世界的ヨガ指導者に聞くヨガレッスンのつくり方|アニー・カーペンター氏の場合
優れた指導者はシークエンスをつくっているときに何を考えているのだろうか。指導者の指導者として知られるアニー・カーペンターが、スマートフローヨガのシークエンスをどうやってつくったのか本誌に明かしてくれた。マットの上でも日常生活でも、股関節を自由に動かし、脊柱を健康に保つのに役立つシークエンスだ。
アニー・カーペンター氏に聞くシークエンスのつくり方
シークエンスの構成を考えることは科学であり芸術である。それは身体的な目標に向かってポーズをつなぐという域をはるかに超えている。そこには進んで探求する姿勢や、今を生きる誓いが必要になる。
こうしたことから、私たちのスマートフローヨガではポーズの指導をしていない。私たちが指導しているのは、さまざまな形や感覚の中で私たちにバランスをとることを求めてくる「動きの原理(MovementPrinciples)」である。
一つひとつの原理は一連の動きを説明するものであり、動きの一方の端には極端な表現( effort、積極的な動き)があり、その対極にはそこから戻るための理にかなった方法( return tocenter、中心への戻し)がある。 私たちが行っているポーズはどれも、何らかの特定の動き( effort)とそこからの戻し( return)を探るものだと捉えることができる。各シークエンスの展開もまた、同じように特定の動き(effort)とそこからの戻し( return)を探求している。
今回紹介するシークエンスでは、特定の動きとして股関節の屈曲を、そこからの戻りとして脊柱の伸展を行う。私たちがヨガを行う主な理由は、脊柱を調整することにあるというのが私の持論である。脊柱の中には中枢神経系が走っているほか、シュシュムナ・ナディという経路があってそこをプラーナ(生命エネルギー)が流れている。ヨガのポーズはどれも、脊柱を安定させてプラーナの流れを高めるためにつくられている。
今回のシークエンスでは、股関節の屈曲を深めるために、積極的に脊柱を伸ばして、脊柱を自然で最適な形に保ち続けることが求められる。言い換えれば、前屈しているときに少し後屈させることができるか、ということだ。 シークエンスの初めのほうのポーズでは、脊柱との関係の中で股関節の屈曲の可能性を探る。ピークポーズは誰でも容易にできるものばかりではないが、真の屈曲を目指して進んでいくことが重要であり、それは誰にでもできるはずだ。
また、スマートフローのシークエンスには、よく知られた動きやポーズが必ずいくつか組み込まれていて、シークエンスの始まりに向かって全身を温めるほか、受容と感嘆の状態に入り込むのを助けている。シークエンスの終盤はゆっくりした動きで構成されていて、ポーズを保つ時間も長くして、活性から弛緩へ(つまり、積極的な動きから中心への戻しへ)移行できるようにしている。シャヴァーサナ(亡骸のポーズ)を深く味わう準備ができていると感じられるようにするためだ。
STEP1:RITUAL OPENING(始まりの儀式)
1. バーラーサナ(チャイルドポーズ)
ヨガでは偶然性と習慣性から離れて、意思と自覚に基づく動きを目指していかなければならない。これは日常生活から意識的な練習へとギアを入れ替える神聖な儀式であり、心が完全にここにあることを宣言する重要なポーズとなっている。
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