ヨガ界を担う次世代ティーチャー:タベイ・アトキンス(14歳・ハワイ州マウイ島在住)

 ヨガ界を担う次世代ティーチャー:タベイ・アトキンス(14歳・ハワイ州マウイ島在住)
広告

ヨガティーチャーの誕生

トレーニングの間、アンヴァリネードは、息子がヨガに出会えたことに感謝しながら、自分がもし子供の頃から練習していたらどれだけ良かったか、とよく考えていた。子供たちは学校や友人関係や家で、あらゆるストレスに直面しているからだ。そこで彼女は、息子の学校でボランティアで教えることが、ヨガティーチャーとしての一歩を踏み出すのに最適だと考えた。最初は体育のクラスや放課後などに教えていたが、1年もしないうちに、彼女はオレンジカウンティで最初のキッズヨガスタジオをオープンした。当時8歳だったアトキンスは、自称「ヘルパー」として、いつも母のそばにいた。

「母は、キッズヨガに必要ないろいろな資格を取り始めたんだ。たとえば、自閉スペクトラム症の子供の教授法や、トゥイーン(8〜12歳)とティーン向けの教授法、さらにリストラティブヨガも学んだ。僕もそのすべてに一緒に参加したんだ」とアトキンスは言う。彼は自閉症の子供に教えるために、7歳で最初のヨガトレーニングを修了した。そして数年後には、サンフランシスコの自閉症児向けの学校で母親が教えるヨガクラスの手伝いに加わった。

校長はアトキンスに、彼がこれから教える子供たちには暴力を振るう傾向があるので、互いに体に触れないようにと警告した。だがアトキンスが子供たちに話し始めると、彼らは穏やかに熱心に耳を傾けていた。「先生たちは、信じられないといった表情で生徒たちを見ていたよ」と、アトキンスは言った。 「でも僕は驚かなかった。単に生徒たちの本当の能力がはっきりしただけだよ」

そのことがあってから、アトキンスは正式にヨガを教えることを認められた。それは彼を教師の道に進ませたもうひとつのターニングポイントとなった。彼は10歳で16日間の200時間ヨガティーチャートレーニングを修了し、正式にアメリカで最年少のヨガティーチャーとなった。

アトキンスのトレーニング中は、今度はアンヴァリネードがスタジオの隅に座って、生徒に小道具やスナックを用意する番だった。 「ティーチャートレーニングを体験しているタベイを見られて本当に良かったです。教師やほかの生徒たちが、彼の知識量や熱心に学ぶ姿に驚くのを見るのも楽しかったわ」と彼女は言う。アトキンスは、トレーニングを終えるとすぐに母親が運営するスタジオで教え始め、寄付制のクラスを開催している。そのすべての収益は、子供のガン患者を支援する組織に寄付している。

後悔しないように生きるには?

アトキンスは毎朝起きると、母親と短いフローを練習する。たいていいつも太陽礼拝を数回繰り返してから、木のポーズやカラスのポーズなどのお気に入りのポーズを行う。それからふたりは自分が感謝していることを言い合う。アトキンスは、練習を通じてヨガがもたらしてくれる変革の力と、ヨガの利点をほかの人と分かちあえる恩恵に感謝している。

「疲れてクラスにやってきた生徒たちが、帰る時には元気になっているのを見るのは最高だよ」と彼は言う。「でも実践を共有する一方で、自分も日々実践しなくてはと気づいたんだ」。たとえばヴィーガンに徹するのも、彼にとってはアヒムサー(非暴力)の実践のひとつだと言う。好きなマントラどおりに生きることもそうだ。「良い思考を持とう、やさしい言葉を発しよう、愛を感じよう、愛になり、愛を与えよう」
「今のこの世界では、僕たちみんながもっとそれを実践する必要がある」と彼は言う。 「愛が十分に行き渡っていないんだ」。でも、愛するものを求めているなら、それが自然に現れるまで心を開いていればいい。そうすれば見つかるから、と彼は言う。

アトキンスは、もし母がティーチャートレーニングが始まる日にロングに会っていなかったら、人生はまったく違っていたかもしれない、とよく考える。「 すべてのことは理由があって、起きたり、起きなかったりする」とアトキンスは言う。「常にそう思っていれば、何があっても後悔しなくなるんだ」
アトキンスは、人生が決まったとおりに展開していくのを眺めている、と言っているわけではない。彼はヨガの持つ力を広める機会を常に求めている。「僕らの世代の未来はとても明るいと思うよ」と彼は言う。「僕たちは自分たち自身と親たちを教育している。自分の道を歩みながら、さらに違うアプローチも試みているんだ。僕らは自分たちの選択が周囲にどう影響するかを話し合うために団結して、現状を変えようとしている。ヨガはその活動をより効果的に続ける力を与えてくれるんだ。僕はヨガに関わることができて、とても感謝している」

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告
  • 2
  • /
  • 2

by Meghan Rabbitt
photos&styling by Ashley Turner
photos by Lisa Vortman
hair&make-up by Rachelle Blanco & Sonia Reshetnikova
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.70掲載



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

next_2.jpg