得したティアナ・バートレッタの2020年大会出場の夢は、けがと病気とパンデミックのせいで叶わなかった。今彼女はタイトルを守るべく準備を進めている。

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外出規制やマスクの着用、自宅待機が始まる前の2月最後の金曜の晴れた午後、カリフォルニア大学バークレー校のエドワーズスタジアムで、3つの金メダルを獲得したティアナ・バートレッタの走り幅跳びの練習を見学した。200時間認定ヨガティーチャーでもある彼女の集中力は、幅跳びのスパイクのように鋭かった。助走で一気に加速して踏み切ったかと思うと、軽々と空中を跳び、砂場に柔らかく着地する。大事なのは跳ぶ時に減速せずに、踏み切るまで加速し続けることだと彼女は言う。「クレイジーにならなきゃ」と彼女は言う。「怖さを感じても、とにかくやるのよ」

この言葉は、彼女が2016年にリオから2つの金メダル(走り幅跳びと400メートルリレー)を持ち帰る前の、低迷期の経験に基づいている。15年間の輝かしい陸上キャリアが中断された頃だ。彼女は大学2年を終えた2005年の夏に、走り幅跳びで初めて世界チャンピオンになったが、2度目の栄冠を手にしたのはその10年後だった。
恐れに負けないバートレッタのメンタリティーは、6月のオリンピック選考会のための準備を、通常より5カ月も遅い2月から始めたことからもうかがえる。足首のけがと緊急手術のために2019年のシーズンを棒に振り、この取材の1週間前までは競技場からも離れていた。彼女は週に3、4回の限られた練習スケジュールで短距離走、ジャンプ、ウェイトトレーニングをしながら、徐々に体を慣らしていた。

35歳のバートレッタは、次の大会がおそらく最後のオリンピックになると思っている。現チャンピオンの彼女がタイトルを守るためのプレッシャーは計り知れない。だがそのストレスも「アメリカの短距離走と走り幅跳びの不屈の女王」を阻むことはない。彼女にとってヨガ練習は、不安なときでも落ち着いてグラウンディングし続けるためのツールであり、それが彼女をライバルたちよりも優位に立たせている。「オリンピック選考会は、生き残りを賭けたサバイバルのようなもの」と彼女は言う。「選考会に出るのはこれで4度目だけど、怖くてたまらない。でもヨガマットに立つと、メダルを獲りにいくために必要な気力とエネルギーが湧いてくるの」

3つの金メダルを獲得したヨギアスリートの次なる挑戦
photo by  Winni Wintermeyer, Aviv Rubinstien

厳しい練習や激しい競争に耐える能力は、自分もふたりの妹たちも両親から受け継いでいる、と彼女は言う。「母からは、女性の私たちが男性と肩を並べるには2倍の努力をしなければいけないと教えられました。さらに黒人女性は機会を得るだけでも、さらに2倍の努力が必要だ、と」

バートレッタは12歳の頃からいろいろなスポーツをしていたものの、陸上競技に真剣に取り組むようになったのは、父親から大学進学には奨学金が必要だと言われた高校3年の時だった。彼女はいちばん得意な陸上競技に集中し、テネシー大学ノックスビル校の奨学金を獲得した。

だが大学に入ると、彼女はメンタルブロックに陥り、高校時代に見せていた高い身体能力を発揮できなくなってしまった。その春に参加した国内選手権大会は散々な結果だった。「完敗でした。怖くて、自信がなくて、とにかくおじけづいていたわ」と彼女は言う。「コーチは私がなんの結果も出せなかったので、ひどく怒っていました」。
その数週間後の別の大会で、男性チームのコーチが彼女に近づいてきて彼はこう言った。「ティアナ、君は最初の一歩に全力を尽くさなきゃだめだ。ジャンプし始めたら、もうそれだけなんだ。前に進むしかない。始めたら後戻りはできないと肝に銘じるんだ」。その時、彼女の中でスイッチが入った。その日彼女は6・60メートルを跳んだ。2週間前の全米選手権で優勝できた距離だった。「コーチが言うことを完璧にこなす力はあっても、メンタルが追いついていなかったの」とバートレッタは思い起こす。

同じ年、彼女は初めてオリンピック選考会に出場した。結果は8位だったが(上位3位だけがオリンピックに出場できる)、陸上競技のヒーローたちと競った経験が18歳の心に火をつけた。彼女は競技にすべてを捧げた。翌年、彼女は走り幅跳びで世界チャンピオンになり、数カ月後にはナイキとのプロ契約を結んだ。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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by Lindsay Tucker
photos by Winni Wintermeyer, Aviv Rubinstien
hair&make-up by Timmeya Russell
make-up by David Searle
art director and styling by Rachel Kennedy
creative intern by Isabella Giannini
translation by Sachiko Matsunami

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