世界的に有名なティーチャーに学ぼう｜ナターシャ・リゾーポラスの場合

私は自分のシステムをアライン・ユア・フロー（Align Your Flow）と呼んでいます。私はこれまで、身体的練習をきちんと整えることが心に大きな効果をもたらすことを、自分自身も体験しましたし、ほかの人が体験するのも目の当たりにしてきました。アライメントを意識してヨガを行っていると、つまり、自らの繊細な指示に応じて動くことに集中していると、心も整ってきます。意識が研ぎ澄まされて、完全に今ここに存在するようになります。単にヴィンヤサの流れに身を置いているのではなく、流れに乗って自分自身と通い合っている状態になるのです。 

私はあるレッスンで初めて本当の指導を受けました。そして、そのとき、自分が教えたいと思っていることに気づきました。ここで言いたいのは、どのポーズをすべきかではなく「ヨガ」を指導すると、アーサナが自分に対する理解を深める手段になるということです。アーサナを通じて、自分の体の構造、自分が世界とどう関わっているか、自分の心や体の癖といったものを理解できるようになるのです。

皮肉なことに、ポーズを丁寧に指導されるほど、そしてそのポーズとの関係が深まるほど、究極的にそのポーズへの関心が薄れていきます。そうなるのではなく、私たちはポーズによって旅にいざなわれ、それが何のポーズであろうとそのポーズと共に旅を進めていくのだと考えるようにしてください。私たちはポーズと親密な関係にあります。良い日もあれば悪い日もあります。私は熟練した指導を受ければ誰でも生き生きとしてくると信じています。熟練した指導によって重要なことを大切にできるようになり、結果ではなく行動に興味をもてるようになります。それは、単に大きな声でポーズ名を呼びあげることとはまったく違うものです。

シークエンスをうまく構成すると、各ポーズの良い点をよく理解できるようになります。また、姿勢が束縛から解放されます。たとえば、わかりにくくて手が届かないように思えていた難しいポーズでも、シークエンスのどこに入るか、そのポーズの前に何がくるかによって、できるようになるのです。そのシークエンスでなければ見えなかった形で、そのポーズがはっきり見えるようになるということです。

シークエンスをうまく構成すると、生徒はレッスンが終わったときに、エネルギー的にも身体的にも精神的にもバランスがとれていると感じます。その反対に、シークエンスの構成が不十分であると、身体的に混乱し、エネルギー的に不安定に感じます。望みどおり人生が進んでいないときの残りの人生のような感じがするのです。

シークエンスをうまく構成できるようになると、解剖学とアライメントという確実な原則を拠りどころに、創造性を発揮する自由を得ることができます。指導者の場合は、受講者の顔ぶれやレッスンへの反応に応じて、その場でシークエンスを変更することができるようになるでしょう。ピークポーズに向かって有機的に組み立てていく方法を理解できたら、生徒のために何が必要で何を削るべきかを考えて、レッスンの修正や調整ができるようになります。

指導者によくみられる間違いのひとつが、シークエンスを暗記してきて、生徒の反応や進み方を考えずに固執することです。また、ピークポーズに向かって進んでいき、ピークポーズに達したところで「はい、シャヴァーサナ（亡骸のポーズ）の時間です」と声をかける間違いもよくみられます。難しいポーズに向かって徐々に準備させていくように、レッスンの終盤には生徒を徐々に落ち着かせていきましょう。ヨガ指導者としての私の最も重要な仕事のひとつは、生徒に満足できるシャヴァーサナを提供することだと自覚しています。

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